Microsoft Edge for Businessでは、開いているYouTube動画をMicrosoft 365 Copilot Chatの回答根拠として利用し、動画の要約や内容に関する質問ができるようになりました。
Microsoft 365ロードマップID「499424」は2026年6月16日に更新され、ステータスは「Launched」、一般提供時期は2026年2月と記載されています。今回確認すべきなのは移行期限ではなく、対象アカウント、Edgeの更新状況、ページ内容へのアクセス設定、DLPポリシーです。(Microsoft)
Microsoft EdgeのYouTube動画グラウンディングとは
「Ground Microsoft 365 Copilot Chat in Edge for Business in your open YouTube videos」は、Edgeで開いているYouTube動画をCopilot Chatのコンテキストとして利用する機能です。
グラウンディングとは、AIの回答を特定の情報源に結び付ける仕組みを指します。今回の機能では、一般的なWeb検索結果だけで回答するのではなく、現在開いているYouTube動画を踏まえて、要約や質問への回答を生成できます。
Microsoftは、YouTube動画を要約し、動画に関する質問へ回答できる機能として案内しています。2026年6月時点では「Available now」とされており、提供済みの機能です。(Microsoft)
たとえば、次のような使い方ができます。
- 30分の製品解説動画を5つの要点にまとめる
- 動画内で紹介された設定手順を順番に整理する
- 製品名、機能名、日付、数値だけを抽出する
- 初心者向けに用語を言い換える
- 社内共有用の短い要約を作る
- 動画内で説明されていない点を洗い出す
動画を視聴しながらメモを取り、内容をCopilot Chatへ貼り付け直す手間を減らせる点が大きな変更です。
2026年6月16日の更新で何が変わったのか
ロードマップ上の情報は次のように整理されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ロードマップID | 499424 |
| 対象製品 | Microsoft Edge、Microsoft Copilot(Microsoft 365) |
| 機能 | 開いているYouTube動画をCopilot Chatの回答根拠として利用 |
| 対象環境 | Worldwide(Standard Multi-Tenant) |
| プラットフォーム | Web |
| リリース段階 | General Availability |
| 一般提供時期 | 2026年2月 |
| 現在の状態 | Launched |
| 最終更新 | 2026年6月16日 |
重要なのは、2026年6月16日から新たに提供が始まる機能ではないことです。ロードマップ上ではすでに「Launched」となっているため、実務上は新しい導入計画を立てる段階ではなく、自社環境で利用できるかを確認する段階に入っています。
Microsoft Edge Stableのリリースノートでは、2026年3月20日公開のEdge 146にも本機能が記載されています。当時は段階的な機能展開と案内されていたため、Edgeのバージョン、テナント、ユーザー設定によって表示時期に差が生じる可能性がありました。(Microsoft Learn)
従来との違い
| 比較項目 | 従来 | 変更後 |
|---|---|---|
| YouTube動画の扱い | 動画を視聴して手作業で要点を整理することが多かった | 開いている動画を基にCopilot Chatへ質問できる |
| 要約作業 | 内容や字幕をコピーして別途要約する | Edgeのサイドペインから要約を依頼できる |
| 質問方法 | 一般的なWeb情報を基に回答される場合がある | 開いている動画のコンテキストを踏まえて回答する |
| 画面の切り替え | 動画、メモ、AIチャットを切り替える | 動画を開いたままサイドペインで操作できる |
| 管理者制御 | Webページのコンテキスト設定やDLPで制御 | 既存のページアクセス設定やDLPが引き続き適用される |
Copilot Chat in Edgeのコンテキストグラウンディングは、Edgeのサイドペインで利用することが前提です。全画面版や独立したCopilot Chat画面では、現在表示しているブラウザーコンテンツを同時に参照できないため、同じ動作になるとは限りません。(Microsoft Learn)
影響を受けるユーザー
主な対象は、Microsoft Entra IDの職場または学校アカウントでMicrosoft Edge for Businessへサインインし、Microsoft 365 Copilot Chatを利用しているユーザーです。
Copilot Chat in Edgeを利用するには、EdgeへMicrosoft Entraアカウントでサインインし、ブラウザー右上のCopilotアイコンからサイドペインを開きます。Entraアカウントで利用している場合、プロンプトと回答にはエンタープライズデータ保護が適用されます。(Microsoft Learn)
特に効果が期待できるのは、次のような利用者です。
| 利用者 | 活用例 |
|---|---|
| 情報システム担当者 | Microsoft製品の解説動画から変更点や設定項目を抽出する |
| 開発者 | 技術セッションからコード、API名、注意事項を整理する |
| 営業担当者 | 製品紹介動画を短時間で把握し、提案資料の下書きを作る |
| 研修担当者 | 教育動画を章立てし、確認問題を作成する |
| サポート担当者 | 操作説明動画から問い合わせ対応手順を整理する |
| 一般ユーザー | 長い動画の結論や重要部分を短時間で確認する |
個人用Microsoftアカウント向けのCopilot in Edgeにも動画を扱う機能がありますが、ロードマップID 499424が対象としているのはMicrosoft Edge for BusinessとMicrosoft 365 Copilot Chatです。
一般ユーザーがYouTube動画を要約する手順
Microsoft EntraアカウントでEdgeへサインインする
Edge右上のプロフィールを確認し、職場または学校アカウントのプロファイルを選択します。
個人用プロファイルで動画を開いている場合、組織が管理するCopilot Chatやポリシーが適用されないことがあります。
YouTube動画を開く
要約または質問したい動画のページをMicrosoft Edgeで開きます。
最初は、社外秘情報を含まない一般公開動画で動作確認するのが安全です。
Copilotのサイドペインを開く
Edge右上のCopilotアイコンを選択します。
初回利用時には、Copilotがページ内容へアクセスすることを許可する確認画面が表示される場合があります。管理者がアクセスを明示的に許可または禁止している環境では、確認画面が表示されないこともあります。(Microsoft サポート)
動画について質問する
最初から「要約して」だけで済ませず、出力形式や確認したい項目を指定すると、実務で使いやすい回答になります。
要点を確認するプロンプト
この動画の要点を5つに整理してください。動画内で明示されている内容と、あなたの推測を分けてください。
設定手順を抽出するプロンプト
この動画で説明されている設定手順を、前提条件、操作手順、設定後の確認方法の順に整理してください。
更新情報を確認するプロンプト
動画内に登場する製品名、機能名、バージョン、日付、料金、提供時期を表にしてください。説明がない項目は「不明」としてください。
社内共有用にまとめるプロンプト
この動画の内容を、ITに詳しくない社員向けに300文字以内で要約してください。最後に注意点を3つ付けてください。
回答を動画と照合する
Copilotの回答は、そのまま公式情報として転記せず、特に次の項目を動画や公式ドキュメントと照合してください。
- 数値や料金
- バージョン番号
- 提供開始日
- サポート終了日
- ポリシー名
- コマンドや設定値
- 発言の引用
- 対象ライセンス
Microsoftの公式案内はYouTube動画の要約と質問応答を示していますが、すべての発言を完全に文字起こしする機能や、正確なタイムスタンプを必ず返す機能までは保証していません。重要な判断には元動画や一次情報を使用してください。(Microsoft)
管理者が確認すべき設定
ページ内容へのアクセスを確認する
最も重要なポリシーは、EdgeEntraCopilotPageContextです。
このポリシーは、Microsoft Entraアカウントでサインインしているユーザーについて、CopilotがEdgeのページ内容へアクセスできるかを制御します。
| 設定 | 動作 |
|---|---|
| 有効 | ユーザーがコンテキストを使った質問をした際、Copilotがページ内容へアクセスできる |
| 無効 | ページ要約やコンテキストを使った質問ができない |
| 未構成 | 非EU地域では既定で有効、EU地域では既定で無効。ユーザーが設定を変更できる |
EdgeEntraCopilotPageContextはWindowsとmacOSのEdge 130以降でサポートされています。AndroidとiOSではサポートされていません。(Microsoft Learn)
Windowsのレジストリで管理する場合は、次の値が使用されます。
パス: SOFTWARE\Policies\Microsoft\Edge
値名: EdgeEntraCopilotPageContext
種類: REG_DWORD
有効: 1
無効: 0
ポリシーを有効にしていても、DLPで保護されたページについてはCopilotが内容へアクセスできません。
Copilotアイコンの表示設定を確認する
Microsoft365CopilotChatIconEnabledでは、Microsoft Edge for BusinessのツールバーにCopilot Chatアイコンを表示するかどうかを制御できます。
| 設定 | 動作 |
|---|---|
| 有効 | Copilot Chatアイコンを表示する |
| 無効 | Copilot Chatアイコンを表示しない |
| 未構成 | アイコンを表示し、ユーザーによる表示・非表示の変更を許可する |
このポリシーはWindowsとmacOSのEdge 139以降でサポートされています。(Microsoft Learn)
ただし、アイコンを非表示にする設定と、ページ内容へのアクセスを禁止する設定は別です。情報保護を目的とする場合は、アイコンの表示設定だけでなく、EdgeEntraCopilotPageContextやDLPも確認してください。
DLPポリシーを確認する
Edge for Businessでは、Microsoft PurviewやIntune MAMなどのデータ損失防止設定がCopilot Chatにも適用されます。
コピー、印刷、アップロード、ダウンロード、Webページ保存などがDLPでブロックされているコンテンツは、Copilotによるページ内容へのアクセスも制限される場合があります。(Microsoft Learn)
管理者は次の順番で確認すると、原因を切り分けやすくなります。
edge://policyを開く- 「Reload Policies」で最新ポリシーを読み込む
EdgeEntraCopilotPageContextの値を確認するMicrosoft365CopilotChatIconEnabledの値を確認する- 対象ユーザーに適用されるPurview、MAM、MDMの設定を確認する
- 一般公開のYouTube動画で動作をテストする
- 保護されたサイトでCopilotが適切にブロックされることも確認する
Edgeの更新は必要か
本機能はEdge 146のStableリリースノートに掲載されていますが、当時は段階的な展開でした。現在はロードマップ上で「Launched」となっているため、古いEdgeを維持する理由はありません。(Microsoft Learn)
利用できない場合は、次の手順で更新状況を確認します。
- Edge右上のメニューを開く
- 「ヘルプとフィードバック」を選択する
- 「Microsoft Edgeについて」を開く
- 更新があれば適用する
- Edgeを再起動する
edge://policyでポリシーを再読み込みする
ブラウザーを更新しても表示されない場合は、バージョン不足よりも、アカウント、Copilot Chatの利用資格、ページアクセス設定、DLPを優先して確認してください。
移行作業やデータ変換は必要か
今回の変更に伴うファイル移行、データ変換、ユーザーデータの移し替えはありません。
既存のYouTube動画、Edgeプロファイル、Copilot Chatの履歴を別の場所へ移行する必要もありません。機能はEdgeとCopilot Chat側から提供されるため、利用者が行うのはアカウントと設定の確認が中心です。
管理者が実施すべき作業は、次の範囲に限られます。
- 対象ユーザーの確認
- Copilot Chatの利用資格の確認
- Edgeの更新
- ページコンテキストポリシーの確認
- DLPの動作テスト
- 社内利用ルールやマニュアルの更新
追加料金やライセンスを確認するポイント
ロードマップID 499424には、この機能専用の追加料金や新しい購入プランは記載されていません。
Microsoft 365 Copilot Chatを利用するには、職場または学校アカウントと、対象となるMicrosoft 365法人向けサブスクリプションが必要です。Microsoft 365 Copilotの有料アドオンがある場合とない場合では、利用できる業務データ、AIモデルへのアクセス優先度、エージェントなどに違いがあります。(Microsoft サポート)
| 確認項目 | 判断基準 |
|---|---|
| 新しい機能利用料 | ロードマップ上では案内なし |
| Copilot Chatの利用資格 | 対象Microsoft 365法人契約と職場・学校アカウントが必要 |
| Microsoft 365 Copilotアドオン | 業務データ連携や優先アクセスなどで機能差がある |
| YouTube動画グラウンディング | テナント、アカウント、ポリシー、展開状況を実機で確認 |
| 一般ユーザーによる購入 | 通常は組織の管理者がライセンスや利用可否を管理 |
「Microsoft 365 Copilotの有料ライセンスがないから必ず利用できない」「Copilotアイコンがあるからすべての機能を利用できる」とは判断できません。Copilot Chat上に表示されるライセンスラベルと、管理センターのサービスプランを確認してください。
期限はあるのか
ロードマップ上では2026年2月に一般提供され、2026年6月16日時点で「Launched」です。新たな移行期限、設定期限、旧機能の廃止期限は示されていません。(Microsoft)
そのため、期限対応ではなく、次の優先順位で確認するのが現実的です。
- 対象ユーザーが実際に利用できるか
- DLPが意図どおり動作するか
- ユーザーが機密情報を入力しない運用になっているか
- Copilotの回答を一次情報と照合する手順があるか
- 社内研修や動画調査で活用できるか
利用できないときの確認ポイント
Copilotアイコンが表示されない
次を確認してください。
- 職場または学校アカウントのEdgeプロファイルを使用しているか
Microsoft365CopilotChatIconEnabledが無効になっていないか- ユーザーがCopilotアイコンを手動で非表示にしていないか
- Copilot Chatの利用資格があるか
- Edgeが更新されているか
動画について質問しても一般的な回答になる
次を確認してください。
- YouTube動画のタブを表示した状態で質問しているか
- CopilotをEdgeのサイドペインで開いているか
- ページ内容へのアクセスを許可しているか
EdgeEntraCopilotPageContextが無効になっていないか- 質問内で「この動画を基に」と明示しているか
ページ内容へアクセスできないと表示される
組織のDLP、MAM、MDMポリシー、またはEdgeEntraCopilotPageContextによってブロックされている可能性があります。
DLPで保護されたページは、ページアクセスのポリシーを有効にしていてもCopilotから参照できません。これは不具合ではなく、情報保護のための動作です。(Microsoft Learn)
利用時に注意したいポイント
要約を完全な文字起こしとして扱わない
本機能の中心は要約と質問応答です。法務確認、契約判断、セキュリティ設定などに使用する場合は、動画の該当部分と公式ドキュメントを直接確認してください。
公開動画と機密プロンプトを分けて考える
YouTube動画が公開情報でも、質問文に社内の顧客名、案件情報、認証情報、未公開製品名などを入力すれば、プロンプト側に機密情報が含まれます。
エンタープライズデータ保護が適用される環境でも、自社の情報分類ルールと入力基準を守る必要があります。
「要約して」だけで終わらせない
短い指示だけでは、一般的すぎる回答になることがあります。
次の4点を指定すると、回答を業務に転用しやすくなります。
- 読者
- 目的
- 出力形式
- 推測を許可するか
たとえば、「情報システム部門向けに、変更点、影響、必要な対応を表で整理し、動画で説明されていない事項は不明と記載してください」と指示すると、確認漏れを減らせます。
今すぐ確認すべきこと
一般ユーザーは、職場用Edgeプロファイルで一般公開のYouTube動画を開き、Copilot Chatから要約と質問応答を試してください。
管理者は、EdgeEntraCopilotPageContext、Microsoft365CopilotChatIconEnabled、DLP、Copilot Chatの利用資格を確認します。機能を禁止する場合も、アイコンを隠すだけでなく、ページ内容へのアクセス制御まで設定することが重要です。
今回の変更に移行作業や新たな期限はありません。Microsoft Edgeでの動画調査を効率化できる一方、回答の正確性確認と機密情報の取り扱いは引き続き必要です。

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