HuaweiスマホとPCを接続するためにHiSuiteを入れたら、Windows 11の「メモリ整合性(Core Isolation)」がグレーアウトして二度とオンに戻せなくなった――そんな状況に悩んでいませんか。本記事では、その原因と安全にオンへ戻すための具体的な手順を、初心者でも迷わないよう丁寧に解説します。
症状の概要:メモリ整合性のスイッチがグレー表示で触れない
今回のトラブルは、次のような流れで発生するケースが多いです。
- Huaweiスマホ管理ソフト「HiSuite」をインストールするために、Windows 11のセキュリティ機能「メモリ整合性」を一時的にオフにした。
- インストール後、メモリ整合性をオンに戻そうとしたら、スイッチがグレーアウトしたままクリックできない。
- 「この設定は管理者によって管理されています」などの表示は特になく、理由も分からない。
このグレーアウトは、多くの場合「HiSuiteがインストールした古いUSBドライバ」が原因で、Windowsのコア分離(Core Isolation)機能と互換性がなくなっている状態です。ここを理解することで、正しく対処できるようになります。
メモリ整合性(Core Isolation)とは何か
まずは、問題の中心にある「メモリ整合性」と「コア分離」について、ざっくり整理しておきましょう。
メモリ整合性(Memory Integrity)は、Windows 11の仮想化ベース セキュリティ(VBS)の一機能で、カーネルドライバ(OSの中枢で動くプログラム)が正しく署名され、改ざんされていないかをチェックしながら動かす仕組みです。これにより、マルウェアがカーネルに侵入するリスクを減らしています。
用語を整理すると、次のような関係になります。
| 用語 | 意味・役割 |
|---|---|
| コア分離(Core Isolation) | 仮想化を使って、OSの中枢部分を通常のアプリ領域から隔離する仕組みの総称。 |
| メモリ整合性(Memory Integrity / HVCI) | コア分離の中の一機能。読み込まれるドライバに問題がないかチェックし、危険なものをブロックする。 |
| VBS(仮想化ベース セキュリティ) | Hyper-Vなどの仮想化技術を利用して、セキュリティ機能を隔離して実行する仕組み。 |
つまり、メモリ整合性をオンにしておくと、怪しいドライバや古いドライバがシステムに入り込みにくくなるわけです。逆に、今回のようにドライバの互換性に問題があると、Windows側が「このままオンにすると危ない」と判断し、スイッチをグレーアウトさせてしまいます。
原因:HiSuiteの旧式・署名の問題を抱えたUSBドライバ
HuaweiのHiSuiteは、スマホをPCから認識・操作するために、独自のUSB通信ドライバをインストールします。このドライバが問題児です。
- 古いバージョンのHiSuiteでは、メモリ整合性の要件を満たしていない古いドライバが含まれている場合がある。
- 一部のドライバは署名が古い、または適切に署名されていないことがあり、Windows 11のメモリ整合性にブロックされる。
- その結果、Windowsは「このドライバがある限りメモリ整合性を安全にオンにできない」と判断し、スイッチをグレーアウトしてしまう。
実際に問題を起こしやすいドライバとして、以下のようなファイル名が報告されます(あくまで一例です)。
| 代表的なドライバ名 | 概要 |
|---|---|
| Hw_cdcacm.sys | Huaweiスマホとのモデム/シリアル通信に関わるドライバ。 |
| Hw_usbdev.sys など「Hw_〜.sys」系 | HiSuite経由のUSB通信、デバッグ接続などを担当するドライバ。 |
| HiSuite関連のフィルタドライバ | USBポートに挟まり、スマホとPCのデータを中継する役割を持つ場合がある。 |
これらのドライバが存在すると、メモリ整合性は「オンにした瞬間に読み込まれてしまう可能性がある危険ドライバ」と判断し、そもそもオンにさせない、という動作になります。
作業前に確認しておきたいポイント
これから行うのは「問題のあるドライバを削除して、メモリ整合性を再びオンにする」という作業です。安全のため、以下の点を事前に確認しておきましょう。
- 管理者アカウントでログインしているか ドライバの削除には管理者権限が必要です。会社PCなどの場合は、IT管理部門に相談した方が安全です。
- HiSuiteは一旦終了しておく タスクトレイにHiSuiteのアイコンが残っている場合は右クリックして終了しておきます。
- HuaweiスマホはPCから取り外しておく 作業中はUSBケーブルを抜いた状態にしておきましょう。
- バックアップが必要なら事前に取得 ドライバ削除自体でデータが消えることは基本的にありませんが、念のため重要なデータはバックアップを取っておくと安心です。
| チェック項目 | 理由 |
|---|---|
| 管理者アカウントでログイン | ドライバのアンインストールや設定変更に必要な権限を確実に持つため。 |
| HiSuiteの終了・スマホの取り外し | 作業中にドライバが再び読み込まれるのを防ぎ、トラブルを避けるため。 |
| データのバックアップ | 予期せぬ不具合に備えて、重要データを守るため。 |
手順1:互換性のないHuaweiドライバを確認する
まずは、本当にHuawei関連のドライバが原因になっているか確認しましょう。確認方法として、次の2パターンがあります。
方法A:Windowsセキュリティから互換性のないドライバを確認する
Windows 11の標準機能だけで、どのドライバがメモリ整合性をブロックしているか確認できます。
- スタートボタン → 設定 を開く。
- プライバシーとセキュリティ → Windows セキュリティ をクリック。
- デバイス セキュリティ を開き、コア分離の詳細 を選択。
- 画面下部に 「互換性のないドライバー」 の一覧が表示されている場合、そこに Huawei / HiSuite / Hw_ などの名前がないか確認する。
ここに Huawei関係のドライバが表示されている場合、そのドライバを削除すればメモリ整合性をオンにできる可能性が高いです。
方法B:デバイス マネージャーでHuaweiドライバを探す
続いて、実際にドライバを削除するために、デバイス マネージャーで該当ドライバを探します。
- スタートボタンを右クリックし、デバイス マネージャー を選択。
- メニューの 表示 → 非表示のデバイスの表示 にチェックを入れる。
- 同じく 表示 → ドライバー別のデバイス を選び、ドライバ単位の一覧に切り替える。
- 一覧から、次のような名前を含む項目を探す。
- 名前に Huawei や HiSuite が含まれるもの
- Hw_cdcacm.sys など Hw_〜.sys というファイルを使用しているもの
似た名称のドライバが多く並んでいる場合は、「Huawei」「HiSuite」「Hw_」といったキーワードが付いているかを慎重に確認し、関係なさそうなデバイス(グラフィックドライバ、ストレージなど)は触らないよう注意してください。
| 探すべきキーワード | 典型的な表示例 |
|---|---|
| Huawei | 「Huawei Mobile」「Huawei USB Composite Device」など |
| HiSuite | 「HiSuite Device」「HiSuite USB Driver」など |
| Hw_(ファイル名) | ドライバの詳細に「Hw_cdcacm.sys」「Hw_usbdev.sys」などが表示される場合 |
手順2:互換性のないHuaweiドライバを削除する
原因となっているHuawei/HiSuite関連ドライバを特定できたら、メモリ整合性と競合しないように削除していきます。
- デバイス マネージャーで該当のドライバ(Huawei / HiSuite / Hw_〜)を右クリック。
- デバイスのアンインストール をクリック。
- 表示されるダイアログで、「このデバイスのドライバー ソフトウェアを削除します」または「ドライバー ソフトウェアを削除する」 といったチェックボックスが表示される場合は、必ずチェックを入れる。
- アンインストール を実行。
- 同様のHuawei関連ドライバが複数ある場合は、同じ手順で一つずつ削除していく。
ここで削除されるのは、あくまで問題のあるUSBドライバであり、Windows自体が動かなくなるような危険な操作ではありません。ただし、HuaweiスマホをPCに繋いだ時にHiSuiteから認識されなくなる可能性はあるため、後で必要であれば新しいバージョンのHiSuiteを入れ直すことになります。
| 操作 | 結果 |
|---|---|
| Huaweiドライバを削除 | メモリ整合性と競合していたドライバが排除される。 |
| ドライバー ソフトウェアも削除にチェック | ドライバの本体ファイルも削除され、再起動後に自動で復活しにくくなる。 |
| 後でHiSuiteを再インストール | 必要に応じて新しい署名済みドライバに差し替えられる可能性がある。 |
手順3:PCを再起動してキャッシュをクリア
ドライバを削除しただけでは、まだメモリ上やシステム内部に古い情報が残っていることがあります。そのため、必ずPCを再起動して状態をリセットします。
- スタートボタン → 電源アイコン → 再起動 を選択。
- 可能であれば、再起動後にもう一度再起動を行うと、ドライバ関連のキャッシュがより確実に消えます。
再起動が完了したら、次のステップでメモリ整合性を再びオンにしていきます。
手順4:メモリ整合性を再度オンにする
いよいよ、メモリ整合性をオンに戻します。
- 設定 を開く。
- プライバシーとセキュリティ → Windows セキュリティ をクリック。
- デバイス セキュリティ を開く。
- コア分離 を選択し、メモリ整合性 のスイッチを確認。
- スイッチがグレー表示でなくなっていれば、オン に切り替える。
- オンにした後、「再起動が必要です」と表示された場合は、案内に従ってPCを再起動する。
再起動後に同じ画面を開き、以下の状態になっていれば成功です。
- 「メモリ整合性」がオンとなっている。
- 「互換性のないドライバー」の一覧が空、またはHuawei関連ドライバが表示されていない。
ここまでで、HiSuiteによってブロックされていたメモリ整合性が、再び安全にオンの状態へ戻せているはずです。
HiSuiteを使い続けたい場合の選択肢
「メモリ整合性はオンにしたいけれど、HiSuiteも使いたい」というケースでは、次のような選択肢があります。
選択肢1:HiSuiteを最新版に更新する
古いHiSuiteほど、古いドライバを同梱している可能性が高くなります。そのため、
- 現在インストールされているHiSuiteをアンインストールする。
- Huawei公式サイトから最新版のHiSuiteインストーラーをダウンロードする。
- メモリ整合性をオンにしたまま、最新版HiSuiteをインストールしてみる。
最新版では、より新しい署名付きドライバに置き換わり、メモリ整合性と共存できる場合があります。ただし、環境やバージョンによっては依然として互換性問題が残ることもあるため、インストール後に再度「メモリ整合性」の状態を確認してください。
選択肢2:ファイル転送だけなら別の方法に切り替える
「HiSuiteのバックアップや画面ミラーリング機能までは使っていない。写真や動画を移すだけでいい」という場合は、HiSuiteに依存しない方が安全です。代表的な代替手段は以下の通りです。
- USB-MTPモードでの直接コピー スマホをUSBでPCに接続し、スマホ側で「ファイル転送(MTP)」を選択すれば、エクスプローラーから「このPC」にスマホが表示されます。そのまま写真フォルダ(DCIMなど)をコピーするだけでOKです。
- クラウドストレージを利用 OneDrive / Google Drive / Dropboxなどのクラウドに写真や動画をアップロードし、PC側でダウンロードする方法です。複数端末間での同期にも向いています。
- NASや共有フォルダへのアップロード 自宅にNASがある場合や、Windows側で共有フォルダを用意しておけば、そこにスマホから直接ファイルを送ることもできます。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| USB-MTP接続 | ケーブル1本で完結。速度も比較的速い。 | ケーブルが必要。操作に慣れるまで少し戸惑うことがある。 |
| クラウドストレージ | PC・スマホどちらからでもアクセスしやすく、バックアップにもなる。 | 通信量・容量の制限がある。アップロードに時間がかかる場合がある。 |
| NAS/共有フォルダ | 家庭内ネットワークだけで完結し、大量データの保存にも向く。 | 初期設定にやや知識が必要。外出先での利用には不向き。 |
メモリ整合性をオフのままにしない方が良い理由
「HiSuiteのためにメモリ整合性をオフにしたままでも、今のところ問題は起きていないからこのままでいいか」と考えがちですが、セキュリティの観点からはおすすめできません。
- カーネルレベルの攻撃に弱くなる メモリ整合性は、悪意あるドライバがカーネルレベルで動作するのを防ぐ防波堤です。これがないと、OSの中枢を乗っ取られるタイプの攻撃に弱くなります。
- ランサムウェアやマルウェアの被害が重症化しやすい カーネルに入り込まれると、セキュリティソフトの防御やログの記録さえ妨害される可能性があります。
- 今は大丈夫でも、将来の脆弱性に晒され続ける 新種の攻撃は常に登場しているため、防御レイヤーを外した状態で長期間使うのはリスクが高いと言えます。
| メモリ整合性の状態 | セキュリティレベル | リスクの例 |
|---|---|---|
| オン | 高い | 署名の怪しいドライバや改ざんされたドライバが読み込まれにくい。 |
| オフ | 低い | 悪意あるドライバが入り込みやすく、OS全体の乗っ取りリスクが高まる。 |
そのため、本記事で紹介したように互換性のないドライバ側を修正・削除して、メモリ整合性をオンに戻すのが、長期的には最も安全なアプローチです。
それでもオンにできない場合に考えられること
ここまでの手順を行っても、まだメモリ整合性をオンにできない場合は、次のようなケースが考えられます。
企業・学校などの管理下にあるPC
会社や学校から支給されたPCの場合、グループポリシーや管理ツールによって、セキュリティ設定が固定されていることがあります。この場合、ユーザー側でいじれる範囲には限界があるため、無理にいじらずにIT管理者へ相談しましょう。
別のドライバやツールが競合している
Huawei以外にも、次のようなソフト・ドライバがメモリ整合性と相性問題を起こすことがあります。
- 他社製スマホ管理ソフト(例:古いAndroid端末用ツールなど)
- 古いバージョンの仮想化ソフトやエミュレータ
- 古いゲーム用デバイスドライバ、キャプチャボードなど
この場合も、「コア分離の詳細」画面で互換性のないドライバ一覧をチェックし、表示されている名前を手掛かりに、該当するソフトをアンインストール/ドライバ削除していく必要があります。
BIOS/UEFIで仮想化機能が無効になっている
メモリ整合性は仮想化ベース セキュリティを利用しているため、BIOS/UEFI側で仮想化支援機能(Intel VT-x、AMD-Vなど)が無効だと、そもそも機能を完全に利用できない場合があります。ただし、この場合は「グレーアウトしている」というより「メモリ整合性そのものが利用不可」という見え方になることが多いため、今回のケースとは少し異なります。
BIOS/UEFIの設定を変更する際は、マザーボードやPCメーカーのマニュアルに従って慎重に行うことをおすすめします。
まとめ:Huaweiドライバを整理して、メモリ整合性を安全にオンへ
本記事の内容をまとめると、次のようになります。
- HiSuiteインストール時に導入される古いHuawei USBドライバが、Windows 11のメモリ整合性と互換性を欠き、スイッチがグレーアウトしている。
- Windowsセキュリティの「コア分離の詳細」やデバイス マネージャーで、Huawei/HiSuite/Hw_系ドライバを特定し、ドライバーソフトウェアごとアンインストールすることで、ブロックを解除できる。
- その後PCを再起動し、設定 → プライバシーとセキュリティ → Windows セキュリティ → デバイス セキュリティ → コア分離 からメモリ整合性をオンに戻す。
- HiSuiteを使い続けたい場合は、最新版への更新や、ファイル転送のみならUSB-MTPやクラウドストレージへの切り替えなどで、安全性と利便性のバランスを取ることができる。
- メモリ整合性を長期間オフのままにすると、カーネルレベルのマルウェア攻撃に対して脆弱になるため、可能な限りオンに戻しておくことが望ましい。
「スマホをPCに繋ぐために、Windowsのセキュリティを犠牲にする」必要は本来ありません。問題のある古いドライバを整理し、メモリ整合性を安全にオンへ戻して、Windows 11本来の防御力を取り戻しましょう。

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