Windows 10でChrome・Edgeの「Print preview failed(印刷プレビューに失敗しました)」エラーを完全解説|原因と安全な回避策

Windows 10 で Chrome や Microsoft Edge などの Chromium 系ブラウザから印刷しようとした際、「Print preview failed(印刷プレビューに失敗しました)」と表示されて全く印刷できなくなってしまった方も多いはずです。本記事では、このエラーの正体と原因である PrintCompositorLPAC サンドボックス機能について解説しつつ、具体的な回避策・企業向け展開方法・注意点までを丁寧にまとめます。

目次

Chromium 系ブラウザで「Print preview failed」が発生する状況

まずは、どのような環境・条件で「Print preview failed(印刷プレビューに失敗しました)」が発生するのかを整理します。

発生環境の典型例

項目内容
OSWindows 10 Pro 22H2(他の Windows 10 エディションでも発生報告あり)
ブラウザGoogle Chrome 125 / 126、Microsoft Edge 125 / 126 など Chromium 系
発生タイミング2024 年 5 月ごろの Chromium 更新(125 系)および同時期の Windows Update 適用後から
印刷先物理プリンタ、PDF 変換(Microsoft Print to PDF など)問わず発生
他アプリSnipping Tool から印刷しようとした際にも同様のエラーが発生するケースあり

具体的な症状

  • Chrome / Edge 上で Ctrl + P を押す、またはメニューから「印刷」を選択する。
  • 印刷プレビュー画面が開くが、プレビュー部分がグレーアウトしたまま何も表示されない。
  • 画面右上・右下などに 「Print preview failed」 と表示され、印刷ボタンも押せない。
  • プリンタを変更しても改善せず、PDF 出力でも同じエラーが出続ける。
  • Firefox など Chromium 系ではないブラウザからは正常に印刷できる。

このように、プリンタドライバーやプリンタ本体の故障というよりは、「Chromium 系ブラウザからの印刷処理にだけ障害が出ている」状態であることが特徴です。

すでに試しても効果がなかった対処例

多くの環境で、次のような対処は 実施済みでも改善していない ことが分かっています。

  • ブラウザ拡張機能(アドオン)の無効化・削除
  • ファイアウォール・アンチウイルスソフトの一時停止・停止
  • プリンタドライバーの再インストール
  • Windows のトラブルシューティングツールによるプリンタ診断

つまり、「Print preview failed」は拡張機能やプリンタドライバーの問題ではなく、Chromium 本体の仕様変更に起因する既知の不具合であると考えるのが自然です。

原因:Chromium の PrintCompositorLPAC サンドボックスの既知バグ

この問題の原因は、Chromium に新しく導入された印刷関連のサンドボックス機能 「PrintCompositorLPAC」 にあります。

PrintCompositorLPAC とは何か

Chromium では、セキュリティ強化のために印刷処理を行うプロセスをサンドボックス内で動作させる仕組みが追加されました。その一部が PrintCompositorLPAC(Printing LPAC Sandbox) と呼ばれる機能です。

  • ブラウザ本体とは分離されたプロセスでレンダリングや印刷データの生成を実行
  • 不正な Web ページから OS の印刷機構を直接攻撃されるリスクを低減
  • Windows の低特権アプリコンテナ(LPAC)を利用して権限をさらに絞り込み

セキュリティ面では非常に重要な強化ですが、一部の Windows 10 環境の印刷サブシステムやドライバーとの相性問題により、プレビュー生成そのものが失敗してしまう不具合が発生しています。

Chromium Issue に登録されている既知のバグ

この現象は Chromium のバグトラッカーにも Issue ID: 339994760 として登録されており、Windows 10 環境で「Print preview failed」が再現する既知問題として扱われています。

要点を整理すると、次のようになります。

項目内容
バグの対象Windows 10 上で動作する Chromium 系ブラウザの印刷機能
発生箇所印刷プレビュー生成プロセス(PrintCompositorLPAC)と OS / ドライバー間のやり取り
症状プレビューの描画に失敗し「Print preview failed」エラーを表示、印刷不可
暫定対応PrintCompositorLPAC を無効化することで回避可能

なぜ Firefox では発生しないのか

Firefox などの非 Chromium ブラウザは、Chromium が採用している PrintCompositorLPAC とは別の印刷処理経路・サンドボックス方式を利用しているため、このバグの影響を受けません。

  • 同じページでも Firefox からは印刷できる → Web サイト側の不具合ではない
  • Snipping Tool など一部のアプリでも類似の現象が出る → Windows 10 + 新しい印刷サンドボックスとの組み合わせ依存

このことからも、問題の本質は Web コンテンツではなく 「Windows 10 上での Chromium の印刷サンドボックス実装の不具合」であると判断できます。

「Print preview failed」の解決策・回避策一覧

ここからは、実際に「Print preview failed」を回避するための具体的な方法を整理します。状況や運用ポリシーに合わせて選択してください。

方法対象特徴おすすめ度
起動オプションで PrintCompositorLPAC を無効化Chrome / Edge / Brave / Vivaldi などショートカットにオプションを追加するだけ。個人 PC で最も手軽。◎(まず試すべき方法)
Microsoft Edge のポリシー設定(レジストリ / GPO)Edge企業環境向け。一括適用・ロールバックがしやすい。◎(組織内展開に最適)
代替ブラウザの利用(Firefox 等)すべてブラウザを切り替えるだけ。設定変更が難しい環境で有効。○(暫定的な逃げ道に)
公式アップデート適用後に無効化設定を戻すすべて将来的な恒久対策。セキュリティを元の強度に戻せる。◎(長期的には必須)

方法 1:起動オプションで PrintCompositorLPAC を無効化する(最も簡単)

もっとも手軽なのが、ブラウザのショートカットにオプションを追加して PrintCompositorLPAC を無効化する方法です。Chrome でも Edge でも基本的な手順は同じです。

Chrome / Edge 共通の手順

  1. デスクトップまたはタスクバーにある ブラウザのショートカットアイコン(Chrome / Edge / Brave / Vivaldi など)を右クリックする。
  2. 表示されたメニューから 「プロパティ」 をクリックする。
    (タスクバーの場合は、まずアイコンを右クリック → アプリ名を右クリック →「プロパティ」)
  3. 「ショートカット」タブ を開き、「リンク先」または「ターゲット」欄を確認する。
  4. リンク先の末尾に半角スペースを 1 つ入れ、その後ろに次のオプションを追記する。
--disable-features=PrintCompositorLPAC

例えば、Google Chrome の場合は次のような形になります。

"C:\Program Files\Google\Chrome\Application\chrome.exe" --disable-features=PrintCompositorLPAC

Microsoft Edge の場合の例:

"C:\Program Files (x86)\Microsoft\Edge\Application\msedge.exe" --disable-features=PrintCompositorLPAC
  1. 入力内容を確認し、「OK」または「適用」をクリックしてダイアログを閉じる。
  2. すべてのブラウザウィンドウを閉じ、ショートカットからブラウザを再起動する。
  3. 任意の Web ページを開き、Ctrl + P で印刷プレビューを表示し、正常に表示されるか確認する。

この方法のポイント

  • Chrome、Edge だけでなく、Brave や Vivaldi など Chromium ベースのブラウザでも同じオプションで回避可能です。
  • ショートカットにオプションを追加するだけなので、管理者権限がなくても設定できる場合が多いです。
  • ブラウザを別の方法(スタートメニューや別ショートカット)から起動した場合は、オプションが効かないことに注意してください。

セキュリティ上の注意点

PrintCompositorLPAC は本来、印刷処理をより安全に実行するためのサンドボックス機能です。オプションで無効化すると、

  • 印刷処理に関する隔離が弱くなり、理論上は攻撃のリスクがわずかに増える可能性があります。
  • とはいえ、一般的な業務利用であれば極端に危険度が増すわけではなく、「印刷できない」ことの方が業務継続上のリスクになりやすいのも事実です。

そのため、あくまで一時的な回避策として利用し、後述のように ブラウザや Windows の更新で問題が解消されたらオプションを外す運用が望ましいです。

方法 2:Microsoft Edge ではポリシー(レジストリ)で無効化する

企業環境や複数台の PC を管理している場合は、Microsoft Edge 向けのポリシー設定を使い、PrintingLPACSandboxEnabled を無効化する方法が有効です。

単体 PC でレジストリから設定する手順

管理者権限がある PC で、個別にレジストリを編集する場合の手順です。

  1. Windows キー + R を押し、「ファイル名を指定して実行」ダイアログを開く。
  2. regedit と入力して Enter キーを押し、レジストリエディターを起動する。
  3. 次のキーに移動する。存在しない場合はフォルダー(キー)を作成する。
    HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge
  4. Edge キー内で右クリックし、「新規」→「DWORD (32 ビット) 値」を選択する。
  5. 名前を PrintingLPACSandboxEnabled にする。
  6. 作成した PrintingLPACSandboxEnabled をダブルクリックし、値のデータを 0 に設定して「OK」をクリックする。
  7. レジストリエディターを閉じ、Microsoft Edge を再起動する。
  8. Edge で任意のページを開き、印刷プレビューが正常に表示されるか確認する。

この設定は、Microsoft Edge の管理用ポリシー「Enable Printing LPAC Sandbox」を「 Disabled(無効)」にするのと同じ意味を持ちます。

グループポリシー(GPO)で一括配布する場合

Active Directory 環境などで複数端末に適用したい場合は、GPO を利用して同等の設定を一括配布できます。

  • Microsoft Edge 用の管理テンプレート(ADMX/ADML)をドメイン コントローラーに配置する。
  • グループポリシー管理エディターを開き、対象 OU に対して新しい GPO を作成。
  • [コンピューターの構成] → [管理用テンプレート] → [Microsoft Edge] 内にある 「Enable Printing LPAC Sandbox」 を探す。
  • このポリシー設定を開き、状態を 「無効(Disabled)」 に設定する。
  • クライアント側で gpupdate /force を実行するか、ポリシー更新タイミングを待ってから Edge を再起動する。

こうすることで、組織内の Edge からの印刷トラブルを一括で回避できるようになります。

Edge ポリシー方式のメリット・デメリット

観点メリットデメリット
管理性GPO を用いれば数十台〜数千台規模でも一括展開が可能。GPO/レジストリ編集には管理者権限が必要。
一貫性ユーザーが設定を上書きしにくく、挙動が統一される。個別に無効化したい端末がある場合はスコープ調整が必要。
安全性問題が解消された際に GPO を OFF に戻せば、全端末のサンドボックスを一斉に復帰可能。設定ミスをすると全社的に影響が出る可能性がある。

方法 3:代替ブラウザ(Firefox など)を暫定利用する

「レジストリやポリシーを変更する権限がない」「社内規程上、個別のブラウザ設定変更が難しい」といった場合は、一時的に Chromium 以外のブラウザに切り替えるのも現実的な選択肢です。

代替ブラウザ利用のポイント

  • Firefox やその他の非 Chromium ブラウザは、PrintCompositorLPAC の影響を受けないため、印刷が正常に動作するケースが多い。
  • 特定の社内 Web システムが Chrome / Edge 前提の作りになっている場合でも、「印刷時のみ Firefox を利用する」という運用で乗り切れる場合があります。
  • ブックマークや保存パスワードの移行が必要なケースもあるため、「印刷専用ブラウザ」と割り切って最低限の設定だけ行うのも一案です。

ただし、この方法はあくまで 「根本原因を回避するための暫定策」であり、最終的には Chromium 側の修正に合わせて本来のブラウザへ戻すことを前提に考えるとよいでしょう。

方法 4:公式アップデート適用後に無効化設定を必ず戻す

PrintCompositorLPAC はセキュリティ強化のために導入された機能であり、今回の不具合が解消された後は 本来あるべき状態(有効)に戻すのが望ましいです。

将来的な流れのイメージ

  1. 現在:Windows 10 + Chromium 125 以降の一部環境で「Print preview failed」が発生。
  2. 暫定対応:本記事で紹介した手段で PrintCompositorLPAC を無効化して印刷を継続。
  3. 今後:Chromium / Edge / Windows いずれかの更新で不具合が修正される可能性が高い。
  4. 修正後:無効化していた起動オプション / レジストリ / ポリシー設定を元に戻し、サンドボックスを再び有効にする。

設定を元に戻す手順の例

  • 起動オプション方式の場合:
    ショートカットの「リンク先」から --disable-features=PrintCompositorLPAC を削除し、ブラウザを再起動する。
  • Edge ポリシー(レジストリ)方式の場合:
    PrintingLPACSandboxEnabled の値を削除する、または 1(有効)に戻す。GPO を使用している場合は「未構成」か「有効」に変更する。

特に企業環境では、「いつ・どの端末に・どの方法で回避策を適用したのか」を簡単な台帳やドキュメントに残しておくと、後からいっせいに設定を戻す際に役立ちます。

やっても意味が薄い/非推奨な対応例

「Print preview failed」問題については、次のような対応を行っても根本的な解決にはつながりません。時間と労力を節約するためにも、あらかじめ知っておくと便利です。

対応内容効果コメント
プリンタドライバーの再インストールほぼ効果なしドライバー自体は正常でも、プレビュー生成側で失敗しているため。
ブラウザ拡張機能の削除ほぼ効果なし拡張機能が印刷処理を直接壊しているわけではない。
アンチウイルスソフトの無効化・アンインストール基本的に効果なし一時的に解決してもセキュリティリスクの方が大きい。
Windows の修復インストール / クリーンインストール原則として効果薄Chromium 側の仕様変更に起因するため、OS を入れ直しても再び再現する可能性が高い。

もちろん、別のトラブルが同時に発生しているケースもあり得ますが、「Print preview failed」という症状に限って言えば、PrintCompositorLPAC を無効化する対処を優先して検証する方が効率的です。

この問題が自分の環境かどうかを確認するチェックリスト

最後に、今遭遇している印刷トラブルが本記事で扱っている PrintCompositorLPAC 関連の不具合なのかを判断するためのチェックリストを用意しました。

質問はいいいえ判定の目安
OS は Windows 10 か?はいいいえWindows 10 での報告が中心のため、該当度が高い。
Chrome / Edge など Chromium 系だけで問題が起きているか?はいいいえはいの場合、本記事の不具合の可能性が高い。
Firefox 等では同じページが正常に印刷できるか?はいいいえはいなら Web サイト側ではなくブラウザ・OS 側の問題と判断しやすい。
印刷プレビュー画面がグレーアウトし「Print preview failed」と表示されるか?はいいいえこのメッセージが出るなら、ほぼ確実に今回の問題。
Snipping Tool の印刷でも似た現象が出るか?はいいいえはいの場合、OS と印刷サンドボックスの組み合わせ問題の可能性がさらに高まる。

これらの質問のうち、3 つ以上が「はい」であれば、PrintCompositorLPAC が原因となっている可能性が高いため、本記事で紹介した回避策を順に試してみてください。

個人利用・企業利用それぞれのおすすめ対応パターン

個人利用(自宅 PC・少数台)の場合

  • まずは 方法 1(起動オプションで無効化) を試す。
  • Edge しか使っていない場合でも、起動オプションで十分対応可能。
  • もし権限の問題などで難しければ、一時的に Firefox を印刷専用ブラウザとして導入する。
  • ブラウザや OS の更新で症状が消えたタイミングで、オプションを外して元の状態に戻す。

企業利用(多数のクライアント PC)の場合

ヘルプデスクや情報システム部門での現実的な対応案は次の通りです。

  1. まず数台のテスト端末で、起動オプション方式と Edge ポリシー方式の両方を検証する。
  2. Microsoft Edge を標準ブラウザとしている環境では、GPO で PrintingLPACSandboxEnabled を無効化する方針を検討する。
  3. Chrome を利用している部門には、起動オプション付きショートカットの配布や設定手順書の案内を行う。
  4. 「いつから」「どの PC に」「どの設定を行ったか」を記録し、ブラウザ/OS 更新後に設定を戻せるようにする。
  5. 機密性の高い業務で印刷を多用する部門については、代替ブラウザの一時利用も併用する。

このように、「一時的にセキュリティ機能を弱める分、どのように管理・記録するか」をあらかじめ決めておくことが重要です。

まとめ:「Print preview failed」は OS 壊れではなくサンドボックス機能の既知バグ

「Print preview failed(印刷プレビューに失敗しました)」と表示されると、どうしても OS やプリンタの深刻な障害を疑ってしまいがちですが、現時点で分かっている範囲では次のように整理できます。

  • 主な原因は、Windows 10 上の Chromium 系ブラウザに導入された PrintCompositorLPAC サンドボックス機能の既知バグ。
  • プリンタドライバー再インストールやアンチウイルス削除など、OS 側の大掛かりな作業では解決しない。
  • 起動オプションやポリシーで PrintCompositorLPAC を無効化することで、印刷をほぼ確実に復旧できる。
  • ただし、いずれも セキュリティ機能を一時的に弱める回避策であるため、将来的な公式修正後には設定を元に戻すことが望ましい。

もし、いままさに業務の中で「Print preview failed」エラーに悩まされているのであれば、まずは ショートカットの起動オプション追加から試してみてください。それでも難しい場合は、本記事で紹介した他の方法や代替ブラウザの利用も含め、環境に合った組み合わせで柔軟に対応していきましょう。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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