Windows 11 の Photos Legacy(旧フォトアプリ)で作った動画が「重くて送れない」「アップロードに時間がかかる」。そんなときに“後から容量だけ小さくする”ための現実解を、Windows 標準機能と無料ツールで具体的にまとめました。画質をなるべく保ちながら容量を確実に削減する順番・手順・設定の目安・失敗しないチェックポイントまで網羅します。
Photos Legacy で作成した動画のファイルサイズ削減方法
質問概要
「Windows 11 の Photos Legacy(旧フォトアプリ)で作った動画を、あとから容量だけ小さくできるか? 可能なら手順を知りたい。」という問いに対する実務的な解決策を、難易度と安全性のバランスで解説します。
結論(最短の答え)
- できます。方法は大きく「オンライン圧縮」「Windows 標準の Clipchamp で再書き出し」「FFmpeg で再圧縮」「動画自体を短くする」の 4 つ。
- 画質を維持しつつサイズを下げたい場合は、まずトリミング(不要部分の削除)→ 解像度を下げる(1080p → 720p など)→ ビットレート/CRF を調整の順に手を打つと失敗が少ないです。
- 業務・個人情報を含む映像は、クラウドにアップロードしない方法(Clipchamp / FFmpeg)を推奨。どの方法でもオリジナルは必ず別名保存で保護してください。
回答・解決策(比較表)
| 方法 | 手順・ポイント | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| オンライン圧縮サービスを使う | 動画をブラウザでアップロードして圧縮率や解像度を指定してダウンロード。代表例:FreeConvert など。 | インストール不要で手早い。 | クラウドにアップロードするため機密動画には不向き。広告や不要ソフトの案内に注意。 |
| Windows 標準「Clipchamp」で再書き出し | 動画を Clipchamp に読み込み、エクスポートで「480p/720p/1080p」などを選択し、品質(ビットレート)を調整。 | 追加ソフト不要。ローカル処理で安全。 | 解像度やビットレートを下げると画質も下がる。試し書き出しで確認を。 |
| FFmpeg などの無償エンコーダーで再圧縮 | ffmpeg -i input.mp4 -c:v libx264 -crf 26 -preset medium -c:a aac -b:a 128k output.mp4数値を大きくするほど小さくなる(CRF)。 | 画質とサイズを細かく追い込める。バッチ処理も可能。 | コマンド操作に慣れが必要。最初は小さなクリップで試す。 |
| 動画の長さ自体を短くする | Photos Legacy / Clipchamp で不要部分をトリミングして保存。 | 画質劣化なしで確実にサイズ削減。 | 内容を削るため情報が欠ける可能性。 |
サイズが決まる仕組みをざっくり把握
動画サイズは主に 長さ(時間) × 平均ビットレート で決まります。長さを変えない場合は、解像度やビットレート、コーデック(H.264 / H.265 / AV1 など)の選択で削減します。目安は以下。
| 解像度 | 目安ビットレート(H.264) | 目安ビットレート(H.265/HEVC) | 用途の例 |
|---|---|---|---|
| 480p(SD) | 1~1.5 Mbps | 0.6~1.0 Mbps | 資料動画、メール添付 |
| 720p(HD) | 2~4 Mbps | 1.0~2.5 Mbps | 社内共有、学習動画 |
| 1080p(フルHD) | 4~8 Mbps | 2.5~5 Mbps | 一般的な配布、Web 掲載 |
| 1440p(2K) | 8~12 Mbps | 5~8 Mbps | 細部重視のデモ |
| 2160p(4K) | 12~35 Mbps | 8~25 Mbps | 高精細の保管・配布 |
オーディオも容量に効きます。話し声中心なら AAC 96~128 kbps(モノラル/ステレオ)で十分なことが多く、音楽重視なら 160~192 kbps を検討します。
方法 1:オンライン圧縮サービス(最短で済ませたいとき)
最速の手段はオンライン圧縮です。動画をアップロードし、圧縮率や出力解像度・コーデックを指定してダウンロードするだけなので操作は簡単です。
- ブラウザを開き、動画圧縮サービスにアクセス。
- Photos Legacy で作った MP4 をドラッグ&ドロップ。
- 出力解像度(例:720p)と品質(圧縮率)を指定。
- コーデックは互換性優先なら H.264、サイズ最小なら H.265(HEVC)を選択。
- オーディオは 96~128 kbps(音声中心なら 64 kbps も可)に設定。
- ダウンロードして再生確認。問題なければ完了。
注意:機密映像・個人情報が映る動画はクラウドに置かない前提で運用しましょう。どうしても使う場合は、顔や画面の一部をぼかした暫定版を作ってから圧縮するなど、情報露出を最小化してください。
方法 2:Windows 標準「Clipchamp」で安全に再書き出し
Windows 11 には動画編集アプリ Clipchamp が標準搭載されています。ローカル処理で安全かつ、UI 操作で簡単に解像度・品質を調整できます。
基本手順
- スタート → Clipchamp を起動。
- メディアをインポートから動画を読み込み、タイムラインに配置。
- 不要部分があればタイムライン上でトリミング(これが最も確実な削減)。
- エクスポート → 解像度(480p/720p/1080p など)を選択。
- 必要に応じて品質(ビットレート)を下げる。
- ファイルを書き出して再生確認。文字のにじみ・動きの破綻・音ズレがないかをチェック。
用途別のおすすめ設定(目安)
| 用途 | 解像度 | フレームレート | ビットレート目安(H.264) | 音声 | ポイント |
|---|---|---|---|---|---|
| メール添付・チャット共有 | 720p | 30 fps | 2~3 Mbps | AAC 96 kbps | 容量優先。小さな文字は太字にしておくと見やすい。 |
| 社内ポータル掲載 | 1080p | 30 fps | 4~6 Mbps | AAC 128 kbps | 読みやすさと容量のバランスを取る。 |
| プレゼン配布・顧客向け | 1080p | 30 fps | 6~8 Mbps | AAC 160 kbps | 細部重視。画面録画なら 30 fps 固定が安定。 |
Clipchamp のコツ
- 画面録画ベースの資料動画なら 30 fps 固定で十分。不要に 60 fps を選ぶとファイルが太ります。
- 文字が多い画面は720p だと読みにくいことがあるため、字幕や注釈を大きめに配置しておくと圧縮耐性が上がります。
- 書き出し後に「ストリーミング高速化(faststart)」が有効な MP4 なら、Web 掲載時のシークが軽くなります(FFmpeg の項目で後述)。
方法 3:FFmpeg で高効率に再圧縮(細かく調整したい人向け)
FFmpegは無償の高性能エンコーダーです。コマンドに慣れる必要はありますが、画質と容量のバランスを緻密に追い込めるのが最大の利点です。まずは標準的な H.264(互換性が最も広い)から。
H.264(libx264)基本形
ffmpeg -i input.mp4 -c:v libx264 -crf 26 -preset medium -c:a aac -b:a 128k -movflags +faststart output.mp4
-crf:画質の目安。数値が大きいほどサイズが小さく(画質は下がる)。一般に 23 が基準、24~28 でサイズ削減、18~20 は高画質。-preset:エンコード速度と圧縮効率のトレードオフ(ultrafast ~ veryslow)。遅いほど同じ画質でサイズが小さくなりやすい。-movflags +faststart:MP4 のメタデータを先頭に移し、Web 再生のシークを改善。
解像度を落として削減(スケーリング)
ffmpeg -i input.mp4 -vf "scale=-2:720" -c:v libx264 -crf 24 -preset slow -c:a aac -b:a 128k -movflags +faststart output_720p.mp4
scale=-2:720 は縦を 720 にし、横を偶数に自動調整します(エンコーダーの効率が安定)。
長さを短縮(トリミング)
ffmpeg -ss 00:00:05 -to 00:01:30 -i input.mp4 -c:v libx264 -crf 24 -c:a aac -b:a 96k cut.mp4
開始 5 秒~ 1 分 30 秒までを切り出し。-ss / -to の順序はこの形が精度と速度のバランスがよいです。
H.265/HEVC(さらに小さく)
ffmpeg -i input.mp4 -c:v libx265 -crf 28 -preset medium -c:a aac -b:a 128k -tag:v hvc1 output_hevc.mp4
- 同等画質で H.264 より 20~40% 小さくなることが多い一方、古い端末で再生できない場合があります。配布先の互換性に注意。
AV1(さらに効率重視・互換性要確認)
ffmpeg -i input.mp4 -c:v libsvtav1 -crf 35 -preset 6 -c:a aac -b:a 128k output_av1.mp4
高効率ですが、古い環境での再生互換性は H.264 より劣ります。配布前の確認は必須です。
ハードウェアエンコード(高速化)
対応 GPU がある場合は NVENC/Quick Sync/AMF で高速化できます。
| ベンダー | コーデック | 例コマンド | 備考 |
|---|---|---|---|
| NVIDIA | H.264(NVENC) | ffmpeg -i in.mp4 -c:v h264_nvenc -cq 28 -preset p4 -c:a aac -b:a 128k out.mp4 | -cqを大きくすると小さくなる。高画質は p5/p6。 |
| Intel | H.264(QSV) | ffmpeg -i in.mp4 -c:v h264_qsv -global_quality 28 -c:a aac -b:a 128k out.mp4 | -global_qualityは NVENC の -cqに相当。 |
| AMD | H.264(AMF) | ffmpeg -i in.mp4 -c:v h264_amf -quality quality -q 28 -c:a aac -b:a 128k out.mp4 | 速度は速いが圧縮効率はソフトウェア x264 に及ばない場合あり。 |
CRF とおおよその体感目安
| CRF(H.264) | 画質の印象 | サイズ感(相対) | 向いている用途 |
|---|---|---|---|
| 18~20 | 非常に高画質(資料文字くっきり) | 大きめ | 配布版の保存、アーカイブ |
| 22~24 | 高画質 | 中~やや小 | 一般配布、Web 掲載 |
| 25~28 | 十分実用 | 小さめ | メール・チャット共有、レビュー用 |
※ 同じ CRF でも、元動画の内容(速い動き・微細な模様・テロップの多さ)でサイズは変わります。テキスト主体の画面録画は低ビットレートでも見やすい一方、実写のスポーツ映像はビットレートを要します。
フレームレート(fps)の扱い
- 資料系は 30 fps で十分。60 fps を不要に維持するとサイズが 2 倍近くになります。
- フレームレートを落とす場合は
-filter:v fps=30を使用(-r 30は状況により副作用が出ることがある)。
音声で稼ぐ(意外と効く)
ffmpeg -i input.mp4 -c:v copy -c:a aac -b:a 96k audio-tight.mp4
映像は再エンコードせず-c:v copyでコピーし、音声だけを 96 kbps に下げる。音声比率が高い動画ではこれだけで数十 MB 削減できることがあります(画質劣化なし)。
バッチ処理(フォルダ内を一括変換)
PowerShell 例(同フォルダ内の MP4 を一括で 720p に縮小):
Get-ChildItem *.mp4 | ForEach-Object {
$out = "$($_.BaseName)_720p.mp4"
ffmpeg -i $_.FullName -vf "scale=-2:720" -c:v libx264 -crf 24 -preset medium -c:a aac -b:a 128k -movflags +faststart $out
}
方法 4:動画の長さを短くする(最も確実)
容量削減の王道は不要部分のカットです。画質を一切落とさずにサイズを減らせます。Photos Legacy/Clipchamp のタイムラインで、無音の待機・操作ミス・重複説明などを積極的に削りましょう。
- 冒頭と末尾の3~5 秒の余白を削るだけでも体感サイズは確実に下がります。
- 「同じ動作のリピート」「長い読み込み待ち」「言い直し」は大胆にカット。
- 説明が長い箇所は字幕に置き換えるほうが短くなることもあります。
失敗しないための実践ワークフロー
- オリジナル保護:元動画を別フォルダにコピーし、編集対象は複製に。
- 短い範囲で試す:30~60 秒を抜き出して、解像度/CRF/音声ビットレートを試行。
- 確認ポイント:小さな文字のにじみ、スクロール時の破綻、ブロックノイズ、音ズレ。
- 本番書き出し:OK だった設定で全編を再エンコード。
- 再生互換性チェック:配布先の端末(PC/スマホ)で再生確認。
チェックリスト(変換後に見る場所)
| 項目 | 合格ライン | 確認方法 |
|---|---|---|
| 文字の可読性 | 8~10pt 相当でも輪郭が崩れない | 小さな UI テキストを一時停止して確認 |
| 動きの滑らかさ | マウス移動・スクロールで破綻なし | 30 秒ほど連続再生して目視 |
| 音ズレ | 口の動きやクリック音と一致 | 操作音や発声のタイミングでチェック |
| 再生互換性 | 主要ブラウザ/スマホで再生OK | 配布先の実機で再生テスト |
| サイズ/用途の適合 | 掲示先の上限未満 | チャット/ポータルの上限値と比較 |
よくある質問(FAQ)
Q:画質を落とさずにサイズだけ小さくできますか?
完全に同じ画質で小さくするのは基本的に困難です。最も効くのは不要部分のカット。次点でより効率の良いコーデック(H.265/AV1)や適正な解像度の選択です。
Q:H.265 や AV1 はどこでも再生できますか?
新しめの端末・ブラウザは対応が進んでいますが、環境によっては再生不可の場合があります。配布先が混在する場合は H.264を基本にしましょう。
Q:音ズレが出るのはなぜ?
フレームレートや可変フレームレート(VFR)の扱いでずれることがあります。-filter:v fps=30 で CFR に揃える、音声の再サンプルを有効にするなどで改善します。
Q:どの CRF を選べばいい?
まず CRF 24~26 で試し、テロップ多めなら 22~24、実写中心で容量重視なら 26~28 と調整するのが定番です。
Q:動画がぼやける/文字が崩れる
解像度を下げすぎです。720p で厳しいときは 1080p に戻し、代わりに CRF を 1~2 上げる・fps を 30 にする・音声ビットレートを下げるなどで帳尻を合わせましょう。
テンプレコマンド集(コピペOK)
見た目を保ちつつ 30~50% 削減(H.264)
ffmpeg -i in.mp4 -c:v libx264 -crf 24 -preset slow -c:a aac -b:a 128k -movflags +faststart out.mp4
資料動画を 720p に縮小し軽量化
ffmpeg -i in.mp4 -vf "scale=-2:720,fps=30" -c:v libx264 -crf 24 -preset medium -c:a aac -b:a 96k -movflags +faststart out_720p.mp4
音声中心でさらに軽く(モノラル化)
ffmpeg -i in.mp4 -c:v libx264 -crf 25 -preset medium -c:a aac -b:a 80k -ac 1 -movflags +faststart out_mono.mp4
サイズ最小狙い(H.265/HEVC・互換性要確認)
ffmpeg -i in.mp4 -c:v libx265 -crf 28 -preset medium -tag:v hvc1 -c:a aac -b:a 96k -movflags +faststart out_hevc.mp4
バッチでフォルダ内を一括 H.264 CRF 24
Get-ChildItem *.mp4 | ForEach-Object {
$out = "$($_.BaseName)_crf24.mp4"
ffmpeg -i $_.FullName -c:v libx264 -crf 24 -preset medium -c:a aac -b:a 128k -movflags +faststart $out
}
セキュリティ/コンプライアンスの留意点
- 機密情報・個人情報を含む映像は、オンライン圧縮の利用を避けるのが原則。
- プロジェクトや契約により、コーデックやビットレートの指定がある場合は遵守。
- 一度強く圧縮した動画の画質は元に戻りません。オリジナルのバックアップは常に別保存。
Photos Legacy(旧フォト)の補足
- Photos Legacy の「ビデオ エディター」で作ったプロジェクトは、一度 MP4 に書き出した後でも、本記事の手段で後処理(再圧縮)が可能です。
- 将来的に編集し直す可能性があるなら、プロジェクト ファイルと素材を保管しておくと、テロップの文字サイズや配色を「圧縮耐性が高い形」に再調整できます。
トラブルシューティング
| 症状 | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 音ズレ | VFR の扱い/エンコード設定 | -filter:v fps=30 で CFR 化、音声の再サンプル、別プレーヤーで検証 |
| 文字がつぶれる | 解像度・ビットレート不足 | 1080p に戻す/CRF を 2~3 下げる/字幕サイズを上げる |
| 再生できない | コーデック互換性不足(HEVC/AV1) | H.264 + AAC(MP4)で再書き出し |
| 容量が思ったほど減らない | 静止画面が多く既に効率的/設定が高すぎ | 解像度を 1 段下げる/CRF+2/音声 96 kbps に |
| ブロックノイズ | ビットレート不足・高速プリセット | CRF を下げる(数字を小さく)/preset を slow 側へ |
実運用のベストプラクティス
- まずトリミング:長さが 10% 減れば、その分ほぼ比例して容量も減る。
- 解像度は用途合わせ:資料文字が読める最小解像度に落とすのがコスパ最強。
- ビットレートより CRF 推奨:H.264/H.265 では一定の見た目品質を保ちやすい。
- 音声で稼ぐ:会議録画は 96 kbps モノラルで十分なことが多い。
- 試し書き出しをルーチン化:30~60 秒で OK/NG を即判定し、全編に適用。
まとめ
Photos Legacy で作った動画は、後からでもサイズ削減が可能です。最短はオンライン圧縮、安全かつ確実なのは Windows 標準の Clipchamp、徹底して追い込みたいなら FFmpeg。まずはトリミング → 解像度 → CRF/ビットレート → コーデックの順に試し、短い区間でテストしてから全編に適用しましょう。オリジナルの保護と配布先での再生確認を忘れなければ、実用的なサイズと品質の着地点に、短時間で到達できます。
補足・留意点(再掲)
- サイズ決定要素は「長さ」「解像度」「ビットレート」。長さを維持するなら解像度かビットレートを下げる。
- ビットレートを下げればブロックノイズやぼやけが発生しやすい。用途(SNS/メール/社内共有)に合わせてテストし、最小許容品質を見極める。
- オンラインサービスは便利だが、機密や個人情報を含む動画のアップロードは避ける。使うなら一時的な書き換え版でリスクを低減。
- 一度圧縮して落ちた画質は元に戻らない。オリジナルを必ずバックアップ。

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