Windows Hello ESSで外付け指紋リーダーを使うには、Windows 11 24H2または25H2にKB5101684を適用し、ESS対応の外付け指紋リーダーを接続して、[設定]→[アカウント]→[サインイン オプション]から指紋を登録します。
ただし、すべてのUSB指紋リーダーが使えるわけではありません。リーダー側がEnhanced Sign-in Security(ESS)に対応し、PC側もVBSやTPM 2.0などの要件を満たしている必要があります。また、この機能は段階的に配信されるため、KB5101684をインストールしてもすぐに設定項目が表示されない場合があります。(マイクロソフトサポート)
外付け指紋リーダーでWindows Hello ESSを使える?KB5101684の条件
KB5101684では、これまで主にPC内蔵センサーで利用されていたWindows HelloのESSが、対応する周辺機器の指紋センサーにも拡大されました。
対象にはデスクトップPCや、指紋センサーを内蔵していないWindows 11 PC、Copilot+ PCも含まれます。Copilot+ PCでなければ利用できない機能ではありません。(マイクロソフトサポート)
主な利用条件は次のとおりです。
| 確認項目 | 必要な条件 | 確認方法 |
|---|---|---|
| Windowsのバージョン | Windows 11 24H2または25H2 | winverで確認 |
| 更新プログラム | KB5101684、または対応機能を含む後続更新 | Windows Updateの更新履歴を確認 |
| KB5101684適用時のビルド | 24H2は26100.8973、25H2は26200.8973 | winverで確認 |
| PC側のセキュリティ | VBS、TPM 2.0などESSの要件を満たすこと | PCメーカーの仕様やWindowsセキュリティで確認 |
| 指紋リーダー | Windows HelloだけでなくESSに対応していること | 製品仕様、メーカーの対応情報を確認 |
| ドライバー・ファームウェア | ESSに対応するバージョン | メーカーサイトやWindows Updateで更新 |
| 機能の配信状態 | 対象端末への段階配信が完了していること | サインイン オプションにESS設定が表示されるか確認 |
KB5101684は2026年7月28日に公開されたWindows 11 24H2・25H2向けのプレビュー更新です。Microsoft Updateカタログには、24H2と25H2について、それぞれx64版とArm64版が登録されています。(マイクロソフトサポート)
Windows Hello ESSとは
ESSは「Enhanced Sign-in Security」の略称です。日本語の設定画面やMicrosoftの資料では、「強化されたサインイン セキュリティ」「拡張サインイン セキュリティ」などと表示される場合があります。
通常のWindows Helloよりも、生体認証センサーからWindowsの認証処理までを厳密に保護する仕組みです。VBSとTPM 2.0を使って認証データや通信経路を分離し、指紋センサーではセンサー側で照合する「Match on Chip」方式が必要になります。(Microsoft Learn)
外付け指紋リーダーは、次の3種類に分けて考えると分かりやすくなります。
| リーダーの種類 | Windows Helloへの登録 | ESSを有効にしたまま利用 |
|---|---|---|
| ESS対応のWindows Hello指紋リーダー | 可能 | 可能 |
| Windows Hello対応だがESS非対応 | 可能な場合がある | 不可 |
| Windows Hello非対応の一般的な指紋リーダー | 不可 | 不可 |
製品に「Windows Hello対応」と書かれていても、ESS対応とは限りません。ESSが有効なPCでは、ESS非対応の外付け指紋リーダーがWindows Helloの登録候補に表示されないことがあります。(マイクロソフトサポート)
登録前に確認しておくこと
Windows 11のバージョンを確認する
Windowsキー + Rを押し、次の文字列を入力してEnterキーを押します。
winver
表示された画面で、Windows 11 24H2または25H2であることを確認してください。
この記事の手順はKB5101684の対象である24H2・25H2を前提としています。23H2以前では設定画面やESSの外付け機器対応が異なります。
KB5101684をインストールする
KB5101684はオプションのプレビュー更新です。Windows Updateから導入する場合は、次の順に開きます。
- [設定]を開く
- [Windows Update]を選択する
- [詳細オプション]を開く
- [オプションの更新プログラム]を選択する
- KB5101684をダウンロードしてインストールする
- インストール後にPCを再起動する
Microsoftは、Windows Updateのオプション更新またはMicrosoft UpdateカタログからKB5101684を取得できると案内しています。手動インストールではx64とArm64の選択や、MSUファイルの適用順に注意が必要なため、一般利用ではWindows Updateからの導入が分かりやすい方法です。(マイクロソフトサポート)
製品仕様でESS対応を確認する
外付け指紋リーダーの製品ページやマニュアルで、次の表記を確認します。
- Enhanced Sign-in Security対応
- ESS対応
- Windows Hello ESS対応
- Windows 11 24H2以降のESS対応
「Windows Hello対応」だけでは判断できません。メーカーがESS対応を明記していない場合は、型番を伝えてサポート窓口に確認するのが確実です。
ESS対応の指紋センサーには、製造時にMicrosoft発行の証明書が組み込まれ、ドライバーとファームウェアもESSに対応している必要があります。(Microsoft Learn)
既存の指紋やパスキーへの影響を確認する
ESS非対応の状態からESSへ切り替える際、既存の非ESS生体認証登録や、そのPCに保存された関連資格情報が削除される場合があります。Microsoftは、パスキーなどの関連資格情報についても、切り替え後に再登録が必要になる可能性を案内しています。
反対に、ESSを無効にして非ESSの外付けリーダーを使う場合も、既存のESS登録や関連資格情報が削除されます。ESSのオン・オフは、単なる表示設定ではありません。切り替える前に、PINやパスワードなど別のサインイン方法を利用できることを確認してください。(Microsoft Learn)
Windows Hello ESSで外付け指紋リーダーを登録する方法
外付け指紋リーダーを接続する
ESS対応の外付け指紋リーダーをPCのUSBポートに接続します。
メーカーから専用ドライバーやファームウェアが提供されている場合は、メーカーの手順に従ってインストールしてください。接続後、次の手順で認識状態を確認できます。
- スタートボタンを右クリックする
- [デバイス マネージャー]を開く
- [生体認証デバイス]を展開する
- 接続した指紋リーダーが表示されているか確認する
[生体認証デバイス]に表示されない場合は、指紋登録へ進む前にドライバーやUSB接続を見直します。
サインイン オプションを開く
次の順に設定画面を開きます。
- [設定]を開く
- [アカウント]を選択する
- [サインイン オプション]を開く
- [追加の設定]までスクロールする
KB5101684の機能が利用できる端末では、ここにESSに関する設定または状態が表示されます。(マイクロソフトサポート)
ESSの状態を確認する
外付けESS指紋リーダーを初めて接続した場合、次のいずれかが表示されることがあります。
「PINを更新」が表示された場合
[強化されたサインイン セキュリティ]の下に[PINを更新]が表示されたら、先にPINの更新を完了します。
ESSで使用する資格情報を安全な状態へ更新するための手順です。PIN更新後、再び[サインイン オプション]を開いてください。
「セットアップ保留中」と表示された場合
「Pending set up」または「セットアップ保留中」に相当する表示があれば、PCと指紋リーダーがESS登録を開始できる状態です。
画面の案内に従って、サインイン セキュリティの更新を完了します。(Microsoft Learn)
ESSの切り替えが表示されない場合
ESSのトグルがなくても、「セットアップ可能」と表示されている場合があります。この構成では、最初に登録したセンサーによってESSの状態が決まります。
ESS対応センサーを先に登録するとESSが有効になり、非ESSセンサーを先に登録するとESSが無効になる仕組みです。複数の指紋センサーがあるPCでは、登録するセンサーを間違えないようにしてください。(マイクロソフトサポート)
指紋を登録する
ESSの準備が完了したら、Windows Helloへ指紋を登録します。
- [サインイン オプション]の[サインインする方法]を確認する
- [指紋認識(Windows Hello)]を選択する
- [セットアップ]をクリックする
- [開始する]を選択する
- Windows Hello PINを入力する
- 外付け指紋リーダーに指を置く
- 画面の指示に従い、指の角度を変えながら繰り返し読み取る
- 登録完了後、必要に応じて別の指も追加する
指の腹だけでなく、先端や左右の角度も読み取らせると、実際のサインイン時に認識しやすくなります。Microsoftも、認識しにくい場合は異なる角度で再登録し、複数の指を追加することを推奨しています。(マイクロソフトサポート)
ESSが有効になったことを確認する
登録後、[設定]→[アカウント]→[サインイン オプション]を開きます。
[強化されたサインイン セキュリティ]または[拡張サインイン セキュリティ]が「オン」と表示されていれば、ESSが有効です。PCをロックし、外付け指紋リーダーでサインインできることも確認してください。(Microsoft Learn)
外付け指紋リーダーを登録できない場合の対処法
| 症状 | 主な原因 | 確認すること |
|---|---|---|
| [指紋認識]が表示されない | リーダーまたはドライバーが未認識 | デバイス マネージャーの[生体認証デバイス]を確認 |
| ESSの設定が表示されない | 段階配信前、PCが要件を満たさない、組織ポリシー | 更新状態、TPM、VBS、管理ポリシーを確認 |
| ESSをオンにするとリーダーが消える | 指紋リーダーがESS非対応 | メーカーにESS対応可否を確認 |
| 「PINを更新」と表示される | ESS用の資格情報更新が必要 | 先にPIN更新を完了 |
| 指紋登録の途中で失敗する | 指やセンサーの汚れ、読み取り角度不足 | 指とセンサーを乾いた状態にして再登録 |
| 登録できるが認識率が低い | 登録データが不十分 | 異なる角度で再登録し、別の指も追加 |
| 設定がグレーアウトしている | 会社や学校の管理ポリシー | システム管理者へ確認 |
| KB5101684適用後も機能がない | 段階的ロールアウトの対象外 | 通常ロールアウトを待つ |
Microsoftは、この機能を段階的に展開しているため、すべての対象PCに同時に表示されるわけではないと説明しています。更新後に設定が表示されなくても、直ちにPCや指紋リーダーの故障とは判断できません。(マイクロソフトサポート)
Windows Hello対応だがESS非対応だった場合
ESS非対応の指紋リーダーを利用するには、Windows 11 24H2以降では[追加の設定]にあるESSをオフにする方法があります。
ただし、ESSを無効にすると生体認証保護のレベルが変わり、既存のESS指紋登録や関連する資格情報が削除される場合があります。セキュリティを優先するなら、ESSを無効にするよりも、ESS対応の指紋リーダーへ変更する方が適切です。(マイクロソフトサポート)
デバイス マネージャーには表示されるがESS対応か分からない場合
上級者向けの確認方法として、Microsoftはレジストリ上の構成情報を確認する手順を公開しています。
- デバイス マネージャーで[生体認証デバイス]を開く
- 指紋リーダーの[プロパティ]を開く
- [詳細]タブで[デバイス インスタンス パス]を確認する
- レジストリエディターで次の場所を確認する
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Enum\<デバイスインスタンスパス>\Device Parameters\WinBio\Configurations
ESS対応として構成されたセンサーでは、SecureFingerprintの値が1になり、Configurationsの下に0と1の両方のサブキーが存在します。
この確認は閲覧だけにとどめ、値を手動で作成・変更しないでください。レジストリを書き換えても、非対応センサーをESS対応に変更することはできません。(Microsoft Learn)
イベントビューアーでESS動作を確認する
業務PCなどでESSによる分離動作まで確認したい場合は、イベントビューアーを使用できます。
アプリケーションとサービス ログ
└ Microsoft
└ Windows
└ Biometrics
└ Operational
対象センサーのイベントID 1108を確認します。ESSで動作しているセンサーは、Virtual Secure Modeプロセスで分離されていることが記録されます。非ESSの場合はSystemプロセスとして記録されます。(Microsoft Learn)
KB5101684を今すぐインストールするべきか
外付けESS指紋リーダーをすぐに利用したい場合は、KB5101684を導入して動作確認する価値があります。ただし、プレビュー更新であり、ESSの外付け指紋対応自体も段階的なロールアウトです。
利用目的に応じて判断するとよいでしょう。
| 利用状況 | 判断の目安 |
|---|---|
| 個人PCですぐに外付けESS指紋認証を使いたい | KB5101684を導入して確認 |
| 対応機器の検証を行うIT担当者 | テスト端末へ先行導入 |
| 安定性を優先する業務PC | 通常ロールアウトや後続更新を待つ |
| 多人数で共用するPC | 全ユーザーの再登録を考慮して計画的に導入 |
| ESS対応か不明なリーダーを使用中 | 更新前にメーカーへ対応可否を確認 |
ESSはPC全体に適用されるシステムレベルの設定です。複数ユーザーが使うPCでESSへ移行すると、各ユーザーが次回サインイン時にWindows Helloを再登録する必要が生じる場合があります。(Microsoft Learn)
Windows Hello ESSと外付け指紋リーダーのよくある質問
市販のUSB指紋リーダーならどれでも使えますか?
使えません。
Windows Hello対応に加えて、ESS対応のセンサー、ドライバー、ファームウェアが必要です。「Windows Hello対応」と「Windows Hello ESS対応」は区別して確認してください。(マイクロソフトサポート)
Copilot+ PCでなければ利用できませんか?
Copilot+ PCは必須ではありません。
KB5101684の案内では、デスクトップを含むWindows 11 PCとCopilot+ PCが対象として説明されています。ただし、PC側がESSのハードウェア・ソフトウェア要件を満たす必要があります。(マイクロソフトサポート)
Copilot+ PCで従来のUSB指紋リーダーが使えないのはなぜですか?
Copilot+ PCではESSが既定で有効です。接続したリーダーがESS非対応の場合、Windows Helloのサインイン用センサーとして利用できないことがあります。
従来型リーダーを使うためにESSを無効化することもできますが、既存の登録や資格情報への影響を確認してから実施してください。(Microsoft Learn)
KB5101684を入れてもESS設定が表示されません
段階的なロールアウトが完了していない可能性があります。
そのほか、指紋リーダーがESS非対応、ドライバーが古い、PCがESS要件を満たしていない、組織のポリシーで制限されているといった原因も考えられます。Microsoftは、機能がまだ表示されない場合、ロールアウトの継続によって自動的に有効になると案内しています。(マイクロソフトサポート)
外付けのWindows HelloカメラもESSに対応しますか?
今回拡大されたのは外付けの指紋センサーです。外付けカメラモジュールはESSの対象外です。
ESSを有効にした状態で利用できる外付け機器かどうかは、指紋リーダーとカメラで条件が異なるため注意してください。(マイクロソフトサポート)
ESS対応を確認してから指紋を登録しよう
Windows Hello ESSで外付け指紋リーダーを使うときは、次の順番で確認すると迷いません。
- Windows 11 24H2または25H2であることを確認する
- KB5101684または対応する後続更新を適用する
- 指紋リーダーがWindows Hello ESS対応か確認する
- ドライバーとファームウェアを更新する
- [設定]→[アカウント]→[サインイン オプション]を開く
- PIN更新やESSセットアップの案内を完了する
- [指紋認識(Windows Hello)]から指紋を登録する
- ESSが「オン」になっていることを確認する
特に重要なのは、「Windows Hello対応」と「ESS対応」を同じ意味で考えないことです。設定が表示されない場合は、無理にESSを無効化する前に、リーダーの対応状況、ドライバー、PCの要件、段階配信の状態を順番に確認してください。

コメント