Windows 11 Pro 24H2 をクリーンインストールした直後、「Hyper‑V を切ったはずなのに VBS(Virtualization‑based Security)が残っていて VMware Workstation Pro のネスト仮想化が動かない」──そんな声がコミュニティで激増しています。本記事では原因となる LSA ISO & UEFI Lock の自動有効化 を踏まえ、24H2 環境でも VBS・Credential Guard を完全に停止する具体的な手順とポイントを網羅的に解説します。企業の検証環境から個人のラボ用途まで、「ホスト OS でハイパーバイザーを使えず作業が止まった」場面の決定版リファレンスとしてご活用ください。
目次
- Windows 11 24H2 で起きる VBS 無効化不能問題とは
- 従来バージョンとの違いと発生条件
- 原因:UEFI Lock 付き LSA ISO 既定有効化
- 事前チェックリスト
- VBS を完全に停止する 6 ステップ
- トラブルシューティング
- セキュリティリスクと代替策
- 元に戻す方法
- よくある質問
- まとめ
1. Windows 11 24H2 で起きる VBS 無効化不能問題とは
Windows 10 22H2/Windows 11 23H2 までは、以下を実行するだけで VBS と Credential Guard を停止できました。
bcdedit /set hypervisorlaunchtype off- 設定 > プライバシーとセキュリティ > Windows セキュリティ > Core Isolation(メモリ整合性)をオフ
ところが 24H2 では同じ手順を踏んでも sysinfo.exe(System Information)に 「Virtualization-based Security : Running」 と表示され、VMware Workstation Pro は “Hyper‑V is installed”
エラーでネスト仮想化を拒否します。
2. 従来バージョンとの違いと発生条件
24H2 世代のイメージは、次の仕様変更を含んでいます。
- LSA ISO(Local Security Authority – Isolated)が既定で有効
- LSA ISO と VBS をUEFI Lock で保護(起動前に解除承認が必要)
- クリーンインストール時、プラットフォームセキュリティ機能が満たされていれば自動的に上記を適用
結果として、従来のレジストリ変更・グループポリシー変更・hypervisorlaunchtype off だけでは VBS が残存します。
3. 原因:UEFI Lock 付き LSA ISO 既定有効化
LSA ISO は LSASS を保護コンテナーで実行し、資格情報の抜き取りをブロックする Windows 11 の新セキュリティフレームワークです。24H2 では UEFI の変数領域に SecConfig.efi を登録し、ブートフェーズでOS より先にセキュリティを固める仕様が追加されました。
この UEFI Lock を外さない限り、GUI でも CLI でも VBS を無効化できません。つまり「VBS が無効化できない」のではなく「起動時に再度強制的に有効化されている」というのが真相です。
4. 事前チェックリスト
操作ミスやポリシー違反を避けるため、以下を確認してから作業を始めてください。
| 確認項目 | 推奨値 / 状態 | 補足 |
|---|---|---|
| バックアップ | System Image + レジストリ エクスポート | LSA ISO を戻せなくなる事態に備える |
| 組織ポリシー | 承認済み | セキュリティ標準で Credential Guard 強制の場合は要稟議 |
| UEFI パスワード | 把握している | Secure Boot 切替が必要な場合あり |
| VMware バージョン | 17.x 以上 | Intel on Windows なら 17.5.2 以降推奨 |
5. VBS を完全に停止する 6 ステップ
Step 1:Tamper Protection & Core Isolation を一時オフ
- 設定 > プライバシーとセキュリティ > Windows セキュリティ
- 「デバイス セキュリティ」>「Core Isolation の詳細」を開く
- 「メモリ整合性」をオフ
- Windows セキュリティ > ウイルスと脅威の防止 > 設定の管理 > Tamper Protection をオフ
再起動はまだ不要です。
Step 2:レジストリで Device Guard / Credential Guard を無効化
以下を管理者権限で .reg として保存し、取り込みます。
Windows Registry Editor Version 5.00
\[HKEY\LOCAL\MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\DeviceGuard]
"EnableVirtualizationBasedSecurity"=dword:00000000
"RequirePlatformSecurityFeatures"=-
\[HKEY\LOCAL\MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Control\Lsa]
"LsaCfgFlags"=dword:00000000
RequirePlatformSecurityFeatures を削除しないと UEFI Lock による強制復活ループが残るので注意。
Step 3:グループポリシーを変更
- gpedit.msc を起動
- コンピューターの構成 > 管理用テンプレート > システム > Device Guard
- 「Virtualization‑based Security を有効にする」 = 無効
- ポリシー更新:gpupdate /force
Step 4:UEFI Lock を外す一時ブートエントリを作成
コマンド プロンプト(管理者)で次を実行します。
mountvol X: /s
copy %windir%\System32\SecConfig.efi X:\EFI\Microsoft\Boot\SecConfig.efi /Y
bcdedit /create {guid} /d "Disable VBS" /application osloader
bcdedit /set {guid} path \EFI\Microsoft\Boot\SecConfig.efi
bcdedit /set {guid} device partition=X:
bcdedit /set {guid} loadoptions DISABLE-LSA-ISO,DISABLE-VBS
bcdedit /set {bootmgr} bootsequence {guid}
bcdedit /set vsmlaunchtype off
mountvol X: /d
初回再起動時に青い「UEFI 変更を承認しますか?」画面が表示されます。F3 > Enter で確定してください。
Step 5:VBS を呼び出す Windows 機能をオフ
- 「Windows の機能の有効化または無効化」で Hyper‑V、Virtual Machine Platform、Windows Hypervisor Platform、WSL をオフ
- 使わない場合は Windows Subsystem for Android™ もオフ
Step 6:追加チェック
- BIOS で Secure Boot を一時的に無効化(機種によって必須)
- systeminfo で
VM Monitor Mode Extensions: Yesを確認 - VMware Workstation Pro で仮想マシン設定 > プロセッサ > 「Intel VT‑x / AMD‑V を仮想化」がオン
- 警告「Hyper‑V が有効」が表示されないことを確認
これでホスト OS の VBS は Not enabled になります。
6. トラブルシューティング
- UEFI Lock を外しても VBS が戻る
レジストリのRequirePlatformSecurityFeaturesが残っていないか確認。値が 1 または 3 なら 0 に修正し再起動。 - Secure Boot 無効でブルースクリーン
Intel 11 世代以降の一部機種は Secure Boot 経由で Platform Key を要求。Secure Boot を有効のまま「カスタムキー」に切替えて対処。 - VMware が VT‑x を捕捉できない
Windows Features で Virtual Machine Platform をオフにしてもOptionalFeatures.exeから消えない場合、Dism /Online /Disable-Feature /FeatureName:VirtualMachinePlatform を実行。
7. セキュリティリスクと代替策
| 項目 | 無効化の影響 | 代替防御策 |
|---|---|---|
| Credential Guard | LSASS への Pass‑the‑Hash 攻撃成功率が向上 | オフライン攻撃を防ぐ物理セキュリティ、BitLocker、管理者権限の最小化 |
| LSA ISO | デバイス認証証明書や TPM シークレットが保護されない | 多要素認証(MFA)、特権アクセスワークステーション(PAW) を分離 |
| Hyper‑V 無効化 | Application Guard など Windows 11 の仮想化サンドボックス機能が失われる | ブラウザ隔離は VMware の仮想マシンや Sandboxie Plus で代替 |
8. 元に戻す方法
bcdedit /delete {guid}でブートエントリを削除- レジストリ
EnableVirtualizationBasedSecurity、LsaCfgFlagsを 1 または 2 に変更 - Windows Features で Hyper‑V 系機能を再度オン
- Secure Boot を有効に戻す
再起動後、System Information に 「Virtualization‑based Security : Running」 が復活すれば完了です。
9. よくある質問
Q1. Windows Update 後に VBS がまたオンになりますか?
A. UEFI Lock を解除した状態であれば、通常の品質更新プログラムで再ロックはかかりません。ただし大規模な機能更新や In‑place Upgrade では SecConfig.efi が書き戻される可能性があるため、アップグレード直後に bcdedit /enum all で確認してください。
Q2. Intune や SCCM のセキュリティベースラインと衝突しませんか?
A. デフォルトのセキュリティベースラインは Credential Guard を推奨設定しているだけで、強制ではありません。構成プロファイルで DeviceGuard/EnableVirtualizationBasedSecurity を 1 にしている場合は競合します。
Q3. Hyper-V ベースの Docker Desktop は使えますか?
A. ホスト Hyper‑V を無効化すると Docker Desktop (Hyper‑V backend) は動作しません。WSL2 backend や VMware 環境で Kind/K3s を動かす方法が代替になります。
Q4. BIOS で Intel VT‑d をオフにすれば解決しませんか?
A. VT‑d をオフにすると LSA ISO 起動要件を満たさず VBS が停止するケースもありますが、IOMMU を無効化すると PCIe パススルーや DMA 保護も失われます。UEFI Lock 解除のほうが副作用が少ないため推奨しません。
10. まとめ
Windows 11 Pro 24H2 では LSA ISO と VBS が UEFI Lock で堅牢化されており、従来の bcdedit /set hypervisorlaunchtype off だけでは無効化できません。本記事で紹介した「Tamper Protection と Core Isolation をオフ → レジストリ変更 → GPO 無効 → UEFI Lock 解除ブートエントリ → 機能と BIOS の追加調整」の 6 ステップを実行すれば、System Information に Virtualization‑based Security : Not enabled
と表示され、VMware Workstation Pro 上で ESXi や Nested Hyper‑V がエラーなく動きます。
ただし Credential Guard を外すことは 攻撃面を広げるリスクも伴います。検証が終わり次第ロールバックしたり、隔離ネットワークで運用するなど、用途とリスクを秤にかけた運用設計が重要です。
以上で Windows 11 24H2 でも VBS を完全に停止し、VMware Workstation Pro のネスト仮想化を取り戻す方法の解説は完了です。ぜひブックマークしてトラブル時のリファレンスとしてお役立てください。

コメント
コメント一覧 (2件)
素晴らしい情報でした。どうやっても無効化できなかったVBSを無効化できました。ありがとうございます。
ありがとうございます。