Windows 11 24H2 環境で「2025-07 累積更新プレビュー(KB5062660)」や、その本番版である「2025-08 セキュリティ更新(KB5063878)」を入れた後、一部の Epson プリンターが突然印刷できなくなる事例が報告されています。本記事では、実際に報告されているケースをもとに、印刷を素早く復旧させる手順と、同じ更新プログラムが自動的に戻ってこないようにする現実的な対策を、できるだけ丁寧に解説します。
Windows 11 24H2「KB5062660」と「KB5063878」で何が起きているのか
まず状況を整理しましょう。
Windows 11 バージョン 24H2 では、次のような流れで更新プログラムが配信されています。
| KB番号 | 名称 | 種別 | 公開日(目安) | OSビルド | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| KB5062660 | 2025-07 Cumulative Update Preview for Windows 11 Version 24H2 | プレビュー(オプション/非セキュリティ) | 2025年7月22日 | 26100.4770 | 翌月の正式版に先行して新機能・修正をテストする目的の更新 |
| KB5063878 | 2025-08 Cumulative Update for Windows 11 Version 24H2 | 月例セキュリティ更新(本番版) | 2025年8月12日 | 26100.4946 | KB5062660 の内容を取り込んだ正式版の累積セキュリティ更新 |
Microsoft の公開情報でも、KB5063878 は KB5062660 の修正や品質改善を含んでいることが明記されています。つまり、KB5062660(プレビュー)で起きた不具合が、そのまま KB5063878(正式版)でも発生しうる構造になっています。
実際に、Microsoft Q&A では「KB5062660 適用後に Epson プリンターが使えなくなった」「一度アンインストールして直ったが、今度は KB5062660 が一覧に出てこない」という相談が出ており、「KB5063878 をアンインストールしたところ印刷が復旧した」という事例が報告されています。
よくある症状例(Epson プリンター)
- 更新適用後から突然印刷できない
- プリンターが「オフライン」と表示される/デバイス一覧から消える
- 印刷キューに溜まったまま出力されない
- 別の PC(Windows 10/別バージョンの Windows)では問題なく印刷できる
KB5062660 については、海外の情報でも「プリンター削除・UIクラッシュなど、各種不安定化の報告がある」とされており、アップデートそのものがやや「クセのある」更新であることがうかがえます。
最短で印刷を復旧する:KB5063878 をアンインストールする
結論から言うと、「KB5062660 を削除したのに、また同じ症状が出た」場合は、まず KB5063878 のアンインストールを試すのが最短ルートです。
前述の Microsoft Q&A でも、Epson プリンターが使えなくなったユーザーに対し、「KB5063878 は KB5062660 の正式版なので、KB5063878 をアンインストールして再起動してみてほしい」という助言が行われ、実際に印刷が復旧したと報告されています。
事前チェック:本当に原因が KB5062660/KB5063878 か確認する
いきなりセキュリティ更新を削除する前に、次のポイントを確認しましょう。
- Windows のバージョンが「Windows 11 バージョン 24H2」であるか
設定 → システム → バージョン情報 で「バージョン 24H2」となっているか確認します。 - 更新履歴に KB5062660 または KB5063878 があるか
設定 → Windows Update → 更新の履歴 から、インストールされた更新プログラムを確認します。 - 更新適用前は Epson プリンターが正常だったか
「たまたま同じタイミングで壊れた」可能性もゼロではないため、別 PC で印刷できるか、USB ケーブルやネットワーク設定なども軽く確認しておくと安心です。
| 確認項目 | OK の状態 | NG の場合のコメント |
|---|---|---|
| Windows バージョン | Windows 11 Version 24H2 | 24H2 でなければ、別の原因の可能性が高い |
| 更新履歴 | KB5062660 または KB5063878 がインストール済み | 見当たらない場合は、別の更新やドライバーが原因かもしれない |
| 他 PC からの印刷 | 別の PC では正常印刷 | 同じプリンターで全 PC NG なら、プリンター本体側の故障も疑う |
方法A:設定アプリから KB5063878 をアンインストールする
もっとも一般的で安全な方法です。
- 画面左下の スタート ボタン → 設定 を開く。
- Windows Update を開く。
- 更新の履歴 をクリック。
- 一番下付近にある 「更新プログラムのアンインストール」 をクリック。
- 一覧から 「セキュリティ更新プログラム(KB5063878)」 を探して選択。
- アンインストール をクリックし、画面の指示に従って再起動。
再起動後、Epson プリンターからテスト印刷を行い、正常に印刷できるか確認してください。
方法B:設定から削除できない場合は WinRE(回復環境)から削除
まれに、設定アプリ側で「アンインストール」ボタンがグレーアウトしている、あるいは途中でエラーになるケースがあります。その場合は、Windows 回復環境(WinRE)から最新の品質更新プログラムを削除する方法が有効なことがあります。
- Shift キーを押しながら「再起動」をクリックし、回復オプションに入る。
(または、電源投入直後に複数回電源を落とし、起動に失敗させて WinRE を表示させる方法でも可) - 「トラブルシューティング」 → 「詳細オプション」 を選択。
- 「更新プログラムをアンインストール」 をクリック。
- 「最新の品質更新プログラムをアンインストール」 を選ぶ。
- 画面の案内に従って処理を完了し、再起動。
この操作では、直近の品質更新(多くの場合 KB5063878)をまとめて削除するため、KB番号を選ぶことはできませんが、セキュリティ更新がロールバックされるため、プレビューの影響を含めて切り戻せる可能性があります。
方法C:上級者向け – コマンドで KB5063878 を削除(wusa)
GUI でうまく行かない場合、管理者権限のコマンドプロンプトから削除を試すこともできます。
- スタートメニューで「cmd」と検索し、「管理者として実行」を選択。
- 次のコマンドを入力して Enter キーを押す。
wusa /uninstall /kb:5063878 /quiet /norestart - コマンド完了後、手動で PC を再起動。
ただし、環境によっては wusa でアンインストールできないケースもあるため、基本は「設定」または WinRE からの削除を優先し、コマンドは最後の手段程度に考えてください。
KB5062660/KB5063878 の再インストールを「一時的に」防ぐ方法
KB5063878 はセキュリティ更新であるため、最終的には再び最新状態に戻す必要があります。しかし、Epson プリンターが業務上必須の場合、修正版や新しいドライバーが出るまでの間だけ、再インストールを遅らせる判断も現実的です。
Home 版でもできる対策:Windows Update の「一時停止」
もっとも簡単で安全な方法は、Windows Update の一時停止です。Microsoft Q&A でも、前述の Epson プリンターの事例に対して、「4週間ほど更新を一時停止し、次の月例更新(9月分)を待つ」ことが推奨されています。
- 設定 → Windows Update を開く。
- 画面上部の 「更新を一時停止」 のプルダウンから、4週間前後 一時停止を選択。
この設定を行うと、その期間は KB5063878 を含む品質更新が自動的に再配信されなくなります。停止期間中に、Epson 公式ドライバーの更新状況や次月の累積更新(例えば KB5065426 など)で問題が解消しているかを確認し、問題が解決したら一時停止を解除して最新状態へ戻しましょう。
Pro / Enterprise 向け:グループポリシーや Windows Update for Business で延期
Windows 11 Pro / Enterprise / Education では、品質更新(セキュリティ更新)を最大 30 日まで延期できます。
代表的な設定例:
- gpedit.msc を起動。
- コンピューターの構成 → 管理用テンプレート → Windows コンポーネント → Windows Update → Windows Update for Business を開く。
- 「品質更新プログラムをいつ受信するかを選択する」 を有効にし、延期する日数(例:7〜30日) を設定。
Intune などの管理下にある場合は、Update Rings/ポリシーで「品質更新の延期日数」を 7〜30 日程度に設定することで、パッチ配信後すぐには適用されないようにして検証期間を稼ぐことができます。
Epson プリンター側でやっておきたい「根本対策」
更新を巻き戻すだけでは、「次の更新」で同じ問題が再発する可能性があります。プリンター側の対策も合わせて行い、最終的には最新のセキュリティ更新を適用した状態で安定動作させることを目指しましょう。
Epson 公式サイトから最新ドライバーを入れ直す
Windows Update 経由で自動的に入るドライバーは、どうしても「汎用的」になりがちで、メーカー公式版よりも細かい最適化が不足している場合があります。Epson 公式サイトでは、Windows 11 24H2 対応の最新ドライバーやユーティリティが随時更新されています。
- Epson のサポートサイトを開く。
- お使いのプリンター型番(例:EP-****、PX-**** など)を検索。
- 対応 OS から「Windows 11」を選択し、最新バージョンのプリンタードライバー/ソフトウェア をダウンロード。
- 既存ドライバーをアンインストールしたうえで、再インストール。
一般的なプリンターのトラブルシューティングでも、「既存 driver の完全削除と最新ドライバーのクリーンインストール」は有効な対策として紹介されています。
デバイス マネージャーでのドライバー ロールバック
更新プログラム適用と同時にプリンタードライバーも自動更新されている場合、ドライバーのロールバックで改善するケースもあります。
- スタートボタンを右クリック → デバイス マネージャー を開く。
- 「プリンター」または「印刷キュー」 から対象の Epson プリンターを右クリック。
- 「プロパティ」 → 「ドライバー」タブ を開く。
- 「ドライバーを元に戻す」 ボタンが有効な場合はクリックし、案内に従う。
ボタンがグレーアウトしている場合は、Windows が旧バージョンを保持していないため、この方法は使えません。その場合は、前述の「公式サイトから旧バージョン/最新バージョンを入れ直す」方向で調整します。
プリント スプーラーの再起動と一時ファイルの削除
Windows Update の影響でプリントスプーラーサービスが不安定になるケースもあります。以下の手順でスプーラーをリセットしてみましょう。
- services.msc を実行し、「サービス」画面を開く。
- 一覧から 「Print Spooler」 をダブルクリック。
- 停止 ボタンをクリックしてサービスを停止。
- エクスプローラーで
C:\Windows\System32\spool\PRINTERSを開き、中身のファイルをすべて削除。 - 再びサービス画面で Print Spooler を 開始 する。
スプーラーの一時ファイルが壊れている場合、この操作で印刷キューの詰まりやプリンター認識の不具合が解消することがあります。
ネットワーク接続 Epson プリンターで確認したいポイント
Wi‑Fi や LAN で接続している Epson プリンターの場合、Windows Update によるネットワークスタックやファイアウォール、ドライバー周りの変更が影響し、「プリンターがネットワーク上に見つからない」状況になることがあります。
標準 TCP/IP ポートを作り直す
- コントロール パネル → ハードウェアとサウンド → デバイスとプリンター を開く。
- 対象プリンターを右クリックして 「プリンターのプロパティ」 を選択。
- 「ポート」タブ を開き、「ポートの追加」 → 「標準 TCP/IP ポート」 を選択。
- プリンターの IP アドレスを指定して新しいポートを作成し、それを有効にする。
アップデート後にポート情報が壊れたり、WSD ポート周りで不具合が出た場合、この方法で安定するケースが多く報告されています。
プリンターに固定 IP を割り当てる
ルーターの再起動などをきっかけに IP アドレスが変わると、Windows 側からプリンターが見つからなくなる場合があります。ルーターの DHCP 固定割り当て機能や、プリンター側のネットワーク設定から、固定 IP アドレスを設定しておくと、アップデート時にも影響を受けにくくなります。
セキュリティ更新を削除するリスクと「現実的な落としどころ」
ここまで、印刷トラブルを解消するための手順を色々と紹介しましたが、セキュリティ更新(KB5063878)をアンインストールした状態を長期間放置するのは、おすすめできません。
KB5063878 には、Windows Installer の権限昇格対策など複数のセキュリティ改善が含まれており、Microsoft のドキュメントでも重要な改善として位置付けられています。
安全性と業務継続性のバランスを取るため、次のような運用をおすすめします。
| 期間 | 更新状態 | 推奨アクション |
|---|---|---|
| 緊急対応直後 | KB5063878 をアンインストールした状態 | ネット閲覧や不審ファイルの実行を控える。業務に必要な最小限の利用に絞る。 |
| ~数週間 | 更新一時停止などで保留 | Epson ドライバーの更新確認。次月以降の累積更新(KB5064081 / KB5065426 など)で修正情報が出ていないかチェック。 |
| 安定版が確認できたら | 最新の累積更新を適用 | プリンターが正常に動作することを確認し、更新一時停止を解除して通常運用へ戻す。 |
どうしてもパッチ適用を遅らせたい場合は、バックアップの強化(システムイメージや重要ファイルの多重保管)や、メール添付ファイル・ダウンロードファイルの取り扱いを慎重にするなど、運用面の安全策もセットで考えることをおすすめします。
(上級者向け)WinRE や DISM で更新を制御するアイデア
企業環境や上級ユーザー向けに、さらに踏み込んだ更新管理のアイデアも簡単に触れておきます。
WinRE からのロールバックを定期運用に組み込む
今回のように特定の月例更新が問題を起こす場合、「問題のある月に限って WinRE で最新の品質更新を削除 → 翌月の更新で再チャレンジ」という運用をテンプレ化しておくと、トラブル時の対応が素早くなります。
- プリンターや業務アプリに重大影響が出た場合のみ WinRE からロールバック
- その間は更新を一時停止し、次の月例更新を検証用 PC で先行テスト
DISM /online /get-packages で対象更新を特定
コマンドラインから対象 KB を厳密に確認したい場合は、DISM コマンドも役立ちます。
dism /online /get-packages | findstr 5063878
などとして KB5063878 に関するパッケージ名を確認し、どうしても必要な場合は DISM で削除することも可能ですが、誤操作のリスクが高いため、基本的には一般ユーザーにはおすすめしません。
よくある質問(FAQ)
Q. KB5062660 は必ずアンインストールするべき?
A. KB5062660 は「オプションのプレビュー更新」であり、そもそもインストールしなくてもセキュリティ上の問題はありません。すでにインストール済みで不具合がある場合はアンインストールを検討してよいですが、まだ入れていない場合は「スキップ」するだけでも十分です。
Q. KB5062660 が「更新プログラムのアンインストール」に出てこないのはなぜ?
A. KB5063878 など、後続の累積更新がインストールされると、内部的に KB5062660 の内容が置き換えられ、個別にアンインストールできなくなることがあります。そのため、一覧に見当たらない場合は、後続の KB5063878 をアンインストールすることが実質的な対処になります。
Q. KB5063878 は危険なアップデートなの?(SSD の問題など)
A. KB5063878 については、一部で「SSD が壊れた/ドライブが消えた」といった報告もあり話題になりましたが、Microsoft や SSD ベンダー側では「因果関係が確認できていない」との見解も出ています。
いずれにせよ、大容量の書き込みや高負荷作業を行う前にはバックアップを取る、ストレージの空き容量を十分に確保するといった一般的な安全策は、今回の件に限らず重要です。
Q. 最終的にどうするのがベスト?
A. 本記事のおすすめは次のようなステップです。
- まずは KB5063878 をアンインストール して印刷を復旧。
- 更新を一時停止(4週間程度) し、その間に
- Epson 公式ドライバーを最新に更新
- 次の累積更新(KB5064081 や KB5065426 など)が出たら、テスト用 PC で事前検証
- 問題が解消していることを確認できたら、一時停止を解除して最新の更新を適用。
この流れであれば、業務に必須の印刷機能を維持しつつ、できるだけ早くセキュリティ面も元の最新状態へ戻すことができます。
Windows Update とプリンターの相性問題は、毎年どこかの月で必ず話題になる「お約束」でもありますが、「問題が出たら直近の品質更新を一度ロールバックし、次の月例更新で再チャレンジ」という基本パターンを覚えておくと、今後も落ち着いて対処できるはずです。

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