File HistoryのSMBバックアップで「資格情報が無効」と出る問題を修正|対象Buildと対処法

Windows 11のFile History(ファイル履歴)で、NASやWindows ServerのSMB共有へ自動バックアップしようとすると、正しいユーザー名とパスワードを設定しているにもかかわらず、「資格情報が無効」と判断されて失敗する問題が確認されていました。

結論として、この現象は実際の資格情報ミスではなく、Windows側の誤判定である可能性があります。Microsoftは2026年7月31日公開のWindows 11 Insider Preview Build 26220.9022、26300.9032、28020.2623、28120.2630で修正したと案内しており、問題の状態は修正済みです。ただし、利用中のPCに修正を含む更新プログラムが適用されていなければ、引き続きバックアップに失敗する可能性があります。(Microsoft Learn)

目次

File HistoryのSMBバックアップが資格情報エラーになる問題を修正

今回修正されたのは、File HistoryがSMBネットワーク共有へ自動バックアップする際の接続処理です。

Microsoftの説明によると、SMB共有へ接続するときにWindowsが誤って「invalid credentials」、つまり「資格情報が無効」と判断していました。その結果、実際には正しいユーザー名とパスワードが登録されていても、File Historyのバックアップが開始されませんでした。(Microsoft Learn)

問題の概要は次のとおりです。

項目内容
対象機能Windows File History(ファイル履歴)
バックアップ先SMBを使用するネットワーク共有
主な対象機器NAS、Windows Server、別のWindows PCなど
表示される症状資格情報が無効である旨のエラー
実際の原因Windowsが正しい資格情報を誤って無効と判定
発生する影響File Historyの自動バックアップが実行されない
Microsoftの状態修正済み

重要なのは、SMB共有そのものに接続できない問題ではなく、File History経由の自動バックアップで発生する可能性があるという点です。

エクスプローラーでは共有フォルダーを開けるのに、File Historyだけが資格情報エラーになる場合は、今回の不具合に該当する可能性が高くなります。

修正されたWindows 11 Insider Build

Microsoftは2026年7月31日、複数のWindows Insiderチャンネルに新しいBuildを公開しました。File HistoryのSMBバックアップに関する修正は、次のBuildに含まれています。(Windows Blog)

Windows Insiderチャンネル系統修正Build
BetaWindows 11 25H2系26220.9022
ExperimentalWindows 11 26H2系26300.9032
Beta(26H1)Windows 11 26H1系28020.2623
Experimental(26H1)Windows 11 26H1系28120.2630

各Buildのリリースノートでは、ストレージ関連の修正として、File HistoryによるSMB共有への自動バックアップが誤った資格情報エラーによって失敗していた問題を修正したと明記されています。

修正済みでも自分のPCで直っているとは限らない

Microsoftが「修正済み」と案内していても、すべてのWindows 11端末が自動的に修正されているわけではありません。

修正済みという状態は、基本的に次のいずれかを意味します。

  1. 修正を含むWindows Updateが公開されている
  2. 対象のInsider Buildに修正コードが組み込まれている
  3. 後続の累積更新プログラムへ修正が統合される

利用中のPCが古いBuildのままであれば、同じ資格情報エラーが続く可能性があります。

安定版Windows 11でも修正を適用できる

一般利用者や業務用PCでは、File Historyを直すためだけにWindows Insider Programへ参加する必要はありません。

Microsoftは安定版Windows 11向けの2026年7月28日プレビュー更新にも、同じFile Historyの修正を収録しています。

Windows 11のバージョン更新プログラム更新後のOS Build
Windows 11 25H2KB510168426200.8973
Windows 11 24H2KB510168426100.8973
Windows 11 26H1KB510168128000.2608

KB5101684はWindows 11 25H2および24H2、KB5101681はWindows 11 26H1を対象としています。どちらの公式リリースノートにも、SMBネットワーク共有へのFile History自動バックアップで発生していた誤った資格情報エラーの修正が記載されています。(マイクロソフトサポート)

これらはプレビュー更新であるため、PCの設定や組織の更新ポリシーによっては自動でインストールされません。後続の累積更新プログラムを使用している場合は、すでに修正が含まれている可能性があります。

自分のWindows 11が修正済みか確認する方法

OS Buildを確認する

最初に、現在のWindows 11のバージョンとOS Buildを確認します。

  1. Windowsキー + Rを押します。
  2. 「ファイル名を指定して実行」にwinverと入力します。
  3. 「OK」をクリックします。
  4. 表示されたバージョンとOS Buildを確認します。

例えばWindows 11 25H2でOS Buildが26200.8973以上であれば、KB5101684またはそれ以降の累積更新プログラムが適用されている可能性があります。

ただし、Build番号だけで判断しにくい場合は、「設定」の更新履歴からKB番号を確認してください。

更新履歴を確認する

  1. 「設定」を開きます。
  2. 「Windows Update」を選択します。
  3. 「更新の履歴」を開きます。
  4. 「品質更新プログラム」を確認します。
  5. KB5101684、KB5101681、またはそれより新しい累積更新プログラムがあるか確認します。

累積更新プログラムは、過去の修正をまとめて収録する仕組みです。そのため、必ずしもKB5101684やKB5101681そのものが表示されている必要はありません。より新しい更新プログラムに置き換えられている場合があります。

File Historyの資格情報エラーを解消する手順

Windows Updateを適用する

安定版Windows 11では、次の順番で更新を確認します。

  1. 「設定」を開きます。
  2. 「Windows Update」を選択します。
  3. 「更新プログラムのチェック」をクリックします。
  4. 表示された累積更新プログラムをインストールします。
  5. 必要に応じてPCを再起動します。

通常の更新一覧に表示されない場合は、次の場所も確認します。

「設定」→「Windows Update」→「詳細オプション」→「オプションの更新プログラム」

Microsoftの公式ページでも、2026年7月のプレビュー更新は「オプションの更新プログラム」からインストールできると案内されています。組織で管理されているPCでは、管理者のポリシーによって表示されない場合があります。(マイクロソフトサポート)

File Historyを再実行する

Windows Updateと再起動が完了したら、File Historyを再実行します。

  1. 「コントロールパネル」を開きます。
  2. 「システムとセキュリティ」を選択します。
  3. 「ファイル履歴でファイルのバックアップコピーを保存」を開きます。
  4. SMB共有のバックアップ先が選択されていることを確認します。
  5. 「今すぐ実行」をクリックします。

既存のバックアップフォルダーは、動作確認が完了するまで削除しないでください。古いバックアップを消しても、Windows側の誤判定は解決しません。

実際にバックアップされたことを確認する

エラーが消えただけで安心せず、実際に新しいファイルがバックアップされたか確認します。

確認方法としては、次の手順が確実です。

  1. ドキュメントフォルダーに確認用のテキストファイルを作成します。
  2. File Historyの「今すぐ実行」をクリックします。
  3. バックアップ完了後、確認用ファイルを編集して保存します。
  4. もう一度File Historyを実行します。
  5. 「個人用ファイルの復元」から、複数のバージョンが保存されているか確認します。

SMB共有フォルダーへ接続できることと、File Historyが正常にバックアップできることは別です。バックアップ先フォルダーの更新日時や復元画面まで確認することが重要です。

誤表示と本当の資格情報エラーを見分ける方法

「資格情報が無効」と表示されても、すべてが今回のWindows不具合とは限りません。

次の表を使うと、原因を切り分けやすくなります。

確認結果考えられる原因対応
エクスプローラーでは共有を開けるが、File Historyだけ失敗するWindowsの誤判定の可能性Windows Updateを適用する
エクスプローラーでも資格情報を求められて失敗するユーザー名やパスワードの誤りNASやサーバー側のアカウントを確認する
共有フォルダーは開けるがファイルを作成できない書き込み権限不足共有権限とフォルダー権限を確認する
サーバー名を入力しても共有が開かない名前解決またはネットワークの問題IPアドレス、DNS、接続状態を確認する
更新後もFile Historyだけ失敗する保存済み資格情報や設定が残っている資格情報を再登録し、バックアップ先を再選択する
NAS側にログイン失敗が記録されている実際の認証失敗やアカウントロックNASの管理画面でアカウント状態を確認する

エクスプローラーからSMB共有を確認する

エクスプローラーのアドレスバーへ、次の形式で共有パスを入力します。

\\サーバー名\共有フォルダー名

NASの例は次のとおりです。

\\NAS01\backup

共有フォルダーが開けたら、確認用のファイルを作成し、保存と削除ができるか試します。

読み取りはできても書き込みができない場合、File Historyのバックアップ先としては利用できません。バックアップを保存するアカウントに書き込み権限が必要です。

SMBの通信ポートを確認する

共有フォルダー自体を開けない場合は、PowerShellでTCPポート445への接続を確認できます。

Test-NetConnection -ComputerName NAS01 -Port 445

TcpTestSucceededがTrueなら、少なくともPCから対象機器のSMBポートへ到達しています。

Falseの場合は、資格情報より先に次の項目を確認します。

  • NASやサーバーの電源
  • PCとNASが接続しているネットワーク
  • VPNの接続状態
  • Windows Defenderファイアウォール
  • ルーターやネットワーク機器の設定
  • サーバー名の名前解決

更新後も資格情報エラーが続く場合の対処法

保存済みのWindows資格情報を確認する

パスワードを変更した後などは、古い資格情報がWindowsに残っていることがあります。

  1. コントロールパネルを開きます。
  2. 「ユーザーアカウント」を選択します。
  3. 「資格情報マネージャー」を開きます。
  4. 「Windows資格情報」を選択します。
  5. NASやサーバーに対応する登録を探します。
  6. 古い情報であれば削除または修正します。
  7. エクスプローラーから共有フォルダーへ再接続します。

資格情報を削除すると、そのサーバーを利用するほかの共有フォルダーやアプリでも再認証を求められることがあります。サーバー名をよく確認してから操作してください。

ユーザー名の形式を確認する

SMB共有へ接続するときのユーザー名は、環境によって形式が異なります。

アカウントの種類入力例
NASのローカルアカウントbackupuser
Windows PCのローカルアカウントPC名\ユーザー名
Active Directoryアカウントドメイン名\ユーザー名
UPN形式の組織アカウント[email protected]

同じユーザー名でも、接続先の機器が想定しているアカウント形式と一致していなければ認証に失敗します。

File Historyのバックアップ先を再選択する

更新後も古い接続状態が残っている場合は、バックアップ先を選び直します。

  1. コントロールパネルからFile Historyを開きます。
  2. 「ドライブの選択」をクリックします。
  3. 「ネットワークの場所を追加」を選択します。
  4. SMB共有を指定します。
  5. 正しい資格情報で再接続します。
  6. File Historyを有効にして「今すぐ実行」をクリックします。

既存のバックアップを継続利用したい場合は、以前と同じ共有フォルダーを指定します。バックアップフォルダーを手作業で移動したり、内部ファイルの名前を変更したりしないでください。

やってはいけない対処

パスワードを何度も変更しない

今回の問題では、正しいパスワードでもWindowsが誤って無効と判断していました。

原因を確認せずにパスワードを何度も変更すると、次の問題が起きやすくなります。

  • Windowsに古い資格情報が複数残る
  • NASやサーバーのアカウントがロックされる
  • ほかのPCから接続できなくなる
  • File History以外のアプリにも影響する

まずWindows Updateの適用状況と、エクスプローラーからの接続結果を確認してください。

File Historyを直すためだけにInsiderへ参加しない

Insider Buildは、開発中の機能や修正を検証するためのプレリリース版です。業務用PCや重要なデータを扱うPCでは、別の不具合が発生する可能性があります。

安定版Windows 11向けにも同じ修正が提供されているため、File Historyの修正だけを目的としてInsiderチャンネルへ切り替える必要はありません。

SMB1や安全性の低いゲスト接続を安易に有効化しない

今回の公式修正はWindows UpdateによるFile Historyの接続処理の修正です。

資格情報エラーを回避するために、SMB1や認証なしのゲスト接続を有効にする方法は、本件の正式な解決策ではありません。NASが古い場合でも、まずファームウェア更新やSMB2、SMB3への対応状況を確認してください。

更新プログラムをすぐ適用できない場合の一時対応

会社や自治体などの管理端末では、プレビュー更新プログラムを自由にインストールできない場合があります。

正式な累積更新プログラムが配信されるまでの間は、重要なファイルについて次のような一時対応を取ります。

  • エクスプローラーから別のバックアップ先へ手動コピーする
  • USBストレージなど、ローカルのFile Historyドライブを一時的に使用する
  • 組織で承認された別のバックアップソフトを使用する
  • File Historyの最終バックアップ日時を定期的に確認する
  • 更新プログラムの適用可否をシステム管理者へ確認する

File Historyの画面が有効になっていても、実際のバックアップが止まっている可能性があります。更新プログラムを適用するまでは、バックアップ先に新しいファイルが作成されているかを確認してください。

File HistoryのSMBバックアップを復旧するための確認ポイント

File Historyで正しい資格情報が無効と表示される問題は、Microsoftによって修正済みです。

復旧するときは、次の順番で確認すると無駄な設定変更を避けられます。

  1. winverでWindows 11のバージョンとOS Buildを確認する
  2. Windows Updateとオプションの更新プログラムを確認する
  3. 修正を含む累積更新プログラムを適用する
  4. PCを再起動する
  5. エクスプローラーからSMB共有へ接続できるか確認する
  6. 共有フォルダーにファイルを書き込めるか確認する
  7. File Historyの「今すぐ実行」でバックアップする
  8. 復元画面から新しいファイルのバージョンを確認する

更新後もエクスプローラーから共有フォルダーへ接続できない場合は、今回の誤表示ではなく、実際の資格情報、書き込み権限、ネットワーク設定に原因がある可能性があります。

一方、共有フォルダーへの読み書きは正常で、File Historyだけが失敗している場合は、Windowsの更新状況を最優先で確認してください。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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