Windows 10 から Windows 11 24H2 へアップグレードしようとすると、エラーコード「0x800793ee」や「PC の空き容量を確認できません」というメッセージが出て先へ進めない――見かけ上は空き容量も条件も足りているのに止まってしまう場合、多くは「EFI システム パーティション(ESP)」や BCD の不具合が原因です。本記事では、データを残したまま安全にアップグレードするための具体的な復旧手順を詳しく解説します。
Windows 11 24H2 アップグレードで起きる「0x800793ee」エラーの症状
典型的な発生パターン
今回のケースは、次のような条件がそろっているにもかかわらず、Windows 11 24H2 へのアップグレードが失敗するパターンです。
- Windows 10 から Windows 11 24H2 へデータを残したままアップグレードしたい
- PC Health Check ではすべて合格(TPM 2.0 / 対応 CPU / UEFI / Secure Boot など)
- システムドライブ(通常 C:)には数百 GB の空き領域がある(例: 245 GB)
- しかし Windows Update を利用したアップグレードではエラー 0x800793eeが発生
- Windows 11 インストール アシスタントを使うと、途中で「十分な空き容量を確認できません」と表示されて停止
ディスクの空き容量は十分なのに「空き容量不足」と言われるので、多くのユーザーは原因が分からず困ってしまいます。
実は「C: ドライブ」ではなく「EFI システム パーティション」が問題
このようなケースでは、実際に不足しているのは C: ドライブではなく、ディスクの先頭付近にある 100 MB 前後の小さな領域「EFI システム パーティション(ESP)」であることが多いです。
ESP は、UEFI ブートに必要なファイルやブートローダー、回復関連の情報を格納する特別なパーティションです。ここが壊れている・容量が足りない・属性がおかしいと、Windows 11 24H2 のセットアップが新しいブートファイルを書き込めず、結果として
- エラーコード 0x800793ee が発生する
- インストール アシスタントが「PC の空き容量を確認できません」と誤判断する
といった現象が起こります。
今回の想定環境の例
| 項目 | 状態 |
|---|---|
| OS | Windows 10(Windows 11 24H2 へインプレースアップグレード予定) |
| ハードウェア要件 | PC Health Check で合格(TPM 2.0 / 対応 CPU / UEFI / Secure Boot) |
| システムドライブ空き容量 | 約 245 GB 以上 |
| EFI システム パーティション | 100 MB 程度、内容・属性が不明(破損や容量不足の可能性あり) |
| アップグレード方法 | Windows Update または Windows 11 インストール アシスタント |
| エラー内容 | 0x800793ee / 「PC の空き容量を確認できません」 |
作業前に必ずしておきたいバックアップと準備
ESP や BCD を操作する作業は、手順を間違えると Windows が起動しなくなるリスクがあります。以下の準備をしてから作業に入りましょう。
- 重要なデータのバックアップ
- 外付け HDD / SSD、NAS、クラウドなどにユーザーデータ(ドキュメント・デスクトップ・写真など)を退避
- 可能ならシステム全体を丸ごとバックアップ(イメージバックアップソフトの利用がおすすめ)
- Windows インストールメディアまたは回復ドライブの用意
- Microsoft 公式ツールで Windows 10/11 のインストール USB を作成
- または「回復ドライブの作成」で WinRE 用 USB を用意
- ノート PC の場合は AC アダプタを接続
- 作業中は他のソフトを極力閉じる
| 準備項目 | 目的 |
|---|---|
| データバックアップ | 最悪の場合の OS 再インストールに備え、データ損失を防ぐ |
| インストールメディア / 回復ドライブ | ブートに失敗した場合でも、WinRE から修復コマンドを実行できるようにする |
| 電源確保 | 作業中の電源断によるさらなる破損を防止 |
まず試す簡易修復:bcdboot でブートファイルを再生成
まずは、もっともリスクの低い方法から試します。既存の ESP をそのまま使い、ブートファイルだけを再生成する手順です。
bcdboot コマンドで BCD を再構築する
- スタートメニューの検索ボックスに「cmd」と入力する。
- 「コマンド プロンプト」を右クリックし、「管理者として実行」を選択する。
- 表示されたウィンドウで、次のコマンドを入力して Enter キーを押す。
bcdboot C:\Windows
処理が成功すると、「ブート ファイルは正常に作成されました。」といった内容のメッセージが表示されます。
この操作で期待できる効果
- 現在起動している Windows 環境(C:\Windows)から必要なブートファイルをコピーし、ESP 上の BCD を再構築
- ESP 自体が生きている場合、破損したブートファイルや設定が初期化されることで、アップグレード時の書き込みエラーが解消されることがある
この後、PC を再起動し、再度 Windows Update または Windows 11 インストール アシスタントから 24H2 へのアップグレードを試してみてください。
| 結果 | 次に行うこと |
|---|---|
| エラーが解消され、24H2 へアップグレードできた | そのままアップグレード完了まで進める。完了後に回復環境の確認を行う。 |
| 依然として 0x800793ee や「PC の空き容量を確認できません」が出る | ESP の容量不足・属性不良の可能性が高いので、新しい ESP を作成する手順へ進む。 |
改善しない場合:新しい EFI システム パーティションを作成する
簡易修復で解決しない場合、既存の ESP が壊れているか、容量・属性に問題があると考えられます。この場合、新しい ESP を作成してそちらにブートファイルを構築し直すのが確実な対処法です。
手順の全体像は次のとおりです。
- C: ドライブを少し縮小して、未割り当て領域を作る
- 未割り当て領域を FAT32 でフォーマットし、新しい ESP の候補パーティションを作る
- bcdboot で新しいパーティションにブートファイルを書き込む
- UEFI 設定で新しい「Windows Boot Manager」から起動するようにする
- 問題ないことを確認してから古い ESP を削除する
- 新しい ESP からドライブ文字を外し、EFI 用のパーティション ID / 属性に設定する
- 必要であればパーティションの並びや隙間を整理する
| 手順 | 操作内容 | ポイント |
|---|---|---|
| ① | C: ドライブを縮小して未割り当て領域を作成 | 必要なサイズは 100~300 MB 程度。余裕があれば 260 MB 以上を推奨。 |
| ② | FAT32 でフォーマット、ドライブ文字を一時的に割り当て(例: E:) | 後で ESP に変更するための準備。最終的にはドライブ文字を外す。 |
| ③ | bcdboot で新パーティションにブートファイルを書き込む | bcdboot C:\Windows /s E: /f UEFI を実行。 |
| ④ | UEFI 画面で新しい Windows Boot Manager を選択し起動 | ディスク管理で「System」属性になっていることを確認。 |
| ⑤ | 古い ESP を削除 | 新 ESP から起動できることを確認してから行う。 |
| ⑥ | 新 ESP からドライブ文字を外し、ID / 属性を EFI 用に設定 | GUID と属性フラグを正しく設定する。 |
| ⑦ | 必要に応じてパーティションの隙間を整理し、アップグレードを再実行 | サードパーティツールの利用も可。 |
① C: ドライブを縮小して未割り当て領域を作る
- スタートボタンを右クリックし、「ディスクの管理」を開く。
- 下部の一覧で C: ドライブ(通常は「ボリューム (C:)」)を右クリックし、「ボリュームの縮小」を選択。
- 縮小する領域のサイズに「100~300 MB」程度を入力する。
- 例:300 MB(将来の更新を見据えて余裕を持たせる場合)
- 最小限であれば 100 MB でもよいが、260 MB 以上が推奨とされるケースが多い
- 「縮小」をクリックすると、C: の右側に未割り当て領域が作成される。
② 未割り当て領域を新しい ESP 候補としてフォーマット
- 先ほど作成された未割り当て領域を右クリックし、「新しいシンプル ボリューム」を選択。
- ウィザードに従い、サイズはデフォルトのまま(すべて使用)、ドライブ文字に「E:」など任意の空いている文字を割り当てる。
- ファイルシステムには「FAT32」を選択し、ボリュームラベルは「ESP-NEW」など分かりやすい名前にしておく。
- 完了すると、エクスプローラー上に「ESP-NEW (E:)」が表示される。
この時点ではまだ普通のデータパーティションですが、後の手順で EFI システム パーティションに変換します。
③ bcdboot で新しい ESP にブートファイルを書き込む
- 再び「コマンド プロンプト(管理者)」を開く。
- 次のコマンドを入力して Enter キーを押す。
bcdboot C:\Windows /s E: /f UEFI
C:\Windows… 現在起動している Windows のシステムフォルダ/s E:… ブートファイルを書き込む先のパーティション(さきほど作成した E:)/f UEFI… UEFI 用のブートエントリを作成するオプション
正常に完了すれば、新しい ESP 候補(E:)に UEFI ブートに必要なファイル群が作成されます。
④ UEFI で新しい Windows Boot Manager から起動する
続いて、PC の UEFI 設定(いわゆる BIOS 画面)で、新しいブートエントリを選択します。
- PC を再起動し、メーカー指定のキー(F2 / Del / F12 / Esc など)を押して UEFI 設定画面に入る。
- 「Boot」や「起動」タブを開き、「Windows Boot Manager」 が複数表示されていないか確認する。
- 新しいディスク構成に対応した Windows Boot Manager を最優先にする。
- 多くの場合、どちらが新しいかは名称やディスク番号で判断できる
- 分からない場合は、一旦手動で各エントリから起動してみて、正常に起動する方を優先順位の一番上にする
- 設定を保存して再起動し、Windows が通常通り起動することを確認する。
起動後、「ディスクの管理」を開き、新しく作ったパーティション(E:)に「システム」属性が付いているか確認します。ここに「システム」と表示されていれば、新しい ESP から起動している状態です。
⑤ 古い ESP を削除して混乱を防ぐ
新しい ESP から正常に起動できることを確認したら、古い ESP を削除しておきます。これは、将来的な混乱や誤検出を防ぐためです。
この操作には diskpart を使います。
- 「コマンド プロンプト(管理者)」を開く。
- 次のコマンドを順に入力する(コメントは不要)。
diskpart
list disk
select disk 0
list partition
select partition 1
delete partition override
exit
上記はあくまで例です。実際には、環境に合わせてディスク番号やパーティション番号を必ず確認してから操作してください。
list disk… 接続されているディスクの一覧を表示select disk 0… 対象のディスクを選択(通常は OS が入ったディスク)list partition… 選択されたディスク上のパーティション一覧を表示select partition 1… 削除する旧 ESP を選択delete partition override… 警告を無視してパーティションを削除
どのパーティションが旧 ESP か分からない場合は、サイズ(100 MB 前後)、ファイルシステム(FAT32)、位置(ディスクの先頭付近)などから慎重に判断してください。
⑥ 新 ESP からドライブ文字を外し、EFI 用の ID / 属性を設定
新 ESP は現在 E: として見えていますが、通常の運用ではユーザーからは見えない方が安全です。また、EFI パーティションであることを示す GUID と属性を設定する必要があります。
- 再度「コマンド プロンプト(管理者)」を開く。
- 次のコマンドを順に実行する。
diskpart
list disk
select disk 0
list partition
select partition 1
remove letter=E
set id=c12a7328-f81f-11d2-ba4b-00a0c93ec93b override
gpt attributes=0x8000000000000000
exit
ここでもディスク番号・パーティション番号は環境により異なります。必ず list disk / list partition で確認してから select してください。
remove letter=E… E: というドライブ文字を外し、エクスプローラーから見えないようにするset id=...… パーティション ID を「EFI システム パーティション」を示す GUID に設定gpt attributes=0x8000000000000000… 隠しパーティションとして扱うための属性を付与
これで、新しい ESP は他のデータパーティションとは区別された、正しい設定の EFI システム パーティションになります。
⑦ 必要に応じてパーティションを整理し、24H2 アップグレードを再実行
古い ESP を削除した結果、ディスクの先頭付近に小さな空き領域が残る場合があります。気になるようであれば、Paragon などのパーティション編集ツールで隙間を詰めることもできますが、必須ではありません。
ここまでの作業が完了したら、PC を一度再起動し、次の点を確認します。
- Windows が正常に起動する
- 「ディスクの管理」で、新しい EFI パーティションに「システム」が付いている
問題がなければ、いよいよ再度 Windows 11 24H2 へのアップグレードに挑戦します。
- Windows Update から 24H2 を適用する
- または Windows 11 インストール アシスタントを使ってアップグレードする
ESP が正常な状態に再構築されていれば、「0x800793ee」や「PC の空き容量を確認できません」といったエラーは出ず、インプレースアップグレードが完走できるはずです。
Windows 回復環境 (WinRE) から同様の修復を行う方法
ここまでの手順は「現在の Windows がなんとか起動できる」ことを前提にしています。もし、途中でブートに失敗して Windows が起動しなくなった場合や、C: ドライブがロックされている場合は、WinRE(Windows 回復環境)から同様の操作を行うこともできます。
WinRE への入り方の一例
- Windows インストールメディア(USB)から起動し、「今すぐインストール」ではなく「コンピューターを修復する」を選択
- 「トラブルシューティング」 → 「詳細オプション」 → 「コマンド プロンプト」を選択
WinRE のコマンド プロンプトから、前述の diskpart / bcdboot コマンドをほぼ同じように実行できます。ドライブ文字(特に C:)が通常の環境と異なる場合があるため、diskpart の list volume などで確認しながら慎重に作業してください。
ESP が原因で「空き容量不足」と誤認識される理由
Windows 11 24H2 では、ブートローダーや回復関連の構成が更新されるため、ESP に新たなファイルやデータを書き込む必要があります。ところが、ESP に対して次のような問題があると、インストーラーは正常に書き込みができません。
- ESP のサイズが 100 MB とギリギリで、既存ファイルでほぼ埋まっている
- 過去の OS アップグレードやツールによって、不要なファイルが増えている
- パーティションの属性や ID が正しくなく、システムが ESP と認識しにくい状態になっている
- ファイルシステムの軽微な破損がある
その結果、「ESP に十分な空きがない」「ESP を正しく特定できない」と判断され、
- 実際には C: に 200 GB 以上空きがあるのに、「PC の空き容量を確認できません」と表示される
- 処理に失敗し、エラーコード「0x800793ee」が返される
という状況につながります。つまり、このエラーは「C: が足りない」という意味ではなく、「ブート用パーティション(ESP)側で問題があり、アップグレードに必要な構成変更ができない」という警告だと理解すると分かりやすいでしょう。
アップグレード完了後に確認しておきたいポイント
無事に Windows 11 24H2 へのアップグレードが完了したら、以下の確認を行っておくと安心です。
回復環境 (WinRE) が有効になっているか確認する
- 「コマンド プロンプト(管理者)」を開く。
- 次のコマンドを実行する。
reagentc /info
結果に「Windows RE の状態 : 有効」と表示されていれば OK です。もし「無効」となっている場合は、次のコマンドで再度有効化します。
reagentc /enable
これにより、トラブル発生時に「この PC を初期状態に戻す」などの回復機能を利用できるようになります。
ディスク構成をスクリーンショットで残しておく
今後のトラブルシューティングのためにも、「ディスクの管理」の画面をスクリーンショットにして保存しておくことをおすすめします。
- EFI システム パーティションのサイズや位置
- 回復パーティションの有無
- C: ドライブのサイズ
これらの情報が分かっていると、将来またアップグレードや移行を行う際に役立ちます。
よくある疑問と補足
PC Health Check では合格なのに、なぜアップグレードで失敗するのか?
PC Health Check は主に「ハードウェア要件(TPM / CPU / UEFI / Secure Boot など)」に焦点を当てており、ESP の容量や状態までは詳しくチェックしません。そのため、ハードウェア要件は満たしているが、ディスク構成に問題があるというケースは、今回のようにアップグレードの段階で初めて表面化します。
クリーンインストールすれば簡単に解決する?
ESP の問題を抱えたままでも、クリーンインストールが途中で大きく失敗する可能性は相対的に低いですが、その場合はデータやアプリがすべて消えるという大きなデメリットがあります。本記事の手順は、あくまで「データを残したまま Windows 11 24H2 にアップグレードしたい」という前提で、トラブルの根本原因である ESP を正常化する方法に焦点を当てています。
ESP のサイズはどのくらい確保すべき?
今回の例では 100 MB の ESP からトラブルが始まっていますが、最近の環境では260 MB 以上の ESP が推奨されることも多くなっています。ディスク容量に余裕があるなら、
- 100 MB:最小限(将来の大型アップデートで再び不足する可能性がある)
- 260 MB 以上:余裕を持ったサイズ(おすすめ)
というイメージで、新規作成の際には 260 MB 前後を目安にするとよいでしょう。
コマンド入力をミスした場合はどうなる?
diskpart で誤ったディスクやパーティションを削除・操作してしまうと、Windows が起動しなくなる、データパーティションを失うなどの重大なトラブルにつながります。必ず以下を守ってください。
- list disk / list partition / list volume を多用し、対象を目で見て確認してから select する
- 不安な場合は、1 行入力するごとに意味を理解しながら実行する
- 少しでも迷ったら、作業を中断して詳しい人に相談する
まとめ:ESP を整えることで「0x800793ee」から抜け出す
Windows 11 24H2 へのアップグレード中に発生する「0x800793ee」エラーや「PC の空き容量を確認できません」というメッセージは、見た目こそ「容量不足」となっていますが、実際には
- EFI システム パーティションの容量不足
- ESP の破損や属性不良
- BCD の不整合
といったブート環境側の問題であることが少なくありません。
まずは bcdboot C:\Windows を使った簡易修復を試し、それでも改善しない場合は、本記事で紹介したように
- C: を縮小して新しい ESP を作成
- bcdboot で新 ESP にブートファイルを構築
- UEFI 設定で新しい Windows Boot Manager から起動
- 旧 ESP を削除し、新 ESP に適切な ID / 属性を設定
という手順で、ESP 自体を作り直してしまうのがもっとも確実な対処方法です。
一度ブート環境が整ってしまえば、Windows 11 24H2 へのインプレースアップグレードはスムーズに完了し、その後の大型更新でも同様のトラブルに遭遇しにくくなります。丁寧なバックアップと慎重なコマンド操作を行いながら、確実に問題を解消していきましょう。

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