Respondus LockDown Browser(以下 LDB)の受験中や終了時にアプリケーションがクラッシュし、再起動後に「スタート > 電源」メニューから ロック しか選択できずシャットダウンや再起動が行えない、加えて Ctrl+Shift+Esc で呼び出すタスクマネージャーが「管理者によって無効化されています」と表示される――そんな厄介なトラブルが国内外で報告されています。本記事では、システムの初期化に踏み切る前に試してほしい安全・確実な復旧手順と、根本原因の理解、再発防止策まで網羅的に解説します。
症状の具体例と再現条件
- LockDown Browser がフリーズし強制終了する、または Windows がブルースクリーン(Stop Code: CRITICALPROCESSDIED 等)で再起動。
- 再起動後、スタートメニューの電源ボタンに「ロック」しか表示されない(下図参照)。
- タスクマネージャー起動時に「タスク マネージャーは管理者によって無効化されています」のダイアログ。
sfc /scannow・電源トラブルシューティングなどでは異常なし。
なぜ起こるのか ― LDB とグループポリシーの仕組み
LDB はオンライン試験中の不正行為を防ぐ目的で、多数のグループポリシー(GP)を一時的に有効化し、エクスプローラーやタスクマネージャー、電源操作などに制限を掛けます。通常は試験終了と同時にポリシーが解除されますが、
- アプリが応答しないまま OS が強制終了した
- ユーザーが電源ボタン長押しで強制的に切った
といった異常終了が起きると、HKLM\Software\Policies などに残骸が残り、電源メニュー/タスクマネージャーを司るポリシーが有効化されたまま固定されることがあります。
復旧の前に ― 必ず行いたいバックアップ
レジストリ削除は強力ゆえ、念のため復元ポイントを作成し、重要ファイルは OneDrive や外付けストレージへバックアップしましょう。以下の手順は Windows 10/11 Home でも Pro でも有効ですが、企業配布端末でドメイン管理を受けている場合は IT 管理者へ相談が先決です。
安全・確実な復旧手順(推奨)
1. 管理者権限でコマンドプロンプトを開く
- Win キーを押し「cmd」と入力。
- 検索結果の「コマンド プロンプト」を右クリックし「管理者として実行」。
2. グループポリシー関連レジストリを削除
次の 10 行を1 行ずつ貼り付け、行ごとに完了を待ちます(「指定されたキーが見つかりません」等のエラーは既にキーが無いだけなので無視可)。
reg delete "HKLM\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies" /f
reg delete "HKLM\Software\Microsoft\WindowsSelfHost" /f
reg delete "HKLM\Software\Policies" /f
reg delete "HKLM\Software\WOW6432Node\Microsoft\Policies" /f
reg delete "HKLM\Software\WOW6432Node\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies" /f
reg delete "HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows Defender" /v DisableAntiSpyware
reg delete "HKCU\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies" /f
reg delete "HKCU\Software\Microsoft\WindowsSelfHost" /f
reg delete "HKCU\Software\Policies" /f
reg delete "HKLM\Software\Microsoft\Policies" /f
主要キーと機能制限の関係
| レジストリ パス | 代表的サブキー | 影響機能 |
|---|---|---|
| HKLM\Software\Microsoft\Windows CurrentVersion\Policies\Explorer | NoClose NoControlPanel | 電源メニュー非表示 設定アプリ起動禁止 |
| HKLM\Software\Policies\Microsoft\Windows NT\SystemRestore | DisableSR | システム復元の無効化 |
| HKCU\Software\Microsoft\Windows CurrentVersion\Policies\System | DisableTaskMgr | タスクマネージャー無効化 |
3. コマンドプロンプトを閉じて再起動
シャットダウンではなく再起動によりポリシーキャッシュを一掃します。再起動後に電源メニューとタスクマネージャーが元に戻れば成功です。
バッチスクリプトで一括実行(上級者向け)
複数台メンテナンスする場合は以下を fix_ldb.bat として保存し「右クリック > 管理者として実行」で自動化できます。
@echo off
for %%K in (
"HKLM\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies"
"HKLM\Software\Microsoft\WindowsSelfHost"
"HKLM\Software\Policies"
"HKLM\Software\WOW6432Node\Microsoft\Policies"
"HKLM\Software\WOW6432Node\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies"
"HKCU\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Policies"
"HKCU\Software\Microsoft\WindowsSelfHost"
"HKCU\Software\Policies"
"HKLM\Software\Microsoft\Policies"
) do reg delete %%K /f
reg delete "HKLM\SOFTWARE\Policies\Microsoft\Windows Defender" /v DisableAntiSpyware
echo 完了しました。PCを再起動してください。
pause
復旧できない場合の代替策
- LDB ショートカット → 右クリック → その他のオプションを表示 → プロパティ → 詳細設定 →「管理者として実行」にチェック。毎回 Run as administrator で起動すればフリーズ率が下がり、ポリシー残留を回避できた事例があります。
- Windows 回復環境(WinRE)の スタートアップ修復 は LDB 由来 GP の削除対象外のため基本的に効果はありません。
- 「gpedit.msc が使えない Home エディション」という場合でも、
regコマンドなら実行可能です。
よくある質問(FAQ)
LDB を再インストールしたら再発しますか?
受験が終わったらアンインストールしておくことで、クラッシュ時のポリシー残留リスクを最小化できます。再インストール自体は問題ありません。
大学支給 PC で勝手にレジストリを消して良い?
ドメイン参加端末では中央のグループポリシーが上書きされる可能性があります。必ず IT 管理者に連絡を取り、手順を承認してもらってください。
レジストリを削除して Windows Defender が無効になったら?
本記事のコマンドは Defender を無効化するポリシーキーそのものを削除するので、再起動後に Defender は自動的に再有効化されます。
再発防止・リスク低減策
- LDB を仮想マシンや大学提供の専用試験環境で実行し、ホスト OS を汚染しない。
- 定期的に「システムの復元」有効化とポイント作成を習慣にする。
- Windows 更新プログラム適用直後はドライバとの競合で LDB が落ちやすい傾向があるため、重要試験前の大型アップデートは延期する。
- ノート PC のバッテリー切れによる強制シャットダウンもポリシー残留の原因。試験中は AC アダプターを必ず接続。
教育機関・管理者向けアドバイス
複数受験室の PC を一括で復旧する場合、以下の運用を推奨します。
| 施策 | ツール/設定 | 期待効果 |
|---|---|---|
| LDB 専用ユーザープロファイル | ローカルアカウント + 必要最小限権限 | ポリシー残留範囲を限定 |
| グループポリシー自動リセット | シャットダウンスクリプトで RD /S /Q C:\Windows\System32\GroupPolicy | 全端末を毎晩リセット |
| イベント監視 | Event ID 1000 (AppCrash) 通知 | クラッシュ発生時に IT 部門へ即メール |
授業支援システム側で「試験終了時に LDB を自動終了し、10 秒後に shutdown /r /t 0 を実行する」スクリプトを組み込むと、異常終了の確率が大きく下がります。
まとめ
LDB のクラッシュ後に電源オプションやタスクマネージャーが消える問題は、残存したグループポリシー設定をレジストリから削除し再起動することで高確率で解決できます。記事内のコマンドは Windows 10/11 Home/Pro で動作確認済みですが、操作前に必ずバックアップを取り、自己責任で実行してください。根本原因を理解し、試験時の電源管理や仮想環境利用で再発を防ぎましょう。

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