Windows 11 で Microsoft Store や Xbox アプリ、Minecraft ランチャーにサインインしようとしても、パスワード入力後にエラーも表示されず再びログイン画面に戻される――この「ログイン無限ループ」は、アカウントの問題ではなく Windows 側の認証コンポーネントの不具合であることが多いです。本記事では、最終的に効果の高かった「インプレース アップグレード(上書き修復)」を中心に、段階的な具体的対処手順を詳しく解説します。
症状:Microsoft Store・Xbox アプリ・Minecraft ランチャーでのログインが無限ループする
まずは、今回対象とする典型的な症状を整理します。
| 項目 | 具体的な状態 |
|---|---|
| 発生するアプリ | Microsoft Store、Xbox アプリ、Xbox Game Bar、Minecraft ランチャーなど Microsoft アカウントでサインインするアプリ全般 |
| 症状 | サインイン画面でパスワードやコードを正しく入力しても、エラーが出ないまま再びサインイン画面に戻される(無限ループ) |
| アカウント側の状態 | 同じ Microsoft アカウントで Web ブラウザー(Edge / Chrome など)やスマホでは正常にサインインできる |
| 再現性 | PC を再起動しても、アプリを再インストールしても改善しないことが多い |
| エラー表示 | 明確なエラーメッセージやエラーコードが表示されない場合が多く、原因が分かりにくい |
このような場合、多くは「Microsoft アカウントそのもの」ではなく、「Windows 11 側の認証コンポーネントの破損・不整合」が原因です。
原因の概要:Windows 認証コンポーネント(AAD Broker など)の破損
Microsoft Store や Xbox 関連アプリは、Windows 本体に組み込まれている認証モジュールを経由してサインイン処理を行います。特に重要なのが次のコンポーネントです。
- Microsoft.AAD.BrokerPlugin(Azure AD ブローカープラグイン)
- CloudExperienceHost(初回セットアップやアカウント関連 UI を担当するパッケージ)
これらが何らかの理由(アップデート失敗・電源断・サードパーティ製ソフトウェアの干渉など)で破損すると、次のような状態に陥ります。
- アカウント情報が正しくアプリ側に渡らない
- 認証トークンの保存・読み出しに失敗する
- エラーとして扱われず、「再度ログイン画面を表示する」挙動になってしまう
このため、ユーザー側からは「パスワードは合っているのに、なぜか何度もログイン画面に戻される」という現象として見えてしまいます。
本記事の想定環境と前提条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| OS | Windows 11 Home / Pro(64bit) |
| アカウント種別 | 個人用 Microsoft アカウントでサインインしている PC を想定 |
| 管理状態 | 企業・学校などの組織管理(Intune / グループポリシー)下ではない PC を推奨 ※管理下の場合は IT 管理者の指示を優先してください。 |
| ネットワーク | インターネットに正常に接続できていること(Web ブラウザーで Microsoft アカウントにサインインできる状態) |
以降の対処手順は、基本的に一般ユーザー向けの内容です。企業・学校の PC の場合、一部手順が制限されていることがあります。
最終的に効果があった解決策:Windows Update による「インストールを修復(インプレース アップグレード)」
今回のケースでは、以下のような多くの対処を行っても解決せず、最終的に Windows Update の「インストールを修復する」を使った インプレース アップグレード(上書き修復) によってログイン無限ループが解消しました。
インプレース アップグレードとは、現在の Windows 11 を一度「上書きインストール」してシステムファイルを再展開・再登録する方法です。ユーザーデータや多くのアプリは保持されるため、クリーンインストールよりも安全で現実的な最終手段として利用できます。
| 項目 | インプレース アップグレードの挙動 |
|---|---|
| ユーザーファイル | 通常は保持される(デスクトップ・ドキュメント・ピクチャなど) |
| インストール済みアプリ | 基本的に維持されるが、一部アプリは再認証・再インストールが必要になる場合あり |
| Windows 設定 | 多くは引き継がれるが、一部設定は初期化される場合がある |
| システムファイル | 最新ビルドで再展開され、破損していた認証コンポーネント(AAD・CloudExperienceHost など)も再登録される |
| 効果 | Store / Xbox / Minecraft ランチャーなどのログイン無限ループがまとめて解消されることが多い |
インプレース アップグレードの前に必ず行う準備
- 重要ファイルのバックアップ
外付け HDD、USB メモリ、クラウド(OneDrive など)に、最低限なくしたくないファイルをコピーしておきます。 - ディスク空き容量の確認
C ドライブに 20GB 以上の空きがあると安心です。不要な一時ファイルを削除しておきましょう。 - 常駐セキュリティソフトの一時無効化
サードパーティ製のウイルス対策ソフトは、一時的に保護を無効化しておくとトラブルを避けやすくなります(作業終了後に再有効化)。 - AC 電源への接続
ノート PC の場合は必ず電源アダプターを接続した状態で実行してください。
Windows Update の「インストールを修復する」を使った手順
- 画面左下のスタートボタンをクリックし、設定(歯車アイコン)を開きます。
- 左メニューからWindows Updateを選択します。
- 「Windows をより良い状態に保つ」や「その他のオプション」の中にある「インストールを修復する」もしくは同等の文言のリンクを探します。
- 案内に従い、現在と同じエディションの Windows 11 の最新ビルドをダウンロード・インストールします。
- 途中で「個人用ファイルとアプリを保持」などの選択肢がある場合は、それを選択します。
- 再起動を数回繰り返した後、Windows 11 に再サインインします。
- Microsoft Store や Xbox アプリ、Minecraft ランチャーを開き、再度サインインを試します。
この手順によって Windows 側の認証コンポーネントが整理・再登録され、多くのケースでログイン無限ループが解消します。
インプレース アップグレード後に確認したいポイント
- Microsoft Store でアカウントアイコンをクリックし、自分の Microsoft アカウント名が正しく表示されているか
- Xbox アプリでサインイン状態が維持されているか
- Minecraft ランチャーで、起動のたびにサインインを求められずにプレイできるか
- 他の Microsoft アカウント連携アプリ(OneDrive、Office アプリなど)でも異常がないか
ここまでで問題が解消していれば、根本原因はやはり「Windows 11 側の認証コンポーネントの破損」であった可能性が高いと言えます。
インプレース アップグレード前に試したい 6 つの対処法(優先度順)
とはいえ、インプレース アップグレードはある程度時間もかかるため、その前にできる範囲での対処を段階的に試しておく価値があります。以下は実際に試した手順を、効果と安全性を踏まえて優先度順に整理したものです。
| 優先度 | 手順 | 概要 |
|---|---|---|
| ★ | Windows Update によるインプレース アップグレード | 最終的に最も効果があり、ログイン無限ループを解消した方法。 |
| 1 | DISM / SFC によるシステム整合性の修復 | システムファイル全体の破損をチェック&修復する標準的な方法。 |
| 2 | CloudExperienceHost パッケージのリセット | アカウントのサインイン画面や初期セットアップを担当するコンポーネントを再登録。 |
| 3 | キャッシュ・資格情報のリセット | 古い認証情報やトークンが悪さをしている場合に効果的。 |
| 4 | 日付と時刻・タイムゾーンの確認 | 時刻のずれはサインイン失敗の定番原因。必ず確認。 |
| 5 | 「職場または学校アカウント」の一時解除 | 組織アカウントが優先されてしまい、個人アカウント認証がうまくいかない場合の切り分け。 |
| 6 | 新規ローカルユーザーでの検証 | ユーザープロファイル単位の問題か、システム全体の問題かを切り分け。 |
以下、それぞれの手順を具体的に解説します。
DISM と SFC で Windows システムファイルの整合性を修復する
まず試したいのが、Windows 標準のDISM と SFC によるシステムファイルの修復です。認証コンポーネントに限らず、OS 全体の破損をチェックして修復してくれます。
手順:管理者権限のコマンド プロンプトで実行
- スタートメニューの検索ボックスに「cmd」と入力します。
- 表示された「コマンド プロンプト」を右クリックし、「管理者として実行」を選びます。
- 以下のコマンドを順番に実行します(それぞれ完了を待ってから次を実行)。
DISM /Online /Cleanup-Image /CheckHealth
DISM /Online /Cleanup-Image /ScanHealth
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
sfc /scannow
それぞれの意味は次の通りです。
| コマンド | 役割 |
|---|---|
| DISM /CheckHealth | イメージ(システムファイル)が破損していないかを高速チェックします。 |
| DISM /ScanHealth | より詳細にスキャンして、破損箇所の有無を確認します。 |
| DISM /RestoreHealth | 検出された破損を修復します。インターネット経由で正常なコンポーネントを取得することがあります。 |
| sfc /scannow | システムファイルチェッカー。Windows が保護しているファイルを検証し、問題があれば自動修復します。 |
すべてのコマンドが完了したら PC を再起動し、Microsoft Store や Xbox アプリでサインインできるかを確認します。
CloudExperienceHost パッケージを PowerShell でリセットする
次に試したいのが、CloudExperienceHost パッケージのリセットです。これは、Windows 11 の初期セットアップ画面やアカウント関連の UI を担当しており、ログイン関連のトラブルに深く関係します。
手順:管理者権限の PowerShell で実行
- スタートメニューの検索ボックスに「PowerShell」と入力します。
- 「Windows PowerShell」を右クリックして「管理者として実行」を選びます。
- 次のコマンドをコピー&ペーストして Enter キーを押します。
Get-AppxPackage *windows.cloudexperience* | Reset-AppxPackage
処理が完了したら PC を再起動し、再度サインインを試します。CloudExperienceHost の破損が原因だった場合、この操作だけでログインループが解消することもあります。
キャッシュ・資格情報をリセットして認証情報をきれいにする
誤った認証トークンや古い資格情報が残っていると、内部的にエラーになってログインループを引き起こすことがあります。そのため、一度関連するキャッシュや資格情報をクリアします。
資格情報マネージャーで Microsoft アカウント情報を削除
- スタートメニューの検索ボックスに「資格情報マネージャー」と入力し、アプリを起動します。
- Windows 資格情報タブを開きます。
- 一覧の中から、「MicrosoftAccount:user=〜」 など Microsoft アカウント関連のエントリを探します。
- 該当エントリをクリックし、「削除」を実行します。
- 必要なものを削除したら、一度 PC を再起動します。
Microsoft.AAD.BrokerPlugin のキャッシュフォルダを削除
次に、Azure AD ブローカープラグインのキャッシュを削除します。
- Win + R キーを押し、「ファイル名を指定して実行」を開きます。
- 入力欄に次を入力し、Enter キーを押します。
%LOCALAPPDATA%\Packages\Microsoft.AAD.BrokerPlugin_cw5n1h2txyewy
- 開いたフォルダ内のファイル・フォルダをすべて選択して削除します。
- PC を再起動し、再度サインインを試します。
この操作により、古いトークンや壊れたキャッシュがクリアされ、新しい認証情報が正しく生成される可能性が高まります。
日付と時刻・タイムゾーンの設定を確認する
「時刻のズレ」がサインイン失敗の原因になるのは、実はよくあるパターンです。認証トークンには有効期限があり、PC の時計がずれていると「トークンの期間外」とみなされてしまうためです。
自動設定をオンにする手順
- スタートメニューから設定を開きます。
- 時刻と言語 > 日付と時刻 を選択します。
- 「時刻を自動的に設定する」 を オン にします。
- 「タイムゾーンを自動的に設定する」 も可能であれば オン にします。
- 必要に応じて「今すぐ同期」ボタンを押し、インターネット上の時刻サーバーと同期します。
時刻設定を修正した後、PC を一度再起動し、サインインできるか確認しましょう。
「職場または学校アカウント」を一時的に解除する
PC が 職場や学校のアカウント(Entra ID / Azure AD) に接続されている場合、個人の Microsoft アカウントとの間で認証情報が干渉し、Store や Xbox でログインできなくなるケースがあります。
一時的に関連付けを解除する手順
- 設定を開き、アカウント を選択します。
- 職場または学校へのアクセス を開きます。
- 一覧に表示されている職場・学校アカウントを選び、「切断」または「削除」を実行します。
- PC を再起動し、Microsoft Store や Xbox アプリで個人アカウントのサインインを試します。
- 問題が解決したのち、必要であれば再度「職場または学校アカウント」を追加します。
組織で管理されている PC の場合、この操作は管理ポリシーによって制限されていることがあります。その場合は IT 管理者に相談してください。
新しいローカルユーザーを作成して症状を切り分ける
次に、「ユーザープロファイルの破損」が原因かどうかを切り分けるため、新しいローカルユーザーを作成して症状を確認します。
ローカルユーザーを追加する手順
- 設定を開き、アカウント > 家族とその他のユーザー を選びます。
- その他のユーザーを追加(または似た文言)をクリックします。
- 「このユーザーのサインイン情報がありません」→「Microsoft アカウントを持たないユーザーを追加」から、ローカルアカウント を作成します。
- 作成したローカルアカウントで一度サインアウトし、新しいユーザーでサインインします。
- Microsoft Store や Xbox アプリを起動し、Microsoft アカウントでサインインを試します。
| 結果 | 考えられる原因 | 次のアクション |
|---|---|---|
| 新しいユーザーでは問題なし | 元のユーザープロファイルの設定・キャッシュが壊れている可能性 | 必要なデータを新ユーザーに移行するか、プロファイルの修復を検討 |
| 新しいユーザーでも同じ症状 | Windows システム側(認証コンポーネント)の不具合 | インプレース アップグレードやクリーンインストールを検討 |
新しいユーザーでも同じログインループが発生する場合は、ユーザー設定ではなく Windows 自体の問題と考えられるため、前述のインプレース アップグレードが有力な解決策となります。
なぜインプレース アップグレードでログインループが直るのか
ここまでの対処で改善しなかった場合でも、インプレース アップグレードを行うと一気に解決するケースが多々あります。その理由をもう少し掘り下げてみます。
認証コンポーネント再登録のイメージ
- 破損したシステムファイルやレジストリエントリが正常な状態で再展開される
- CloudExperienceHost や AAD.BrokerPlugin などのパッケージが最新の状態でインストールし直される
- 古いバージョンと新しいバージョンのコンポーネントが混在していた場合も、一貫したバージョンに揃えられる
結果として、アプリが内部で呼び出している認証 API が正常に応答するようになり、Microsoft Store や Xbox アプリから見れば「何事もなかったように」サインインが成功する状態になります。
クリーンインストールとの違い
| 項目 | インプレース アップグレード | クリーンインストール |
|---|---|---|
| ユーザーデータ | 維持される(原則) | 基本的にすべて削除される |
| アプリ | 多くは維持される | 再インストールが必要 |
| 設定 | 大部分は引き継がれる | 一から設定し直し |
| 作業時間 | 環境によるが比較的短い | アプリ再セットアップまで含めると長時間になりがち |
| リスク | バックアップ前提であれば比較的低い | バックアップ漏れがあるとデータ消失のリスクが高い |
ログインループのように原因が認証コンポーネントにあると分かっている場合、いきなりクリーンインストールに踏み切るのではなく、インプレース アップグレードで修復を試みるのが現実的です。
それでも直らない場合に確認したいチェックポイント
インプレース アップグレードを実施してもなおログイン無限ループが解消しない場合、次のポイントも合わせて確認してみてください。
- サードパーティ製のセキュリティソフト・VPN クライアントの影響
一時的にアンインストールして動作確認を行い、問題が解消するか確認します。 - ローカルプロキシ・フィルタリングソフト
親子フィルタリングや業務用プロキシソフトが HTTPS 通信を解析していると、認証処理に影響が出ることがあります。 - 企業管理のポリシー・レジストリ制限
企業・学校で提供されている PC の場合、一定のアプリへのサインインがポリシーで制限されていることもあります。
個人所有の PC で、ここまで行っても解決しない場合は、データのバックアップを十分に行ったうえでクリーンインストールを検討しても良いでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. Microsoft アカウントのパスワードが間違っている可能性は?
A. ブラウザーやスマホアプリなど、他のデバイスで問題なくサインインできていれば、パスワード自体は正しいと考えて構いません。今回のような「ログイン画面に戻されるだけ」の症状は、アカウントよりむしろ Windows 側の認証機構に原因があるケースがほとんどです。
Q2. Store アプリだけの問題ではなく、他のアプリにも影響する?
A. はい、Microsoft Store、Xbox アプリ、Xbox Game Bar、Minecraft ランチャーなど、同じ認証コンポーネントを利用しているアプリはまとめて影響を受けます。逆に言えば、どれか 1 つが直れば他もまとめて直るケースが多いです。
Q3. インプレース アップグレードでデータが消えることは?
A. 通常の手順に従って「個人用ファイルとアプリを保持」を選択していれば、ユーザーデータは維持されます。ただし、予期せぬトラブルに備えて、必ず事前に重要なファイルのバックアップを取っておくことを強くおすすめします。
Q4. コマンド操作が不安なのですが……
A. DISM や SFC は Windows 標準機能であり、正しく実行する限りは比較的安全なツールです。コマンドはコピー&ペーストで入力し、スペルミスを避けるようにすると安心です。どうしても不安な場合は、インプレース アップグレードを優先するのも一つの考え方です。
まとめ:Windows 11 の認証トラブルは「OS 側の修復」で解決することが多い
Microsoft Store や Xbox アプリ、Minecraft ランチャーでログイン画面が無限ループする問題は、見かけ上は「アカウント」や「アプリ」の問題に見えますが、実際には Windows 11 の認証コンポーネントの破損・不整合 が原因であるケースが多くあります。
本記事で紹介した手順を振り返ると、次のような流れになります。
- DISM / SFC でシステムファイル全体の破損を修復する
- CloudExperienceHost パッケージをリセットする
- 資格情報マネージャーと AAD.BrokerPlugin のキャッシュを削除する
- 日付と時刻・タイムゾーンを正しく合わせる
- 「職場または学校アカウント」を一時的に解除して干渉を確認する
- 新しいローカルユーザーで症状を再現し、システム側の問題かどうかを切り分ける
- 最終手段として、Windows Update の「インストールを修復する」でインプレース アップグレードを行う
特に最後のインプレース アップグレードは、個人データを保持したままシステムファイルを再展開できるため、クリーンインストールよりも安全で効果の高い「実用的な最終手段」です。
同様の症状でお困りの場合は、本記事の手順を上から順番に試しつつ、必要であればインプレース アップグレードも検討してみてください。多くのケースで、Store や Xbox、Minecraft などのサインインが正常に戻るはずです。

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