Windows 10のファイル履歴が「資格情報が無効」で失敗する原因とKB5120249による修正方法

Windows 10でネットワーク共有を保存先にしたファイル履歴が「資格情報が無効」と表示され、正しいユーザー名とパスワードを入力してもバックアップできない場合、資格情報ではなくWindows側の不具合が原因かもしれません。

Microsoftは、SMB共有へのファイル履歴の自動バックアップが誤った「invalid credentials」エラーで失敗し、予定されたバックアップでファイルがコピーされない問題を、2026年8月11日公開の累積更新プログラム「KB5120249」で修正しました。該当するWindows 10環境では、NASのユーザー設定やパスワードを変更する前に、KB5120249を適用してOSビルドを確認するのが最も確実な対処方法です。(マイクロソフトサポート)

この記事では、KB5120249の対象環境、実際の資格情報エラーとの見分け方、更新プログラムの適用手順、修正後の確認方法を具体的に解説します。

目次

Windows 10のファイル履歴で発生する資格情報エラーとは

ファイル履歴は、ドキュメント、画像、デスクトップなどの個人ファイルを定期的に外付けドライブやネットワーク上の保存先へコピーし、過去の状態から復元できるWindowsのバックアップ機能です。保存先には、NASやWindows ServerなどのSMB共有フォルダーも指定できます。(マイクロソフトサポート)

今回の不具合では、SMB共有に設定したユーザー名とパスワードが正しくても、ファイル履歴が資格情報を無効と誤判定します。

代表的な症状は次のとおりです。

  • エクスプローラーから同じ共有フォルダーを開ける
  • 同じアカウントでファイルの作成や削除ができる
  • ファイル履歴だけが「資格情報が無効」と表示する
  • 自動バックアップの予定時刻を過ぎてもファイルが増えない
  • NAS側には認証成功の履歴があるのにバックアップされない
  • ユーザー名とパスワードを再入力しても改善しない

Microsoftの説明では、この問題が発生すると、スケジュールされたファイル履歴のバックアップでファイルが一切コピーされない場合があります。画面にエラーが表示されるだけでなく、バックアップそのものが停止している可能性があるため注意が必要です。(マイクロソフトサポート)

KB5120249で修正された内容

KB5120249の主な情報は次のとおりです。

項目内容
更新プログラムKB5120249
公開日2026年8月11日
種類累積セキュリティ更新プログラム
修正対象ファイル履歴によるSMB共有への自動バックアップ
発生するエラー正しい資格情報を「invalid credentials」と誤判定
不具合の影響スケジュールされたバックアップでファイルがコピーされない
修正後のビルド19045.7663または19044.7663

KB5120249には、ファイル履歴の資格情報エラー以外にも、セキュリティ修正やSecure Boot証明書に関する更新が含まれています。(マイクロソフトサポート)

KB5120249の対象となるWindows 10

KB5120249のサポートページでは、主に次の環境が対象として案内されています。

Windows 10環境バージョン・系列修正後のOSビルド
Windows 10 ESU対象端末バージョン22H219045.7663
Windows 10 Enterprise LTSC 2021バージョン21H2系列19044.7663
Windows 10 IoT Enterprise LTSC 2021バージョン21H2系列19044.7663

Windows 10の通常版22H2は、2025年10月14日に無償サポートが終了しています。そのため、2026年8月のKB5120249を受け取るには、原則としてESUの対象になっている必要があります。Enterprise LTSC 2021とIoT Enterprise LTSC 2021は、それぞれのサポートライフサイクルに基づいて更新が提供されます。(マイクロソフトサポート)

通常のWindows 10 HomeまたはProで更新プログラムが表示されない場合は、単なるWindows Updateの故障ではなく、ESUへの登録状況が関係している可能性があります。

本物の資格情報エラーとWindowsの不具合を見分ける方法

「資格情報が無効」と表示されたからといって、すべてがKB5120249の不具合とは限りません。最初にSMB共有そのものへ正常に接続できるか確認します。

判断の目安

確認結果考えられる原因
エクスプローラーでも共有フォルダーを開けないユーザー名、パスワード、ネットワーク、SMB設定の問題
共有フォルダーは開けるがファイルを作成できない共有アクセス権またはNTFSアクセス権の不足
読み書きできるがファイル履歴だけ失敗するKB5120249で修正された不具合の可能性が高い
USBドライブを保存先にしても失敗するSMB資格情報とは別のファイル履歴エラー
KB5120249適用後も失敗する保存済み資格情報、共有権限、容量、ファイル履歴設定を再確認

エクスプローラーで接続を確認する

エクスプローラーのアドレス欄に、ファイル履歴で使用している共有フォルダーのパスを入力します。

\\サーバー名\共有名

NASをIPアドレスで指定している場合は、次のように入力します。

\\192.168.1.10\backup

共有フォルダーを開いたら、テキストファイルを新規作成し、名前の変更と削除まで行ってください。

フォルダーを表示できてもファイルを作成できない場合、バックアップ先として必要な書き込み権限がありません。この場合はKB5120249を適用しても解決しないため、NASやサーバー側のアクセス権を修正する必要があります。

コマンドでSMB認証を確認する

コマンドプロンプトから確認する場合は、次の形式で実行します。

net use \\サーバー名\共有名 /user:サーバー名\ユーザー名 *

末尾をアスタリスクにすると、パスワードをコマンド内へ直接記述せずに入力できます。

認証確認後、接続を解除する場合は次を実行します。

net use \\サーバー名\共有名 /delete

同じサーバーへ別のユーザー情報ですでに接続していると、資格情報が正しくても接続できないことがあります。その場合は、開いているファイルや共有フォルダーを閉じてから、既存の接続を確認します。

net use

KB5120249をインストールする手順

Windows Updateからインストールする

一般的な端末では、Windows Updateからの適用を優先します。

  1. 「スタート」を開く
  2. 「設定」を開く
  3. 「更新とセキュリティ」を選択する
  4. 「Windows Update」を開く
  5. 「更新プログラムのチェック」をクリックする
  6. KB5120249を含む累積更新プログラムをインストールする
  7. Windowsを再起動する

KB5120249は、Windows UpdateとWindows Update for Businessから自動配布されるほか、Microsoft Update CatalogおよびWSUSでも提供されています。(マイクロソフトサポート)

更新一覧に「KB5120249」と明示されず、後続の累積更新プログラムが表示されることもあります。その場合は、KB番号だけで判断せず、インストール後のOSビルドを確認してください。

Microsoft Update Catalogから手動で適用する

Windows Updateで表示されない場合は、Microsoft Update Catalogで「KB5120249」を検索し、端末のバージョンとシステムの種類に合ったパッケージをダウンロードします。

選択時は、少なくとも次の点を確認してください。

  • Windows 10 22H2か、LTSC 2021の21H2系列か
  • x64、x86、Arm64などのシステムの種類
  • ESUまたはLTSCとして更新対象になっているか
  • すでに新しい累積更新プログラムが入っていないか

手動インストール後は、再起動が求められていなくても一度再起動し、ファイル履歴を再実行するのが確実です。

WSUS管理環境で配信する

Microsoftが案内しているWSUSの同期設定は次のとおりです。

対象WSUSの製品分類
Windows 10 22H2Windows 10, version 1903 and laterSecurity Updates
Windows 10 21H2・LTSC系列Windows 10 LTSBSecurity Updates

LTSC 2021であるにもかかわらずWSUS上に更新が表示されない場合は、「Windows 10 LTSB」の製品分類が同期対象になっているか確認してください。製品名に「LTSB」と表示されますが、LTSC系列の更新でも使用される分類です。(マイクロソフトサポート)

長期間更新していない端末はSSUにも注意する

Microsoftは、KB5120249を適用する前に最新のServicing Stack Updateが必要と案内しています。通常のWindows Updateでは必要な更新が自動的に処理されますが、古いOSイメージへのオフライン適用や、長期間更新されていない端末へのWSUS配信では、前提となるSSUが不足している可能性があります。(マイクロソフトサポート)

更新プログラムが「このコンピューターには適用できません」と表示される場合は、OSのエディション、バージョン、システムの種類に加え、適用済みの累積更新とSSUを確認してください。

KB5120249が適用されたか確認する方法

winverで確認する

WindowsキーとRキーを押して、次を入力します。

winver

表示されたOSビルドが次の値以上であることを確認します。

Windows 10修正済みビルド
バージョン22H219045.7663以上
バージョン21H2・LTSC 202119044.7663以上

後続の累積更新プログラムを適用している場合は、これより大きいビルド番号が表示されます。

PowerShellで確認する

PowerShellを開き、次のコマンドを実行します。

$cv = Get-ItemProperty 'HKLM:\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion'

[pscustomobject]@{
    ProductName    = $cv.ProductName
    DisplayVersion = $cv.DisplayVersion
    OSBuild        = "$($cv.CurrentBuild).$($cv.UBR)"
}

実行結果の例は次のとおりです。

ProductName                 DisplayVersion OSBuild
-----------                 -------------- -------
Windows 10 Enterprise LTSC  21H2           19044.7663

KB5120249そのものの登録を確認する場合は、次のコマンドも利用できます。

Get-HotFix -Id KB5120249

ただし、後続の累積更新プログラムに置き換えられている場合、KB5120249が個別に表示されないことがあります。最終的にはOSビルドとWindows Updateの更新履歴を確認してください。

更新後にファイル履歴のバックアップを再実行する

KB5120249をインストールしただけでは、バックアップが正常に再開したか断定できません。実際のファイルを使って確認します。

ファイル履歴を手動実行する

  1. コントロールパネルを開く
  2. 「システムとセキュリティ」を選択する
  3. 「ファイル履歴でファイルのバックアップコピーを保存」を開く
  4. 保存先のネットワーク共有が選択されていることを確認する
  5. 「今すぐ実行」をクリックする

保存先が解除されている場合は、「ドライブの選択」からネットワーク上の保存先を選び直します。ファイル履歴は、外付けドライブだけでなくネットワーク上の場所も保存先として指定できます。(マイクロソフトサポート)

テストファイルで確認する

バックアップ画面に「完了」と表示されるだけでなく、実際にファイルが復元できることを確認してください。

  1. 「ドキュメント」フォルダーにテキストファイルを作成する
  2. 分かりやすい名前を付ける
FileHistory-test-20260830.txt
  1. ファイル履歴の「今すぐ実行」をクリックする
  2. 「個人用ファイルの復元」を開く
  3. テストファイルが表示されることを確認する
  4. テストファイルを編集して再度バックアップする
  5. 編集前と編集後の履歴を切り替えられることを確認する

この方法なら、単に共有フォルダーへ接続できたかではなく、ファイル履歴による世代管理まで正常に機能しているか確認できます。

ファイル履歴のイベントログを確認する

更新後もバックアップされない場合は、ファイル履歴のイベントログを確認します。

PowerShellを管理者として開き、次を実行します。

Get-WinEvent `
  -LogName 'Microsoft-Windows-FileHistory-Engine/BackupLog' `
  -MaxEvents 30 |
Select-Object TimeCreated, Id, LevelDisplayName, Message |
Format-List

確認するポイントは、エラーの発生日時です。KB5120249適用前の古い資格情報エラーが残っていても、更新後のバックアップが成功していれば問題ありません。

更新後の日時でエラーが記録されている場合は、メッセージ内の共有パス、対象ファイル、エラーコードを確認します。

KB5120249適用後も資格情報エラーが出る場合

修正済みビルドでもエラーが続く場合は、次の順番で確認します。

Windows資格情報を確認する

Windowsには、NASやファイルサーバーへ接続するための資格情報が保存されています。古いパスワードや別ユーザーの情報が残っていると、ファイル履歴が意図しない資格情報を使用することがあります。

  1. タスクバーの検索欄に「資格情報マネージャー」と入力する
  2. 「資格情報マネージャー」を開く
  3. 「Windows資格情報」を選択する
  4. 対象となるNASまたはサーバー名の登録を探す
  5. ユーザー名が正しいか確認する
  6. 必要な場合だけ対象の登録を削除する
  7. エクスプローラーから再接続して正しい資格情報を入力する

資格情報マネージャーでは、ネットワークやアプリへのサインインに使用する保存済み資格情報を確認、削除できます。(マイクロソフトサポート)

すべてのWindows資格情報をまとめて削除すると、別の共有フォルダー、リモート接続、業務システムへ影響する可能性があります。削除する場合は、対象サーバーに対応する登録だけに限定してください。

ユーザー名の形式を変えて確認する

環境によって、必要なユーザー名の形式が異なります。

NASのローカルユーザーを使用する例は次のとおりです。

NAS名\backupuser

Active Directoryのアカウントを使用する例は次のとおりです。

DOMAIN\username

Microsoft Entra IDやMicrosoftアカウントを利用しているPCでも、NAS側のローカルアカウントを使用する場合は、Windowsへサインインしているメールアドレスではなく、NASで作成したユーザー名が必要です。

共有権限とファイルシステム権限を確認する

Windows Serverを保存先にしている場合は、共有アクセス許可とNTFSアクセス許可の両方を確認します。

ファイル履歴の保存先には、少なくとも次の操作が必要です。

  • フォルダーの作成
  • ファイルの作成
  • ファイルへの追記
  • ファイル名の変更
  • バックアップデータの読み取り
  • 不要になった履歴の削除

読み取り権限だけでは、共有フォルダーを開けてもファイル履歴は実行できません。

NASの空き容量とクォータを確認する

共有フォルダー全体に空き容量があっても、ユーザー単位または共有フォルダー単位のクォータに達している場合があります。

NASの管理画面で次を確認してください。

  • ボリューム全体の空き容量
  • 共有フォルダーの容量制限
  • ユーザーごとのクォータ
  • スナップショットの使用容量
  • ごみ箱や過去のバックアップデータ
  • ファイル数の上限

資格情報エラーに見えても、NAS側の容量不足や書き込み拒否が原因になっていることがあります。

ファイル履歴の保存先を選び直す

保存済みの接続情報に問題がある場合は、ファイル履歴の保存先を選び直します。

  1. コントロールパネルの「ファイル履歴」を開く
  2. 「ドライブの選択」をクリックする
  3. 別のドライブまたはネットワーク上の保存先を一時的に選択する
  4. 元のSMB共有を選び直す
  5. 「今すぐ実行」で動作を確認する

既存の履歴を残したい場合は、NAS上のファイル履歴フォルダーを削除しないでください。保存先を初期化すると、過去のバージョンを参照できなくなる可能性があります。

資格情報エラーの回避目的で行わない方がよい設定

SMB1を有効にしない

「資格情報が無効」というエラーを見て、古いNASとの互換性を疑い、SMB1を有効にする対処方法が紹介されることがあります。

しかし、KB5120249で修正される問題は、正しいSMB資格情報をWindowsが誤判定する不具合です。SMB1を有効にしても根本的な修正にはなりません。

Microsoftは、SMB1には重大なセキュリティ上の脆弱性があるとして、使用しないことを強く推奨しています。(Microsoft Learn)

安全でないゲストログオンを有効にしない

NASのユーザー認証を無効にし、ゲストアクセスへ変更する方法も避けてください。

安全でないゲストログオンでは、SMB署名やSMB暗号化などの保護機能を利用できず、なりすましや中間者攻撃、資格情報の窃取につながるおそれがあります。Microsoftも、ゲスト認証しか利用できない機器については、機器やソフトウェアの更新または交換を推奨しています。(Microsoft Learn)

セキュリティ更新プログラムをアンインストールしない

ファイル履歴の不具合を回避する目的で、過去のセキュリティ更新プログラムをアンインストールするのも適切ではありません。

KB5120249は累積セキュリティ更新プログラムであり、ファイル履歴の修正だけでなく、複数のセキュリティ修正を含みます。基本的には更新を戻すのではなく、修正済みの累積更新へ進める方針で対応してください。(マイクロソフトサポート)

KB5120249適用前に確認したいBitLockerの既知の問題

KB5120249には、特定のBitLockerグループポリシーを設定している一部の管理端末で、更新後最初の再起動時にBitLocker回復キーの入力を求められる既知の問題があります。

Microsoftによると、主に次の条件をすべて満たす端末が対象です。

  • OSドライブでBitLockerが有効
  • TPMのプラットフォーム検証プロファイルをグループポリシーで明示的に設定
  • 検証プロファイルにPCR7を含めている
  • システム情報でPCR7バインドが「不可能」と表示される
  • Windows UEFI CA 2023証明書を受信済み
  • 2023署名のWindows Boot Managerへまだ切り替わっていない

一般の個人端末で該当する可能性は低いものの、企業や自治体などでBitLockerポリシーを管理している場合は、KB5120249を配信する前に回復キーが保管されていることを確認してください。Microsoftは、該当端末に対してPCR7を明示したポリシーを解除し、BitLockerのバインドを更新する回避策を案内しています。(マイクロソフトサポート)

BitLockerを恒久的に無効化する必要はありません。管理端末では、回復キーの所在とグループポリシーの状態を確認してから展開することが重要です。

ファイル履歴の資格情報エラーを解決するための確認順序

Windows 10のファイル履歴が「資格情報が無効」で失敗する場合は、次の順番で対応すると、不要な設定変更を避けられます。

  1. エクスプローラーからSMB共有を開けるか確認する
  2. 共有フォルダー内でファイルを作成、変更、削除できるか確認する
  3. Windows 10のエディションとバージョンを確認する
  4. winverでOSビルドを確認する
  5. KB5120249または後続の累積更新を適用する
  6. Windowsを再起動する
  7. ファイル履歴を「今すぐ実行」する
  8. テストファイルが復元画面に表示されるか確認する
  9. 改善しない場合だけ保存済み資格情報と共有権限を見直す
  10. イベントログで更新後のエラーを確認する

エクスプローラーから共有フォルダーへ正常に読み書きでき、ファイル履歴だけが資格情報エラーで停止しているなら、パスワード変更を繰り返すより先にKB5120249の適用状況を確認してください。

修正後は、画面上の成功表示だけで判断せず、テストファイルを作成してバックアップと復元の両方を確認することが重要です。また、ファイル履歴は個人ファイルの世代管理を目的とした機能です。Windows全体の復旧やサーバー障害に備える場合は、システムイメージや別媒体へのバックアップも併用してください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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