Windows 11で精密タッチパッドのスクロールが遅い、ピンチズームが敏感すぎると感じる場合は、KB5101684で追加された速度設定を利用できます。対象端末では、[設定]→[Bluetoothとデバイス]→[タッチパッド]→[スクロールとズーム]から、通常操作の基準速度と、繰り返し操作で移動量を増やす高速スクロールを調整できます。
ただし、対象はWindows Precision Touchpadに対応したWindows 11 PCです。また、機能は段階的に配信されるため、KB5101684をインストールしても、すぐに設定項目が表示されないことがあります。(Microsoft サポート)
タッチパッドのスクロール速度を細かく変える、KB5101684の新設定
KB5101684は、2026年7月28日に公開されたWindows 11 バージョン24H2/25H2向けのプレビュー更新プログラムです。適用後のOSビルドは、25H2が26200.8973、24H2が26100.8973になります。(Microsoft サポート)
この更新では、Windows Precision Touchpad、日本語の公式表記では「高精度タッチパッド」に、次の設定が追加されました。
| 設定項目 | 変更される動作 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| スクロール速度 | 2本指スクロールの基準となる移動速度 | Webページ、PDF、Excel、設定画面 |
| ズーム速度 | ピンチ操作に対する拡大・縮小の反応量 | 地図、画像、資料、ブラウザー |
| 高速スクロール | ジェスチャを素早く繰り返すほどスクロールを速くする | 長い文書、大量の一覧、縦長ページ |
Microsoftが公開した画面では、スクロール速度とズーム速度は別々のスライダーとして配置され、高速スクロールはオン/オフできる項目として表示されています。英語表示では「Accelerated scrolling」と表記されるため、記事や端末によっては「加速スクロール」と呼ばれることもあります。
ポインター速度とは別の設定
スクロール速度を変更しても、マウスポインターの移動速度が速くなるわけではありません。
タッチパッドには、主に次の異なる速度設定があります。
- カーソル速度:1本指でポインターを動かしたときの速さ
- スクロール速度:2本指でページを上下左右に動かしたときの速さ
- ズーム速度:2本指でつまむ、または広げたときの反応量
ポインターだけが速すぎる場合は、今回追加された設定ではなく、タッチパッド画面上部のカーソル速度を調整します。Microsoftのハードウェア設計資料でも、カーソル速度は独立したタッチパッド設定として扱われています。(Microsoft Learn)
不具合修正ではなく新機能
今回の変更は、スクロールの不具合を修正するものではなく、利用者が操作感を調整できるようにする新機能です。
そのため、設定項目が表示されない場合に「タッチパッドが故障した」「更新に失敗した」とは限りません。MicrosoftはKB5101684を段階的にロールアウトしており、機能が利用できる時期は端末によって異なると説明しています。なお、Microsoftの公開情報では、この更新プログラムについて公開時点で既知の問題は案内されていません。(Microsoft サポート)
設定できる端末と事前に確認すること
新しいスクロール・ズーム設定を利用するには、OS、ハードウェア、配信状況の3つの条件を確認します。
| 確認項目 | 必要な状態 |
|---|---|
| Windowsのバージョン | Windows 11 24H2または25H2 |
| 更新プログラム | KB5101684、または同機能を含む後続更新を適用 |
| タッチパッド | Windows Precision Touchpad対応 |
| 機能の配信 | 使用中の端末に段階的ロールアウトが到達している |
Windowsのバージョンとビルドを確認する
現在のバージョンは、次の手順で確認できます。
Windowsキーを押しながらRキーを押します。winverと入力します。- [OK]を選択します。
- 表示されたバージョンとOSビルドを確認します。
KB5101684を直接インストールした場合の目安は次のとおりです。
- Windows 11 25H2:OSビルド26200.8973
- Windows 11 24H2:OSビルド26100.8973
これより新しいビルドの場合は、KB5101684の内容が後続の累積更新プログラムに含まれている可能性があります。(Microsoft サポート)
精密タッチパッド対応端末か確認する
新設定は、すべてのノートPC用タッチパッドで利用できるわけではありません。Windows Precision Touchpadに対応している必要があります。
次の方法で確認します。
- [設定]を開きます。
- [Bluetoothとデバイス]を選択します。
- [タッチパッド]を開きます。
- 画面上部に高精度タッチパッドに関する表示があるか確認します。
- 不明な場合は、PCメーカーの仕様ページや取扱説明書で「Precision Touchpad」「Windows Precision Touchpad」の記載を確認します。
設定画面に「PCに高精度タッチパッドが搭載されています」といった案内が表示される端末であれば、対応していると判断できます。ただし、メーカー独自の設定画面を使用する機種では表示方法が異なることがあります。(Microsoft サポート)
精密タッチパッドのスクロール・ズーム速度を設定する手順
新しい設定項目が配信されている場合は、次の手順で変更できます。
Windowsキーを押しながらIキーを押して、[設定]を開きます。- 左側の[Bluetoothとデバイス]を選択します。
- [タッチパッド]を開きます。
- [スクロールとズーム]を選択して展開します。
- [スクロール速度]のスライダーを動かします。
- [ズーム速度]のスライダーを動かします。
- 必要に応じて[高速スクロール]をオンまたはオフにします。
- ブラウザーやPDFなどを開き、実際の操作感を確認します。
日本語訳や配信段階によって、項目名が「スクロールとズームの速度」「高速スクロール」「加速スクロール」など、多少異なる可能性があります。Microsoftの公式画面では、[スクロールとズーム]内にスクロール速度、ズーム速度、高速スクロールが配置されています。
調整は高速スクロールをオフにして始める
操作感を効率よく調整するには、最初からすべての項目を変更しないことが重要です。
次の順番で設定すると、原因を切り分けやすくなります。
- 高速スクロールをいったんオフにします。
- スクロール速度を中央付近にします。
- 普段使うブラウザーや文書で操作します。
- 速すぎる場合は少し下げ、遅い場合は少し上げます。
- 基準速度が決まったら、高速スクロールをオンにします。
- 素早い2本指スワイプを数回繰り返し、加速の具合を確認します。
- 最後にズーム速度を調整します。
最初に基準速度を決めてから加速を有効にすることで、「通常のスクロールが速すぎるのか」「繰り返し操作による加速が強すぎるのか」を判断できます。
用途別のおすすめ設定
設定値には絶対的な正解はありません。タッチパッドの大きさ、指の動かし方、ディスプレイ解像度によって、使いやすい速度が変わります。
最初は次の設定を目安にしてください。
| 主な用途 | スクロール速度 | ズーム速度 | 高速スクロール |
|---|---|---|---|
| 一般的なWeb閲覧 | 中央付近 | 中央付近 | オン |
| 長いPDFやマニュアル | 中央付近 | やや低め | オン |
| Excelや大量の一覧 | やや低め | 中央付近 | オン |
| 地図や画像の確認 | 中央付近 | やや低め | 好みで選択 |
| 細かな編集作業 | 低め | 低め | オフ |
| 誤スクロールが多い | 低め | 低め | オフ |
長い文書をよく読む場合
PDF、Webマニュアル、ニュースサイトなどを頻繁に読む場合は、通常のスクロール速度を中央付近にし、高速スクロールをオンにするのが使いやすい構成です。
短い移動はゆっくり操作し、ページ下部まで移動したいときだけ、素早くジェスチャを繰り返せます。
Excelや管理画面を操作する場合
表の行や項目を正確に追いたい場合は、基準速度を少し低めにします。高速スクロールをオンにしておけば、大量の行を移動するときだけ速度を上げられます。
ただし、目的の行を頻繁に通り過ぎる場合は、先に高速スクロールをオフにして確認してください。
地図や画像を扱う場合
地図や画像では、ピンチ操作1回あたりの拡大率が高すぎると、目的の場所を見失いやすくなります。
ズーム速度を少し低めにし、細かく拡大・縮小できる状態にすると操作しやすくなります。スクロール速度とは別に設定できるため、ページ移動は速く、ズームだけは慎重にするといった調整も可能です。
高速スクロールをオンにするか判断する基準
高速スクロールは、ジェスチャを繰り返すほど移動を速くする機能です。長いページを一気に移動できる一方、操作方法によっては目的の位置を通り過ぎやすくなります。(Microsoft サポート)
次に当てはまる場合は、オンが適しています。
- 長いWebページやPDFを頻繁に読む
- 数千行ある表や一覧を移動する
- タッチパッドだけでPCを操作することが多い
- 何度も指を滑らせる負担を減らしたい
次に当てはまる場合は、オフを試してください。
- スクロールが急に速くなると感じる
- 目的の項目を通り過ぎることが多い
- 小型のタッチパッドを使用している
- 細かい位置合わせや選択操作を重視する
- 手や指の動きが意図せず連続操作として認識される
高速スクロールは、基準速度を単純に高くする設定とは異なります。通常操作は控えめにしながら、繰り返し操作したときだけ高速移動できる点が特徴です。
自動スクロールとは別の機能
高速スクロールは、指を離してもページが自動的に動き続ける機能ではありません。Microsoftの公式説明では、ジェスチャを繰り返したときに速度を上げる機能として案内されています。(Microsoft サポート)
Windows Insider向けの初期画面には、自動スクロールや1本指スクロールなど、ほかの試験的な機能も掲載されていました。しかし、KB5101684の正式な更新情報で確認されているのは、スクロール/ズーム速度と高速スクロールです。初期の紹介画像にあるすべての設定が表示されるとは限りません。(Windows Blog)
新しい設定が表示されないときの確認手順
KB5101684をインストールしたのに設定が見つからない場合は、次の順番で確認します。
更新履歴を確認する
- [設定]を開きます。
- [Windows Update]を選択します。
- [更新の履歴]を開きます。
- 品質更新プログラムの一覧からKB5101684を探します。
後続の累積更新プログラムをインストールしている場合は、KB5101684が個別に表示されなくても、その内容が含まれている可能性があります。
オプションの更新プログラムを確認する
KB5101684はプレビュー更新プログラムとして提供されています。利用可能な場合は、次の場所からインストールできます。
- [設定]を開きます。
- [Windows Update]を選択します。
- [詳細オプション]を開きます。
- [オプションの更新プログラム]を選択します。
- KB5101684を選んでダウンロード、インストールします。
- PCを再起動します。
Microsoftも、Windows Updateの[詳細オプション]からオプションの更新プログラムを確認する手順を案内しています。(Microsoft サポート)
プレビュー更新を急いで導入する必要はありません。新しいタッチパッド設定をすぐに試したい場合に限って導入し、安定性を優先する場合は通常の累積更新を待つ方法もあります。
最新機能を早めに受け取る設定をオンにする
KB5101684がインストール済みでも項目が表示されない場合は、次の設定を確認します。
- [設定]を開きます。
- [Windows Update]を選択します。
- [利用可能になったらすぐに最新の更新プログラムを入手する]をオンにします。
- [更新プログラムのチェック]を選択します。
- 必要に応じてPCを再起動します。
この設定をオンにすると、段階的に配信されるセキュリティ以外の機能や改善を、対象端末で早めに受け取れる可能性があります。ただし、オンにしても即座に機能が有効になるとは限りません。(Microsoft サポート)
タッチパッドドライバーを更新する
スクロール自体が不安定、2本指操作が認識されない、タッチパッド設定が極端に少ない場合は、ドライバーも確認します。
- [設定]→[Windows Update]を開きます。
- [詳細オプション]→[オプションの更新プログラム]を確認します。
- タッチパッドや入力デバイスのドライバーがあれば適用します。
- PCメーカーのサポートページでも最新ドライバーを確認します。
Microsoftは、タッチパッドドライバーの更新にはWindows Updateを利用することを推奨しています。必要に応じて、デバイスマネージャーからドライバーを更新することもできます。(Microsoft サポート)
会社や学校のPCでは管理者に確認する
組織が管理しているPCでは、オプション更新の導入や最新機能を早期取得する設定が、管理ポリシーによって制御されている場合があります。
自分で変更できない場合は、無理にレジストリや外部ツールを使わず、システム管理者に次の内容を伝えてください。
- Windows 11のバージョン
- OSビルド
- PCの機種名
- KB5101684のインストール状況
- [スクロールとズーム]に新設定が表示されないこと
Microsoftも、管理対象端末では最新更新を早期取得する設定を管理者がポリシーで制御できると案内しています。(Microsoft サポート)
Microsoft Update Catalogから手動インストールする必要はあるか
Microsoft Update Catalogには、Windows 11 24H2/25H2のx64版とArm64版に対応するKB5101684が登録されています。(マイクロソフトアップデートカタログ)
ただし、一般利用者はWindows Updateからインストールする方法を優先してください。
Microsoftの案内では、スタンドアロンパッケージを使用する場合、複数のMSUファイルを同じフォルダーに置いてDISMで適用する方法や、決められた順序で個別にインストールする方法が示されています。アーキテクチャや前提パッケージを間違える可能性があるため、Update Catalogは主に次の用途に適しています。(Microsoft サポート)
- オフライン環境のPCを更新する
- 複数台へ計画的に展開する
- 管理者が更新パッケージを検証する
- Windows Updateから取得できない原因を調査する
スクロール設定を試すことだけが目的なら、Update Catalogからの強制的な手動導入は必要ありません。Windows Updateを適用したうえで、段階的なロールアウトを待つほうが安全です。
精密タッチパッドは基準速度を決めてから加速を調整する
KB5101684により、精密タッチパッドではスクロール速度、ズーム速度、高速スクロールを個別に調整できるようになりました。
設定するときは、最初に高速スクロールをオフにし、普段の操作に合う基準速度を決めます。その後で高速スクロールをオンにし、長いページを移動するときの加速具合を確認してください。
設定が表示されない場合は、次の順番で確認します。
- Windows 11 24H2/25H2であることを確認する
- OSビルドと更新履歴を確認する
- オプションの更新プログラムを確認する
- 最新機能を早めに受け取る設定をオンにする
- Precision Touchpad対応端末か確認する
- タッチパッドドライバーを更新する
- 段階的ロールアウトが届くまで待つ
更新済みでも設定が表示されないことはあり得ます。レジストリを推測して変更するのではなく、対応ハードウェアと配信状況を確認しながら調整を進めることが重要です。

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