BitLocker 回復画面が何度も出て Windows が起動せず、青い画面に「回復キーを入力してください」と表示され続ける――そんな“無限ループ”状態は、家庭でも会社でも突然起こり得ます。本記事では、エラー コード「E_FVE_USER_REQUESTED_RECOVERY」が出るケースを中心に、PC を起動できるようにする具体的な手順とデータを守るポイントを詳しく解説します。
BitLocker ブルースクリーン「E_FVE_USER_REQUESTED_RECOVERY」とは
BitLocker を有効にしている Windows 10 / Windows 11 PC では、起動時に何らかの異常を検知すると、通常のサインイン画面ではなく「BitLocker 回復画面」が表示されることがあります。その際に表示される代表的なエラー コードのひとつが E_FVE_USER_REQUESTED_RECOVERY です。
このエラーは「ディスクの暗号化キーそのものが壊れた」というより、Windows が起動プロセスの異常を検知したため、ユーザーに回復キーの入力を要求し、回復モードに移行したことを意味します。ところが、回復キーを正しく入力しても Windows が正常起動せず、再び同じ回復画面に戻ってしまう「無限ループ」に陥ることがあります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| エラー コード | E_FVE_USER_REQUESTED_RECOVERY |
| 主な意味 | 起動時の異常検知により、BitLocker が回復モードに強制移行した状態 |
| よくある症状 | 回復キーを入力しても Windows が起動せず、回復画面と再起動を繰り返す |
| 原因の中心 | OSやブートローダーの問題、更新失敗、ハードウェア変更などの「起動トラブル」 |
エラー コードの誤解を解いておく
「BitLocker のエラー」と聞くと、暗号化自体が壊れてしまったイメージを持ちがちですが、E_FVE_USER_REQUESTED_RECOVERY の多くは OS 側のトラブルが発端 です。回復キーを入力したタイミングで誤った操作をしているわけではありません。
つまり、無限ループから抜け出すには、BitLocker を解除することよりも、まず OS の起動トラブルを修復することが重要 になります。この考え方を押さえておくと、次に何をすべきか判断しやすくなります。
BitLocker 回復画面の無限ループが起きる主な原因
回復キーを入力しても Windows がデスクトップまで到達せず、再び BitLocker 回復画面に戻ってしまう主な原因として、次のようなものが考えられます。
- Windows Update 中の強制終了や失敗により、起動ファイルが破損した
- ストレージドライバーやグラフィックドライバーの更新に失敗した
- BIOS / UEFI 設定の変更(Secure Boot、TPM 設定、起動モード変更など)
- SSD / HDD の物理的な故障、またはセクタ不良
- 外付けストレージや周辺機器の影響でブート順序が乱れている
| 原因カテゴリ | 具体例 | チェックポイント |
|---|---|---|
| OS/更新プログラム | 更新中に電源が落ちた、更新後から起動しない | スタートアップ修復・更新プログラムのアンインストール |
| ドライバー | グラフィック/ストレージドライバー更新直後から不調 | セーフ モード起動後にドライバーをロールバック |
| BIOS / UEFI | ブートモード変更(Legacy / UEFI)、TPM 無効化など | 設定を元に戻す、またはデフォルトにリセット |
| ハードウェア | SSD の異音や極端な動作遅延、SMART エラー | 重要データのバックアップを優先して取得 |
| 周辺機器 | USB メモリや外付け HDD を挿したまま起動 | すべて外してから再起動し、変化を確認 |
作業前に必ず確認しておきたいこと
トラブルシューティングを始める前に、次のポイントを必ず確認しておきましょう。特に BitLocker 回復キーは最優先です。
- BitLocker 回復キーが手元にあるか
- 印刷した紙、USB に保存したテキストファイル、管理者が保管している一覧など
- 職場 PC の場合は、IT 管理者(情報システム部門)に回復キーの管理方法を確認する
- Microsoft アカウントでサインインしている PC か
- 家庭用 PC の場合、別の端末から Microsoft アカウントにサインインして回復キーを確認できる場合があります
- ノート PC の場合は AC アダプターを接続しておく
- 不要な周辺機器(USB メモリ、外付け HDD、プリンター等)はすべて外しておく
BitLocker 回復キーがどうしても見つからない場合、そのドライブに保存されたデータを復号する方法は、事実上存在しません。以降の操作でも回復キーが必要になる場面が多いため、可能な限り回復キーの捜索を最優先してください。
Windows 回復環境(WinRE)へ強制的に入る方法
BitLocker 回復画面の無限ループから抜け出すには、まず Windows 回復環境(WinRE) に入ることが重要です。BitLocker の画面から抜けられなくても、次の手順で WinRE を強制的に起動できる場合があります。
- 電源ボタンを押して PC を起動します。
- メーカー ロゴと、下に回転する白い点(読み込み中のインジケーター)が表示されたら、電源ボタンを長押し(5〜10 秒)して強制的に電源を切ります。
- 同じ操作を 合計 2 回 繰り返します。
- 3 回目 の起動時、自動的に「自動修復を準備しています」等のメッセージが表示され、Windows 回復環境(WinRE) が起動することが期待できます。
| 段階 | 画面の目安 | 行う操作 |
|---|---|---|
| 1回目の起動 | メーカー ロゴ+回転する点 | そのタイミングで電源ボタン長押し → 強制電源オフ |
| 2回目の起動 | 同上 | 同様に電源ボタン長押しで強制オフ |
| 3回目の起動 | 「自動修復を準備しています」などの表示 | そのまま待つと WinRE 画面(「オプションの選択」)が表示される |
WinRE が起動したら、「オプションの選択」画面で 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」 と進みます。ここから、スタートアップ修復やセーフ モードなど、起動トラブルを直すためのメニューにアクセスできます。
WinRE で利用できる主な修復メニュー
| メニュー | 概要 | どんな時に使うか |
|---|---|---|
| スタートアップ修復 | 起動に必要なファイルや設定の問題を自動的に診断・修復する | Windows ロゴから先に進まない、再起動を繰り返す場合の第一候補 |
| システムの復元 | 作成済みの復元ポイントの状態にシステムファイルを戻す | ドライバー更新やソフトインストール後から不具合が出た場合 |
| セーフ モード | 最小限のドライバーとサービスのみで Windows を起動する | セーフ モードで起動できるなら、ドライバーのロールバックやアンインストールが可能 |
| コマンド プロンプト | コマンド操作で起動領域の修復やファイルコピーを行う | BitLocker の一時解除、chkdsk や sfc /scannow などの詳細な修復を行いたい場合 |
| この PC を初期状態に戻す | Windows を初期化してクリーンに近い状態に戻す | ほかの方法で復旧が見込めない最終手段。事前のバックアップが必須 |
WinRE に入れない場合の代替策:インストールメディアや回復ドライブを使う
電源の強制オフを繰り返しても WinRE が起動しない場合は、別の PC を使って Windows 11 インストールメディア または 回復ドライブ(USB) を作成する方法があります。
別 PC でインストールメディア / 回復ドライブを作る
- 別の正常に動作している Windows PC を用意します。
- 8GB 以上の USB メモリを用意し、中のデータをバックアップしておきます(作成途中で初期化されるため)。
- Windows 11 用のツールを使ってインストールメディア または 回復ドライブ を作成します。
- 作成した USB メモリをトラブルが起きている PC に挿し、電源を入れます。
- 起動時に ブートメニューキー(例:F12、F8、Esc など) を押し、USB から起動します。
USB から起動できたら、インストール画面で「今すぐインストール」を選ばず、「コンピューターを修復する」 をクリックすることで、WinRE と同様の修復メニューにアクセスできます。
BitLocker を一時解除して起動を試す(起動できる場合のみ)
OS の修復を行う際、BitLocker を一時的に無効化(保護を中断) すると、再起動後に毎回回復キーを求められる手間を減らせる場合があります。ただし、これは 回復キーが分かっていて、かつ WinRE のコマンド プロンプト等にアクセスできる場合のみ に限定してください。
BitLocker 一時解除の手順
- WinRE から 「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「コマンド プロンプト」 を開きます。
- BitLocker で暗号化されているドライブ(通常は C:)を回復キーでアンロックします。
manage-bde -unlock C: -RecoveryPassword <48桁の回復キー>
- 続けて、BitLocker の保護を一時的に無効化します。
manage-bde -protectors -disable C:
- コマンド プロンプトを終了し、PC を再起動します。
- BitLocker の保護が一時停止された状態で Windows の起動を試し、スタートアップ修復やドライバーのロールバックなどを行います。
問題が解決したら、再度コマンド プロンプトを開き、BitLocker の保護を有効化します。
manage-bde -protectors -enable C:
BitLocker の一時解除は セキュリティ上のリスクも伴うため、作業が終わったら必ず再度有効化 することを忘れないでください。
具体的な修復シナリオと対処の流れ
Windows Update 後から BitLocker 回復ループが始まった場合
大規模な機能更新や累積更新プログラムの適用直後に E_FVE_USER_REQUESTED_RECOVERY が発生し、回復画面ループに陥ることがあります。この場合は、次の順番で対処を試します。
- WinRE を起動し、「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「スタートアップ修復」を実行する。
- 改善しない場合、「詳細オプション」から「更新プログラムのアンインストール」を選択し、直近の更新をアンインストールする。
- それでも起動しない場合、「システムの復元」で更新前の復元ポイントに戻せないか試す。
ドライバー更新やソフトインストール後から不具合が出た場合
グラフィックドライバーやストレージドライバーなど、起動に関わるドライバー更新後からブルースクリーンが頻発し、結果的に BitLocker 回復モードに移行するケースもあります。
- WinRE から「詳細オプション」→「スタートアップ設定」→「再起動」と進む。
- 再起動後に表示されるリストで 「4)セーフ モードを有効にする」 または 「5)ネットワークを有効にしたセーフ モード」 を選択。
- セーフ モードで起動できたら、問題が起きる直前にインストールしたドライバーやソフトウェアをアンインストールする。
セーフ モードでも起動できない場合は、システムの復元やスタートアップ修復を優先します。
BIOS / UEFI の設定変更やファームウェア更新後のトラブル
TPM 設定の変更、Secure Boot の無効化、有効化、ブートモードの切り替え(Legacy / UEFI)などを行うと、BitLocker が「起動環境が大きく変わった」と判断し、回復キー入力を求めてくることがあります。
- 設定変更前の状態を覚えている場合は、BIOS / UEFI 画面から元に戻してみる
- 分からない場合は、BIOS / UEFI の設定を「Default」や「Load Optimized Defaults」に戻す
- その後、再起動して変化があるか確認する
それでも改善しない場合は、WinRE を利用したスタートアップ修復や BitLocker の一時解除を組み合わせて原因の切り分けを行います。
データを守りながら復旧を進める方法
BitLocker 回復ループから抜け出す際に最も重要なのは、「PC を動くようにすること」よりも「大切なデータを失わないこと」です。Windows の修復や初期化を行う前に、可能な限りデータを別の場所にコピーしておくことを強くおすすめします。
WinRE やインストールメディアからデータをコピーする
WinRE の「コマンド プロンプト」やインストールメディアから起動した環境では、BitLocker で保護されているドライブを回復キーでアンロックすることで、外付け HDD や USB メモリにデータをコピーできます。
- コマンド プロンプトを開く。
- BitLocker ドライブを回復キーで解錠する。
manage-bde -unlock C: -RecoveryPassword <48桁の回復キー>
- 外付け HDD や USB メモリを接続する。
robocopyやxcopyコマンドを使って、ユーザーフォルダーなど必要なデータをコピーする。
具体例(ユーザーフォルダー全体をコピーするイメージ):
robocopy C:\Users\<ユーザー名> E:\Backup\<ユーザー名> /E
※E: は外付け HDD のドライブ レターの一例です。実際の環境に合わせて読み替えてください。
| バックアップ方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| 外付け HDD / SSD | 大容量データをまとめて退避できる | 落下や衝撃に注意し、作業後は安全な場所に保管する |
| USB メモリ | 重要な書類だけを素早くコピーできる | 容量が限られるため、優先度の高いファイルから退避する |
| クラウドストレージ | インターネット経由で他の PC からもアクセス可能 | ネット接続が必須。企業環境ではセキュリティポリシーに注意 |
システム修復や初期化を実行するほど状況が悪化している場合、途中でさらにディスクの状態が悪くなり、読み取り不能になるリスクもあります。「起動の修復」よりも先に「データのバックアップ」を優先するという意識を持つと、安全に作業が進められます。
どうしても復旧しない場合の最終手段
スタートアップ修復やセーフ モード、システムの復元などを試しても改善が見られない場合、最終的な選択肢として 「この PC を初期状態に戻す」(Windows の初期化)があります。
「この PC を初期状態に戻す」を利用する際のポイント
- WinRE の「トラブルシューティング」→「この PC を初期状態に戻す」から実行
- 「個人用ファイルを保持する」 か 「すべて削除する」 のどちらかを選択(後者は完全初期化に近い)
- アプリや設定は初期化されるため、再インストールや再設定が必要
BitLocker が有効なまま初期状態に戻す場合でも、回復キーの入力が要求される場面があります。回復キーなしでの完全なデータ復旧は事実上不可能であることを踏まえ、どのタイミングで何を初期化するかを慎重に判断してください。
専門業者への相談を検討するケース
次のような状況では、無理に自力で作業を続けるよりも、早期に専門業者へ相談した方が結果的に安全な場合があります。
- SSD / HDD から異音がする、または頻繁にフリーズする
- 社内でしか扱えない非常に重要なデータが含まれている
- BitLocker 回復キーはあるが、コマンド操作などに不安がある
ただし、BitLocker により暗号化されたドライブのデータを復号するには、業者であっても回復キーやパスワードが必須です。回復キーが存在しない場合は、いかなる業者でもデータを取り出せない可能性が非常に高い点に注意してください。
よくある疑問と注意点
Q1. 回復キーを入力しても、また同じ回復画面に戻ってしまうのはなぜ?
この場合、回復キーの入力自体は成功しているが、その後の OS 起動処理でエラーが発生している 可能性が高いです。BitLocker が原因というより、起動領域やシステムファイルの破損が根本原因のことがほとんどです。
回復キー入力画面を抜けられるにもかかわらず、再起動後にまた同じ画面に戻るようであれば、WinRE でスタートアップ修復やシステムの復元を実行することを優先 してください。
Q2. 回復キーが見つからない場合、どうすればいい?
残念ながら、BitLocker の仕様上、回復キーがない状態で暗号化されたデータを復号する方法は提供されていません。次の場所を徹底的に確認してみて、それでも見つからない場合は、データの復旧は非常に難しいと考える必要があります。
- 印刷した用紙やメモ
- USB メモリ上の保存ファイル
- 別の PC から Microsoft アカウントにサインインしたときの管理画面
- 職場の IT 管理者が保管しているキー一覧
Q3. キーボードで数字がうまく入力できない
BitLocker 回復画面では、ノート PC の場合、テンキーが無効になっている、あるいは 英語配列として認識されている ことがあります。数字が入力されない場合は、次の点を確認してください。
- NumLock がオフになっていないか
- 外付けキーボードを接続して試す
- 英語配列で記号位置がずれていないか(特に記号を含むパスワード入力時)
Q4. BitLocker はもう二度と使わない方がいい?
BitLocker は、ノート PC の盗難や紛失時にデータを守るための非常に強力な仕組みです。今回のようにトラブルに遭遇すると「もう使いたくない」と感じるかもしれませんが、適切に回復キーを管理しておけば、セキュリティ面で大きなメリットがあります。
重要なのは、
- 回復キーを必ず複数箇所にバックアップしておく
- OS やドライバーの大きな更新の前にはイメージバックアップを取る
- BIOS / UEFI の設定変更時には、事前に内容と影響を確認する
といった、「いざという時の備え」をセットで考えることです。
再発防止のために今からできる対策
今回のような BitLocker 回復画面の無限ループを経験した後は、再発防止の観点から次のような対策を取っておくと安心です。
回復キーの多重バックアップ
- 紙に印刷して耐火金庫や鍵付きの引き出しに保管する
- 暗号化されたパスワードマネージャーに保管する
- 企業環境なら、IT 管理者が集中管理できる仕組みに乗せる
定期的なバックアップ運用
- 外付け HDD に週1回程度のフルバックアップを取る
- 重要なドキュメントはクラウドストレージにも保存しておく
- システムイメージバックアップを作成しておき、大規模トラブル時の復旧に備える
更新や設定変更時の注意
- 大型の Windows Update 前には必ずバックアップを取得する
- BIOS / UEFI の更新や設定変更は、メーカーの手順を必ず確認する
- 電源が不安定な環境(バッテリー残量不足等)で更新を行わない
これらの対策を普段から行っておくことで、たとえ再び E_FVE_USER_REQUESTED_RECOVERY のようなエラーが発生したとしても、より冷静に、そして安全に対応できるようになります。
まとめ:BitLocker 回復ループから抜け出すための優先順位
BitLocker ブルースクリーンでエラー コード「E_FVE_USER_REQUESTED_RECOVERY」が表示され、回復画面と再起動の無限ループに陥った場合、次の優先順位で対処していくのがポイントです。
- BitLocker 回復キーを必死に探す(なければデータ復旧は極めて困難)
- WinRE への起動(強制終了 × 2 → 3 回目の起動)、またはインストールメディア / 回復ドライブからの起動
- スタートアップ修復・セーフ モード・システムの復元で OS 起動トラブルを修復
- 必要に応じて BitLocker を一時解除し、原因となった更新やドライバーを修正
- 修復が難しい場合は、データのバックアップを優先しつつ「この PC を初期状態に戻す」を検討
回復キーを入力しても同じ画面に戻ると、「何度やってもダメだ」と感じてしまいますが、そこであきらめるのではなく、OS 起動の修復という視点に切り替えることが解決への近道です。本記事を参考に、一つひとつの手順を慎重に試してみてください。

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