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Windows 11 24H2「KB5065426」でログイン遅延(約75秒)発生?原因と安全な回避策・ロールバック手順【KB5063878/KB5062553も整理】

2025年9月の累積更新プログラム KB5065426(OS Build 26100.6584) を適用した後、一部の環境でサインイン完了まで約75秒(1分15秒)かかるとの報告が相次いでいます。本稿では、現象の背景・再発疑いの根拠、企業運用で実践できる回避策と検証手順、ロールバック手順(GUI/コマンド)までを一気通貫で解説します。管理者の現場でそのまま使えるチェックリストやスクリプト断片も添え、セキュリティと可用性のバランスを崩さない「安全な暫定対応」を重視しました。


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目次

現象の概要と再発疑いの根拠

2025年9月9日公開の KB5065426(OS Build 26100.6584) は Windows 11 24H2 の月例「B」リリースに該当します。Microsoft の公開情報上も当該ビルドは 24H2 の9月Bリリースとして記載されています。

適用後、サインイン画面の「ようこそ」「しばらくお待ちください」で滞留し、デスクトップが表示されるまで約1分15秒要するという具体的な計測値が Microsoft Q&A で複数報告されています。特に「7月の KB5062553(OS Build 26100.4652) と似た遅延が再発した」「8月の KB5063878(OS Build 26100.4946) では改善していたのに9月でまた悪化した」という時系列の指摘が見られます。

なお、KB5063878 の公式ドキュメントには「新規デバイスで発生するサインイン遅延を修正(原因は一部のプレインストールパッケージ)」と明記されており、サインイン遅延に対する修正が直前のリリースで実装されていたことが確認できます。直近の累積で挙動が変化した可能性(リグレッション)は否定できません。

今回の更新(KB5065426)の位置づけと既知情報

KB5065426 の公式リリースノートには PSDirect や SMBv1 互換性等の既知問題が列記されていますが、サインイン遅延が「既知の問題」として明記されているわけではありません。もっとも、品質問題や緩和策は Windows Release Health の「Windows 11, version 24H2 known issues and notifications」ページで随時アップデートされます。最新の既知問題・緩和策・OOB(臨時)更新の有無はここを定点観測してください。

タイムライン(抜粋)

日付(UTC)KB / Build種別要点ログイン挙動の声
2025-07-08KB5062553 / 26100.4652月例B24H2の基準累積更新「初回ログオンが約90秒へ悪化」とのコミュニティ報告。
2025-08-12KB5063878 / 26100.4946月例B「サインイン遅延を修正(新規端末の一部構成で)」を明記。体感改善の声あり
2025-09-09KB5065426 / 26100.6584月例BPSDirect/SMBv1等の注意書き。アンインストールは DISM 推奨。「約1分15秒」遅延の具体報告(再発疑い)。

なぜ遅くなるのか:技術的背景(推定と検証観点)

Windows のブート〜ログオンは複数のサブフェーズから成り、「Winlogon Init(サービス起動・GPO適用・ログオンスクリプト実行など)」や「Windows Logon(通知サブスクライバ処理)」でボトルネックが現れやすいことが知られています。Microsoft 技術コミュニティの分析でも、GPClient(グループポリシー)の通知処理が 70秒級の遅延源になった実例が解説されています。

実地では次の要因が複合して 60〜90 秒級の遅延を引き起こすケースが目立ちます。
・GPOの同期適用(「ネットワークを待機」ポリシー / WMIフィルタ / 共有からのスクリプト)
・サードパーティ製AV/EDR/資産管理エージェントのサービス初期化
・クラウド認証(CloudAP)・Windows Hello for Business・デバイス登録処理の待機
・ユーザープロファイル(FSLogix/ローミング)やシェル初期化(スタートアップアプリ)の競合

回答・解決策

1) マイクロソフトの対応状況

現時点(本稿執筆時点)でサインイン遅延を「既知の問題」と断定した公式記述は見当たらないものの、Microsoft Q&A では Independent Advisor が「Microsoft がログイン遅延の報告をレビューし、バックグラウンドサービス初期化やポリシー処理を含む原因を調査中」との案内を出しています。公式アナウンスの有無に関わらず、進展は Windows Release Health の 24H2 ステータスページを随時確認するのが最短です。

2) 一時的な回避策:以前のビルドへロールバック

影響が大きい環境では、暫定対応として KB5063878(26100.4946) まで戻し、再起動後に挙動を確認してください(必ずテスト端末で検証してから本番展開)。GUI とコマンドの両方を併記します。

GUIでのアンインストール手順

  1. 設定 > Windows Update > 更新の履歴 > 更新プログラムをアンインストール を開く。
  2. 一覧から「2025-09 Cumulative Update for Windows 11 Version 24H2 (KB5065426)」を選び、アンインストール
  3. 再起動してサインイン時間を計測。

コマンドでのアンインストール(推奨:DISM)

注意:近年の SSU+LCU 結合パッケージは wusa /uninstall が効かない構成が一般的です。Microsoft 公式でも DISM /Remove-Package の利用が案内されています。

:: 対象パッケージ名の特定(例:Build 26100.6584 を含むものを検索)
dism /online /get-packages | findstr /i 26100.6584

:: 取得した "Package_for_RollupFix~..." を指定して削除
dism /online /remove-package /packagename:Package_for_RollupFix~31bf3856ad364e35~amd64~~26100.6584.x.y

:: 参考:PowerShellなら
Get-WindowsPackage -Online | Where-Object {$*.PackageName -like "*26100.6584*"} |
ForEach-Object { dism /online /remove-package /packagename:$*.PackageName } 

(補足)wusa /uninstall /kb:5065426 は結合パッケージでは失敗する場合があります。DISM を基本とし、ロールバック後は「更新の一時停止」「承認保留(WSUS/Intune)」で再適用を防止します。

Windows Update の一時停止・段階展開(WUfB/Intune/GP)

  • WUfB(Windows Update for Business)で品質更新を最大35日停止、あるいは最大30日までの遅延を設定可能。
    GPO: コンピューターの構成 > 管理用テンプレート > Windows コンポーネント > Windows Update > Windows Update for Business > 品質更新を受信する時期を選択する

3) 追加の検証ポイント(補足)

イベントログで「遅いサブフェーズ」を特定

  • Winlogonイベント ビュアー > Applications and Services Logs > Microsoft > Windows > Winlogon > Operational を確認(ARSO/認証開始~終了等の状態遷移)。
  • Group PolicyMicrosoft-Windows-GroupPolicy/Operational の 8000/8001(適用完了)や 5312 系をフィルタ。
  • Diagnostics-PerformanceOperational のイベント 100(ブート)、200(シャットダウン)で相関をとる。

WPR(Windows Performance Recorder)で「Winlogon Init」を可視化

WPR/WPA を用いたブート・ログオンのトレース取得は、Winlogon Init・Windows Logon・サービス起動・I/O待ち等を「どこで何秒」要しているか定量化するのに有効です。Windows ADK に含まれる WPR を「Boot/Logon」シナリオで採取し、WPA の「Windows Logon」グラフで GPClient や CloudAP、シェル初期化の待ち時間を確認します。

スタートアップとサードパーティ製ソフトの確認

  • スタートアップ アプリ:不要なものは一時的に無効化。
  • AV/EDR・資産管理エージェント:リアルタイム保護のログオン時スキャンや自己防衛モジュールが遅延源になることがあります。ベンダー推奨の除外設定や最新版への更新を確認。
  • ネットワーク依存処理(ドメイン接続、共有、スクリプト)をログオン後遅延起動へ切り替えられないか検討。

4) グループポリシーの見直し(同期/待機の最適化)

設定ポリシーパスポイント
ネットワーク待機(同期ログオン)コンピューターの構成 > 管理用テンプレート > システム > ログオン > コンピューターの起動時とログオン時に常にネットワークを待機する同期は確実だが遅延化しやすい。非同期(Fast Logon Optimization)に戻すテストで短縮する場合あり。
起動ポリシー処理の待機時間コンピューターの構成 > 管理用テンプレート > システム > グループ ポリシー > 起動ポリシー処理の待機時間を指定する既定30秒。環境により誤ったタイムアウト計算が発生する既知事象の情報もあり、明示設定で安定するケース。

環境別の実践ノウハウ

オンプレ AD ドメイン参加端末

  • GPOのWMIフィルタ/スクリプトを棚卸しし、ローカル実行・遅延起動へ移行できるものは分離。
  • ログオン スクリプト(ネットワーク ドライブ割り当て等)は GPP(プリファレンス)や Intune/PowerShell スケジュールへ移管し、ユーザーインタラクション後の実行に。
  • KIR(Known Issue Rollback)が公開された場合は、MSI のADMXを取り込んで GPO 適用で即時緩和。

Windows 365 / VDI(FSLogix/プロファイルコンテナ)

  • プロファイルのアタッチ遅延やタイムアウトが Winlogon Init の体感を悪化させます。
    セッションホスト側のストレージ遅延、アンチウイルスのコンテナ除外、FSLogix バージョンの見直しを優先チェック。
  • マスターイメージへ KB 適用→即テスト→問題あれば DISM でロールバック、の運用ループを標準化。

一般個人PC/小規模

  • 更新の一時停止(最大35日)で様子を見る。再開時は「当月のプレビュー更新(Dリリース)」ではなく、翌月Bリリースを選ぶのが安全。

すぐ使える診断スニペット

最近のログオン関連イベントを抽出(PowerShell)

# Winlogon/Operational から直近100件を採取
Get-WinEvent -LogName "Microsoft-Windows-Winlogon/Operational" -MaxEvents 100 |
  Select-Object TimeCreated, Id, Message | Format-Table -Auto

# Group Policy 処理の総所要時間をざっくり把握

Get-WinEvent -LogName "Microsoft-Windows-GroupPolicy/Operational" -MaxEvents 500 |
Where-Object { $_.Id -in 8000,8001 } |
Select-Object TimeCreated, Id, Message 

KB5065426 のパッケージ名特定~削除(PowerShell/DISM)

# 例:Build番号で絞り込み
Get-WindowsPackage -Online | Where-Object {$_.PackageName -like "*26100.6584*"} |
  ForEach-Object { "REMOVING: " + $_.PackageName ; 
                   dism /online /remove-package /packagename:$_.PackageName }

運用上の留意点(セキュリティと可用性の両立)

  • ロールバックの代償:最新のセキュリティ修正を外すため、エンドポイント保護の代替緩和(エッジ隔離、重要資産へのラテラル移動防止、IDS監視の閾値引き上げなど)を同時に回す。
  • 展開リングパイロット → 早期 → 本番の3層リングで、各リングに 0/5/10 日の品質更新遅延を付け、症状の早期検知と横展開抑止を両立。
  • KIR を活用:非セキュリティ更新に起因する既知不具合が出た場合は、Microsoft が提供する KIR テンプレート(MSI/ADMX)でコードパスをロールバック。
  • 公式情報の追跡:Release Health(24H2)・該当 KB の更新履歴を定点確認。OOB 修正が出たら速やかに検証→本番展開。

よくある質問(FAQ)

Q1. wusa /uninstall /kb:5065426 が失敗します。
A. 近年の LCU は SSU と結合されており、wusa でのロールバックができない構成です。DISM /Remove-Package とパッケージ名の特定で対応してください(本稿のコマンド例参照)。

Q2. どのログを見れば「どこで待っているか」分かりますか?
A. まずは Winlogon/OperationalGroupPolicy/Operational をセットで。さらに正確に詰めるなら WPR/WPA で「Windows Logon」「Boot Phases」を開き、Winlogon Init と通知サブスクライバ(GPClient など)の待機時間を読みます。

Q3. 公式に「サインイン遅延の既知問題」は出ていますか?
A. KB5065426 の既知問題欄は PSDirect・SMBv1 等で、ログイン遅延は明記されていません。一方でコミュニティでは 1分15秒という具体報告が複数出ており、Independent Advisor は Microsoft 側のレビュー・調査中である旨を案内しています。判断は最新の Release Health と KB の更新履歴を基準に行ってください。

まとめ

KB5065426(26100.6584)適用後の「約75秒ログイン遅延」は、GPO同期・サービス初期化・CloudAP 等の「Winlogon Init」領域にボトルネックが集中した結果として表面化していると推測されます。短期は DISM によるロールバック更新の一時停止で影響を抑えつつ、Winlogon/GP のログWPR/WPAで遅延源を定量化、ポリシーの同期/待機の最適化スタートアップのダイエットで恒常的な改善へつなげましょう。最新アナウンス(Release Health/KB更新履歴)を継続監視し、修正パッチが出たら速やかに検証・展開してください。


付録:運用チートシート

やること目的コマンド/場所備考
ログオン時間の体感計測現象の再現性確認ストップウォッチ(3回平均)初回/2回目/再起動後で差を記録
イベントログ確認サブフェーズ特定Winlogon/Operational, GroupPolicy/Operational必要に応じて Diagnostics-Performance も
WPR/WPA 解析遅延源の数値化ADK の WPR(Boot/Logon)Windows Logon グラフで通知サブスクライバを見る
DISMでロールバック暫定緩和dism /online /remove-packageSSU+LCU結合により wusa は非推奨
WUfBで停止/遅延再発防止「品質更新を受信する時期を選択する」35日停止 / 30日遅延でリング配布
GPO最適化恒常改善ネットワーク待機/待機時間の明示設定同期→非同期の切替テスト

免責と編集方針

本記事は、公式ドキュメント・Microsoft Release Health・Microsoft Q&A 等で公開された情報と、一般に再現可能な検証手順をもとに構成しています。環境依存の差異(ドメイン構成、EDR、プロファイル手法、ネットワーク品質など)により体感や再現性は変化します。大規模展開の前には必ずパイロット検証を実施してください。


この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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