SCCM(Current Branch 2002)の「Windows 10 Servicing」を使って、Windows 10 1809 クライアントを 1909 以降へ機能更新したいのに、一覧には 1903 しか表示されず先へ進めない――この症状は、Software Update Point(SUP/WSUS)の同期対象設定が原因で起きることが多いです。表示されない理由と、最短で復旧するための確認・修正手順をまとめます。
現象:Windows 10 Servicing のアップグレード一覧に 1903 しか出てこない
「Windows 10 Servicing」は、SCCM が SUP(WSUS)から同期した Feature Update(機能更新プログラム) を一覧表示し、条件に合うものを「Servicing Plan」で段階展開できる機能です。ところが環境によっては、期待する 1909/2004/20H2… といったバージョンが見つからず、1903 だけが表示される ことがあります。
| 項目 | 例(よくある構成) | この問題との関係 |
|---|---|---|
| SCCM バージョン | Current Branch 2002 | Windows 10 Servicing で Feature Update を扱える |
| サイトサーバー OS | Windows Server 2016 Standard | SUP(WSUS)連携の設定ミスが影響しやすい |
| 対象クライアント | Windows 10 1809 | 1909 以降へアップグレードしたい |
| 症状 | Windows 10 Servicing に 1903 しか出ない | 1909 以降が同期されていない可能性が高い |
この時点で重要なのは、コンソール表示の問題というよりも、「そもそも 1909 以降の Feature Update を SCCM が取り込めていない」 可能性が高い点です。次の章で、なぜ「1903 はあるのに 1909 以降が無い」という不思議な状態が起きるのかを整理します。
まず押さえる:Windows 10 Servicing は「SUP で同期した更新」しか表示できない
Windows 10 Servicing は単独で Microsoft から更新を探しに行く機能ではありません。更新の取り込みは、あくまで Software Update Point(SUP) が担当します。SUP は内部的に WSUS を使い、WSUS が Microsoft Update と同期したメタデータを SCCM が取り込みます。
つまり、Windows 10 Servicing に表示される Feature Update は、次の条件を満たしたものだけです。
- SUP の設定で「製品(Products)」として対象の Windows 10 製品カテゴリが選ばれている
- SUP の設定で「分類(Classifications)」として Upgrades(アップグレード) が有効になっている
- 同期(WSUS/SUP 同期)が正常に完了している
- (環境によっては)言語設定やフィルター条件により除外されていない
このうち、今回の「1903 だけ出る」パターンで最も多いのが Products の選択漏れ です。
原因:SUP の「製品」で 1909 以降を含むカテゴリが未選択
Windows 10 の Feature Update は、WSUS 上では「製品カテゴリ」に紐づいて配信されます。ここでハマりやすいのが、WSUS/SUP の製品カテゴリがずっと「Windows 10」だけだと、ある時点から 新しい Feature Update が入ってこなくなる ことです。
「1903 は見えるのに、それより新しい 1909 が見えない」状態は、まさにこの境目を踏んでいる可能性が高いです。イメージとしては次のように考えると理解が早くなります。
| Windows 10 のバージョン例 | SUP(WSUS)で主に関係する製品カテゴリ | 現象として起こりやすいこと |
|---|---|---|
| ~ 1903 | Windows 10 | このカテゴリだけを選んでいると、1903 までは一覧に出ることがある |
| 1909 以降 | Windows 10, version 1903 and later | ここを選んでいないと、1909 以降が同期されず一覧に出ない |
具体的には、次の設定が抜けていると、1909 以降が Windows 10 Servicing に現れません。
| SUP(製品)で必要になりやすい項目 | 役割 | チェック漏れ時に起きること |
|---|---|---|
| Windows 10, version 1903 and later | 1903 以降の Feature Update のメインカテゴリ | 1909 / 2004 / 20H2… が同期されず、Windows 10 Servicing に出ない |
| Windows 10 | 従来の Windows 10 更新カテゴリ | 環境によっては 1903 までが見える/それ以降が見えない、という状態になりがち |
| Windows 10, version 1903 and later, Servicing Drivers(任意) | ドライバー更新を WSUS/SUP 経由で扱う場合に利用 | ドライバー配布をしていないなら未選択でも致命傷ではない |
要点はシンプルで、「1909 以降を含む製品カテゴリにチェックが入っていない限り、同期元に存在しない扱いになる」 ということです。コンソール上で一生探しても出てこないので、まず SUP の製品設定を疑うのが近道です。
対処手順:SUP の Products を修正し、同期をやり直す
復旧は「チェックを入れて同期する」だけで完了することがほとんどです。以下は SCCM コンソールでの代表的な手順です(環境によりメニュー名が英語表記の場合があります)。
SUP の「製品(Products)」を見直す
- SCCM コンソールで [Administration] ワークスペースへ移動します。
- [Site Configuration]→[Sites] を開きます。
- 上部リボンまたは右クリックから [Configure Site Components]→[Software Update Point](Software Update Point Component Properties)を開きます。
- [Products] タブで、「Windows 10, version 1903 and later」 にチェックを入れます。
- 必要に応じて、従来の 「Windows 10」 も維持します(既存運用との整合のため)。
- [OK]で閉じます。
「Products は見ていたはずなのに…」という場合でも、チェック対象が多いと見落としが起こりがちです。特に “version 1903 and later” の表記は紛らわしいので、ここだけは必ず再確認してください。
分類(Classifications)で Upgrades が有効か確認する
Products を直しても、Upgrades が無効だと Feature Update 自体が入ってきません。同じ画面の [Classifications] タブで次を確認します。
- Upgrades(アップグレード) にチェックが入っている
加えて、通常運用では「Security Updates」「Critical Updates」なども有効にしていることが多いですが、今回の目的(機能更新の一覧表示)に直結するのは Upgrades です。
ソフトウェア更新の同期(WSUS/SUP 同期)を実行する
設定変更後は、反映のために同期を実行します。
- [Software Library] ワークスペースへ移動します。
- [Software Updates] を開き、リボンから [Synchronize Software Updates](同期)を実行します。
- [Monitoring]→[Software Update Point Synchronization Status] で同期が成功したことを確認します。
同期に成功すると、Windows 10 Servicing 側の一覧が増え、1909 以降の Feature Update が確認できるようになります。表示名としては、たとえば次のような “Feature update to Windows 10 … version 1909 …” 形式の更新が並ぶイメージです(表記はエディションや言語で変わります)。
Feature update to Windows 10 (business editions), version 1909, x64-based systems
Feature update to Windows 10, version 1909, x64-based systems
| 作業 | 期待する変化 | うまくいかないときのヒント |
|---|---|---|
| Products に「Windows 10, version 1903 and later」を追加 | 1909 以降の Feature Update が同期対象になる | チェックを入れたのが「Servicing Drivers」だけになっていないか確認 |
| Classifications で Upgrades を有効化 | Feature Update のメタデータが取り込まれる | Upgrades が外れていると「製品が正しくても」出ない |
| 同期を実行し、成功を確認 | Windows 10 Servicing に新しいバージョンが現れる | 同期が失敗している場合はログを先に見る |
反映確認のポイント:まず「同期できているか」を見極める
「チェックを入れたのに表示が増えない」場合は、次の順で切り分けると迷いません。
Windows 10 Servicing の画面だけを見て悩まない
Windows 10 Servicing はあくまで “結果の一覧” です。ここに何も出ないときは、原因が上流(同期やカテゴリ設定)にあることが多いので、まず同期ステータスとログを確認します。
ログを見るなら、まずはこの4つ
SCCM のソフトウェア更新関連はログが多いですが、最初の当たりとしては次を押さえると十分です。
| ログ | 見る目的 | よく見るポイント |
|---|---|---|
| wsyncmgr.log | 同期(Sync)の実行状況 | 同期開始/終了、エラーの有無、同期が「成功」しているか |
| wcm.log | SUP コンポーネント設定の反映 | Products/Classifications の変更が取り込まれたか |
| wsusctrl.log | SCCM と WSUS の疎通 | WSUS が応答しているか、接続・証明書周りの問題がないか |
| SUPSetup.log | SUP ロールのインストール/更新状況 | ロールの構成変更時にエラーがないか |
ログ確認のコツは「難しい原因特定」を最初から狙わないことです。まずは次のどちらかを判定できれば十分です。
- 同期そのものが失敗している(ネットワーク、プロキシ、証明書、WSUS など)
- 同期は成功しているが、同期対象(Products/Classifications/言語)が足りない
まだ 1909 以降が出ないときの追加チェックリスト
多くは Products と Upgrades で解決しますが、環境差で詰まりやすい点もあります。次のチェックを上から順に潰すと、遠回りしにくいです。
| チェック項目 | 確認する場所 | 理由・補足 |
|---|---|---|
| Upgrades(アップグレード)が有効 | Software Update Point Component Properties → Classifications | Feature Update の分類。無効だと一覧に出ない |
| 製品「Windows 10, version 1903 and later」が有効 | Software Update Point Component Properties → Products | 1909 以降を含む製品カテゴリ。最重要 |
| 言語設定が絞り込み過ぎていない | SUP/WSUS の言語設定 | Feature Update は言語別に存在するため、必要言語が除外されていると取り込めないことがある |
| 同期が完了している(失敗・途中停止していない) | Monitoring の同期ステータス / wsyncmgr.log | 同期が失敗していると当然表示されない。まず成功を確認 |
| コンソール表示の更新が追いついていない | Windows 10 Servicing 画面 | 同期直後は反映までタイムラグが出ることがある。画面更新や時間を置いた再確認が有効 |
| Servicing Plan の条件が厳しすぎない | Servicing Plan のルール(言語・ターゲットバージョン等) | 一覧表示はあるがプレビューに出ない場合、条件で除外している可能性 |
「1909 が必要」より「目的に合う最新のバージョン」を考える
今回のトラブルシュートは「1909 が見えない」を起点にしていますが、実運用では「どこまで上げるか」のほうが重要です。機能更新はバージョンごとにサポート期限があるため、検証コストをかけるなら より新しいターゲット を選ぶ方がトータルの負担が減ることもあります。
ただし、まずは一覧に出ない問題を解消しない限り、どのバージョンも展開できません。次章では、Windows 10 Servicing を使う際の “運用で事故りにくい考え方” をまとめます。
実運用のコツ:Windows 10 Servicing とタスクシーケンスを使い分ける
Feature Update の展開方法は、環境や要件によって向き不向きがあります。Windows 10 Servicing は便利ですが、次のような条件があると「最初からタスクシーケンスのほうが楽だった」ということもあります。
| 観点 | Windows 10 Servicing(Servicing Plan) | タスクシーケンス(インプレースアップグレード) |
|---|---|---|
| 設定の要 | SUP の Products/Classifications/同期がすべて | OS イメージ(アップグレードパッケージ)中心で制御できる |
| 対象条件の付けやすさ | リング展開に強い(段階的に自動展開しやすい) | 事前・事後処理(アプリ停止、BIOS設定、暗号化制御など)を組み込みやすい |
| 失敗時の復旧 | 更新の仕組みに依存するため、原因が WSUS 側に寄りがち | 手順が明示できるので、ログやリトライ設計を作り込みやすい |
| おすすめの使いどころ | 標準的なクライアント群をリング展開したい場合 | 特殊な前提条件がある端末(業務アプリ、VPN、暗号化、周辺機器)が多い場合 |
今回のように「一覧に出ない」問題は、Servicing Plan による機能更新に初めて取り組むタイミングで特に起きがちです。逆に言えば、SUP の製品・分類・同期の型を一度整えてしまえば、以後の Feature Update の追従はかなり楽になります。
まとめ:1903 しか出ないときは、まず SUP の Products を疑う
- Windows 10 Servicing の一覧は、SUP(WSUS)の同期結果に依存する
- 「Windows 10, version 1903 and later」 が Products で未選択だと、1909 以降が同期されず一覧に出ない
- Classifications の Upgrades が無効でも Feature Update が入ってこない
- 設定変更後は同期を実行し、Monitoring とログで「成功」を確認してから一覧を確認する
「1903 までは見えるのに 1909 が見えない」という状態は、SUP の “製品カテゴリの境目” を踏んでいるサインです。まずは Products と Upgrades を押さえ、同期を成功させる。これだけで、Windows 10 Servicing の世界が一気に前に進みます。

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