Windows 11 24H2 へのアップグレード中に「0xC1900101-0x40017(SECOND_BOOT)」エラーで必ずロールバックしてしまう──本記事はそんな状態から、できるだけ少ない手順で“確実に完走させる”ことを目的とした解説です。実際のトラブルシュート事例をベースに、原因の考え方から具体的な対処フロー、ログを使った深掘りまでまとめました。
Windows 11 24H2 アップグレードが「SECOND_BOOT」で失敗する症状
表示されるエラー メッセージ
Windows 11 24H2 へのインプレース アップグレード(既存環境を維持したままの上書きインストール)中に、次のようなエラーでロールバックするパターンです。
0xC1900101-0x40017
The installation failed in the SECOND_BOOT phase
with an error during BOOT operation.
このときセットアップ画面では「インストールを元に戻しています」「以前のバージョンの Windows を復元しています」と表示され、再起動後は 24H2 への更新がなかったことになります。
0xC1900101 で始まるエラーは、Microsoft 公式ドキュメントでも「ドライバーが原因のエラー」であると明記されており、0x40017 もそのバリエーションのひとつです。
SECOND_BOOT フェーズとは?
Windows アップグレードは大まかに以下のフェーズを経由します。
| フェーズ | 概要 |
|---|---|
| DOWNLEVEL | 既存の OS 上でセットアップを起動し、必要なファイルや設定を準備する段階 |
| FIRST_BOOT | 新しい OS イメージで初回ブートし、ドライバーやサービスの初期設定を行う段階 |
| SECOND_BOOT | さらに再起動して「本番に近い構成」でドライバーやカーネル拡張を読み込む段階 |
| OOBE | 初期設定画面(地域やキーボードなど)を含む最終調整段階 |
0xC1900101-0x40017 は、この SECOND_BOOT で「ブート処理中にドライバー関連の問題が起きたためロールバックした」ことを意味します。多くの場合、ブート時に読み込まれるドライバーやカーネル拡張(ウイルス対策・暗号化・仮想化など)が、24H2 のカーネルやブート構成と相性が悪い状態です。
原因の本質:ドライバー/カーネル拡張が 24H2 のブートを妨げている
実際のサポート事例やコミュニティ報告を総合すると、0xC1900101-0x40017 の主な原因は次のように整理できます。
| カテゴリ | 具体例 | なぜ問題になるのか |
|---|---|---|
| セキュリティ系ドライバー | サードパーティ AV、EDR、暗号化ソフト、DLP、VPN クライアント | カーネルレベルでファイル・ネットワーク・ブート処理をフックしており、新しいカーネルとの相性で BSOD やブート失敗を起こしやすい |
| 仮想化/ハイパーバイザー | Hyper‑V、Windows サンドボックス、仮想マシン プラットフォーム、他社製ハイパーバイザー | VBS(仮想化ベースのセキュリティ)やハイパーバイザーの構成が変わるため、SECOND_BOOT でハイパーバイザー起動に失敗するとロールバックに直行する |
| フィルター ドライバー | 仮想 CD、古いストレージツール、チューニング系ソフトのフィルター、自動バックアップツールなど | ストレージやファイルシステムに挟まるため、ブートボリュームに対する処理が通らずクラッシュを誘発 |
| 古いデバイスドライバー | 旧式 NIC / Wi‑Fi / オーディオ / GPU / チップセットドライバー | 24H2 の新しいドライバーモデルと整合が取れず、SECOND_BOOT でロードに失敗しロールバックが発生 |
Microsoft のガイドラインでも、0xC1900101 の対処として「不要なデバイスの取り外し」「ドライバー更新」「サードパーティ製セキュリティソフトの削除」などが推奨されています。
実際に有効だった「最短ルート」:Hyper‑V/サンドボックス無効化 → クリーンブート → 再実行
ある PC(例:第 7 世代 Core i5‑7200U 搭載機。CPU 自体は公式には Windows 11 非対応)では、24H2 へのインプレース アップグレードが SECOND_BOOT で何度も失敗していました。BIOS は最新版で問題なし。ドライバーも最新に見えるのに、Windows Update でも ISO からのセットアップでも 0xC1900101‑0x40017 でロールバックする……という状況です。
このケースで最終的に成功した手順が、次の 4 ステップです。
- Hyper‑V/Windows サンドボックスなど仮想化関連機能をすべて無効化
- クリーンブートでサードパーティ常駐をすべて止める(必要なものだけ残す)
- Windows セキュリティの「メモリ整合性」を有効化し、互換性のないドライバーをあぶり出す
- ISO から 24H2 セットアップを再実行(インプレース アップグレード)
同様の対処(Hyper‑V/サンドボックス無効化+クリーンブート+再実行)で 24H2 SECOND_BOOT の失敗を回避できた事例は、Microsoft Q&A などでも複数報告されています。
以下では、上記 4 ステップを「コピペで再現できるレベル」で詳しく整理します。
手順 1:仮想化関連機能をオフにする
まずは、ブート時の構成を複雑にしているHyper‑V 系の機能を完全に止めるところから始めます。
Windows の機能から Hyper‑V とサンドボックスを無効化
- Win + R キーで「ファイル名を指定して実行」を開く。
OptionalFeatures.exeと入力して Enter。- 一覧から以下のチェックを外す。
- Hyper‑V
- Windows サンドボックス
- あれば:仮想マシン プラットフォーム
- あれば:Windows ハイパーバイザー プラットフォーム
- [OK] を押し、再起動を求められたら PC を再起動。
これにより、SECOND_BOOT フェーズで Hyper‑V やサンドボックス関連ドライバーがブートに割り込まなくなり、問題の切り分けがしやすくなります。仮想マシン(WSL2、Docker Desktop など)を使っている場合、一時的に動かなくなりますが、アップグレード完了後に再度有効化すれば元に戻ります。
手順 2:クリーンブートで余計な常駐を止める
次に、常駐アプリやサービスを最小限にした「クリーンブート状態」にしてアップグレードを行います。これにより、サードパーティ製 AV や暗号化ソフト、チューニングツールなどが SECOND_BOOT に影響するリスクを減らせます。
システム構成(msconfig)でサービスを絞る
- Win + R →
msconfigと入力して Enter。 - [サービス] タブを開き、画面下部の[Microsoft のサービスをすべて隠す]に必ずチェック。
- 残っているサービスを確認し、基本的には[すべて無効]をクリック。
- バックアップソフトや企業の管理ツールなど「どうしても止めたくないもの」があれば、個別にチェックを戻す。
スタートアップ アプリをすべて止める
- 同じく「システム構成」の [スタートアップ] タブから[タスク マネージャーを開く]をクリック。
- [スタートアップ] 一覧で、必要最低限以外は右クリック → [無効] に設定。
- PC を再起動し、クリーンな状態でデスクトップまで起動することを確認。
できれば AV・暗号化ソフトはアンインストール
エラー 0xC1900101 では、サードパーティ製ウイルス対策ソフト・暗号化ソフトが原因だった事例が非常に多く報告されています。
- 企業環境でなければ、一時的にアンインストールして Windows Defender(標準の「Windows セキュリティ」)に任せた方が安全です。
- BitLocker などの暗号化機能を使っている場合は、「暗号化そのものを解除」するのではなく一時停止(保護の中断)にとどめる方がリスクは低くなります。
手順 3:メモリ整合性をオンにして「危ないドライバー」をあぶり出す
Windows 11 では、コア分離の「メモリ整合性」機能を有効にすることで、互換性のない古いドライバーをブロックできます。アップグレード前にあえてこれをオンにしておくと、「どのドライバーが新しいカーネルと相性が悪いのか」を事前に知るヒントになります。
メモリ整合性を有効にする手順
- [設定] を開く。
- [プライバシーとセキュリティ] → [Windows セキュリティ] → [デバイス セキュリティ] をクリック。
- [コア分離の詳細] を開き、[メモリ整合性]をオンに切り替える。
このとき「互換性のないドライバーが検出されました」などの警告が出た場合は、そのドライバー名をメモしておきましょう。24H2 へのアップグレードで SECOND_BOOT が失敗する犯人である可能性が高いです。
| 表示例 | 対処の方向性 |
|---|---|
| 古い VPN クライアントのドライバー | VPN クライアントをアンインストールし、必要なら最新版をダウンロードしておく |
| サードパーティ AV のドライバー | AV をアンインストール → 再起動 → アップグレード完了後に再インストール |
| ストレージ系ユーティリティのフィルター | ユーティリティを削除、もしくは機能停止。メーカー純正ツールに置き換えを検討 |
手順 4:24H2 セットアップを再実行する
ここまで準備ができたら、いよいよ 24H2 セットアップを再実行します。
Windows Update からの再試行
- [設定] → [Windows Update] を開き、24H2 が表示されていれば通常どおり [ダウンロードしてインストール] をクリック。
- 途中でエラーが出ず、複数回再起動して最終的に 24H2 のデスクトップに到達すれば成功です。
ISO からインプレース アップグレードする
より確実性を上げたい場合は、24H2 の ISO をマウントしてインプレース アップグレードを行うのがおすすめです。
- Microsoft の公式サイトから Windows 11 24H2 の ISO を入手(インストールアシスタントやメディア作成ツール経由)。
- ISO ファイルを右クリック → [マウント]。
- マウントされたドライブ内の
setup.exeを右クリック → [管理者として実行]。 - 画面に従い、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択して進める。
0xC1900101‑0x40017 に悩まされていた PC でも、ここまでの手順を踏んだうえで ISO からセットアップを実行したところ、SECOND_BOOT を無事に通過し、24H2 への更新が完了しました。
それでもダメな場合の追加対処(優先度付き)
上記 4 ステップでも解消しない場合は、次の対処を上から順に試していくと効率的です。
| 優先度 | 対処内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 高 | 周辺機器をすべて外す | USB ストレージ、拡張カード、ドック、プリンタなどを一度すべて外してからアップグレード |
| 高 | ドライバー更新(ストレージ/チップセット/GPU/NIC) | Windows Update 任せではなく、PC メーカーやマザーボードメーカーのサイトから最新版を入手しインストール |
| 中 | システムイメージの修復(DISM / SFC) | OS イメージやシステムファイルの破損がある場合に備えて事前に修復しておく |
| 中 | BitLocker を一時停止 | 完全に解除せず「保護の中断」にすることで、アップグレード時の暗号化干渉を避ける |
| 中 | C ドライブの空き容量を確保 | 目安として 30GB 以上の空きを用意しておくと安心 |
| 低(しかし重要) | 古い外付けブート・セキュリティ製品を削除 | 仮想 CD、古いバックアップツール、チューニング系のフィルター ドライバーは特に疑う |
DISM / SFC でシステム整合性を確認する
管理者権限の PowerShell またはコマンドプロンプトで、次のコマンドを順に実行します。
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
sfc /scannow
完了後、PC を再起動し、再度 24H2 へのアップグレードを試します。DISM/SFC による事前修復で 0xC1900101 が解消した事例も報告されています。
既知のブロッカー:CPU 非対応・BIOS・既知の既知の問題
CPU 非対応(例:第 7 世代 Core)について
例として挙げた i5‑7200U を含む第 7 世代 Core は、公式には Windows 11 対応 CPU リストに含まれていません。そのため、Windows 11 自体や 24H2 にするためには、CPU チェックを回避するレジストリ設定などを行う必要があります。これは Microsoft のサポート範囲外であり、実施はあくまで自己責任です。
- すでに Windows 11 が動作している非対応 CPU の PC では、「アップグレード時にも同じように CPU チェックを回避している」ケースがほとんどです。
- 24H2 ではチェックが厳格化・変更されることもあるため、バイパス方法を含めてリスクを理解したうえで実施してください。
- 万一ブート不能になった場合でも復旧できるよう、事前のシステムイメージバックアップを強く推奨します。
BIOS / ファームウェアの古さ
0xC1900101 の原因として、古い BIOS やストレージコントローラのファームウェアが挙げられることもあります。
- PC メーカーサイトで BIOS/UEFI の最新版が出ていないか確認し、可能であればアップデートしておきます。
- 特に NVMe SSD を利用している場合、ストレージコントローラのファームウェア更新も確認するとよいでしょう。
24H2 自体の既知の不具合・ブロック
特定のハードウェア構成(例:特定バージョンの Intel オーディオドライバーなど)に対しては、Microsoft があえて 24H2 の配信を一時的に止める「互換性ブロック」をかけることがあります。
- Windows 11 24H2 の「既知の問題と通知」ページで、使用中のハードウェアに該当するブロックがないか確認しておくと安心です。
- 該当する場合は、対象ドライバーの更新がマイクロソフトまたはデバイスメーカーから提供されるまで待つ必要があります。
ログから原因を突き止めるときのポイント
ここからは少し上級編ですが、どうしても原因がわからない場合は、ロールバック直後のログを確認するとヒントが得られます。
SetupDiag の利用
Microsoft が配布している SetupDiag を使うと、アップグレード失敗の要因を自動解析してくれます。0xC1900101‑0x40017 のような SECOND_BOOT エラーでも、ロールバック直前に失敗したドライバーやサービスが特定できる場合があります。
- SetupDiag を実行すると、ログを読み取って「最後のフェーズ」や「最後に失敗した操作」をレポートします。
- SECOND_BOOT でブート失敗 → 特定のドライバー名やサービス名が表示されることがあります。
Rollback フォルダー内の詳細ログを見る
アップグレード失敗直後は、次のフォルダーにロールバック関連のログが保存されています。
C:\$WINDOWS.~BT\Sources\Rollback\
特に手掛かりになるのは以下のファイル群です。
| ログファイル | 内容 |
|---|---|
| setupapi.dev.log | デバイスドライバー関連のインストール/ロード履歴。直前でエラーになっているドライバーを探す |
| setuperr.log | セットアップ全体で発生したエラーの要約 |
| setupact.log | セットアップ処理の詳細なタイムライン。SECOND_BOOT 直前の処理を確認する |
これらのログで直前に読み込まれているドライバー名(.sys ファイル)やサービス名を突き止め、それに対応するアプリ/ドライバーをアンインストールまたは更新して再試行します。
企業環境(EDR・DLP・暗号化)の場合の注意点
企業の管理下にある PC では、以下が 0xC1900101‑0x40017 の大きな要因になることがあります。
- EDR / EPP(エンドポイント保護)製品のドライバー
- ディスク暗号化(フルディスク暗号化、自己暗号化ドライブ連携など)
- DLP(情報漏洩防止)や USB 制御ソフト
こうした製品は、ブートプロセスやファイルシステムに深く入り込むため、SECOND_BOOT で新しいカーネルと噛み合わずロールバックするケースが少なくありません。
企業環境では、次のような手順を検討します。
- メンテナンス時間帯に、EDR/暗号化/DLP を一時停止する(ポリシーで許可されている範囲で)。
- ベンダーが提供する「OS アップグレード時の推奨手順」を確認する。
- テスト用 PC で 24H2 へのアップグレードを先行実施し、問題がないことを確認する。
FRST(Farbar)等の高度なツールを使う場合の注意
コミュニティのサポート掲示板などでは、FRST(Farbar Recovery Scan Tool)と「fixlist.txt」を用いたトラブルシュート手順が紹介されることがあります。これは非常に強力なツールですが、同時にリスクも高くなります。
- fixlist.txt はその PC 専用に作る必要があり、他人の環境用を流用してはいけません。
- 誤った fixlist を適用すると、OS 起動不能やデータ損失の原因になります。
- 必要な場合は、信頼できる専門家にログを見てもらい、個別に作成された fixlist の指示に従ってください。
本記事の範囲では、FRST を使った手動修復ではなく、まずは Hyper‑V 無効化+クリーンブート+ドライバー整理という「安全側の対処」を優先することをおすすめします。
アップグレード完了後に元に戻してよい設定
24H2 へのアップグレードが成功し、しばらく安定動作していることを確認したら、次の設定は元に戻して構いません。
- Hyper‑V、Windows サンドボックス、仮想マシン プラットフォーム、Windows ハイパーバイザー プラットフォーム
- クリーンブートのために無効化したサービス/スタートアップアプリ
- 一時停止していた BitLocker や企業向け暗号化ソリューション
ただし、メモリ整合性(コア分離)については、可能であればオンのまま運用することを推奨します。互換性のない古いドライバーを避け、セキュリティ面でもメリットがあるためです。
実践用チェックリスト
最後に、本記事で紹介した内容を実行しやすいよう、チェックリスト形式で整理します。
- [ ] Hyper‑V/Windows サンドボックスを無効化
OptionalFeatures.exe から Hyper‑V、Windows サンドボックス、仮想マシン プラットフォーム、Windows ハイパーバイザー プラットフォームをオフにする。 - [ ] クリーンブートを実施
msconfig で「Microsoft のサービスをすべて隠す」→「すべて無効」、スタートアップアプリはタスクマネージャーから無効化。 - [ ] サードパーティ AV/暗号化ソフトをアンインストール or 一時停止
特にカーネルドライバーを持つ製品は優先的に無効化。 - [ ] メモリ整合性を有効化して互換性のないドライバーを洗い出し
警告が出たドライバーは、アンインストールまたは最新版へ更新。 - [ ] 周辺機器を外す/空き容量 30GB 以上を確保
- [ ] DISM / SFC で OS イメージを修復
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth→sfc /scannowを実行。 - [ ] 24H2 セットアップを再実行(できれば ISO から)
- [ ] 失敗した場合は SetupDiag と Rollback ログで原因ドライバーを特定
C:\$WINDOWS.~BT\Sources\Rollback\ 内の setupapi.dev.log などを確認。 - [ ] 非対応 CPU の場合は、バイパス手順を含め「自己責任」で実施
必ず事前バックアップを取り、万一に備える。
この流れで、0xC1900101‑0x40017(SECOND_BOOT)で何度も失敗していた PC でも、最終的に Windows 11 24H2 へのアップグレードを完了できています。ドライバーやカーネル拡張に起因するトラブルは、表面上のエラーメッセージだけでは原因がわかりにくいですが、「仮想化を止める → 常駐を最小化 → ドライバーを絞り込む」という順番で落ち着いて対処すれば、ほとんどのケースは回避可能です。

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