SharePointの既定の共有リンクを変更する方法と2026年更新ポイント

SharePoint の「既定の共有リンク」は、ユーザーがファイルやフォルダーを共有するときに最初に選ばれるリンクの種類と権限を決める設定です。結論から言うと、機密情報を扱うサイトでは「特定のユーザー」または「既存アクセス権を持つユーザー」を基準にし、安易に「リンクを持つすべてのユーザー」を既定にしないことが重要です。

2026年7月1日前後に確認された Microsoft Learn の更新では、サイト単位で既定の共有リンクを変更できること、組織レベル設定との関係、Teams のプライベート チャネル・共有チャネル サイトでは PowerShell が必要になることが実務上の確認ポイントです。なお、Microsoft Learn の該当ページでは Last updated on 2026-06-30 と表示されています。(Microsoft Learn)

目次

SharePoint の「既定の共有リンク」とは何か

SharePoint では、ユーザーがファイルやフォルダーを共有するときに、共有リンクの種類を選択できます。主なリンク種別は「リンクを持つすべてのユーザー」「組織内のユーザー」「既存アクセス権を持つユーザー」「特定のユーザー」です。(Microsoft Learn)

既定の共有リンク設定は、共有操作を禁止・許可するための単独のセキュリティ設定ではありません。ユーザーが共有画面を開いたときに、最初に選択されるリンクの種類と権限を決める設定です。Microsoft Learn でも、より制限の厳しいリンクを既定にしつつ、必要に応じてユーザーが他のリンク種別を選べると説明されています。(Microsoft Learn)

つまり、この設定の本質は「共有の初期値を安全側に寄せること」です。ユーザーの操作ミスによる過剰共有を減らしたい場合に効果があります。

2026年更新で管理者が確認すべきポイント

今回のポイントは、SharePoint の共有機能が大きく変わったというより、管理者が既定リンク設定をサイト単位で正しく運用できているかを見直すべき内容です。

確認項目管理者が見るべきポイント実務上の判断
既定リンクの種類サイトごとに組織既定を継承するか、個別指定するか機密度の高いサイトは個別指定を検討
既定リンクの権限表示のみか、編集可能か外部共有や広範囲共有では「表示」を基本にする
組織レベル設定SharePoint 全体の共有ポリシーと矛盾しないか組織既定を先に決め、例外サイトを管理する
Teams チャネルサイトプライベート チャネル・共有チャネルのサイトか管理センターだけでなく PowerShell 対応が必要
移行期限公式ページ上に強制移行期限の記載があるか期限対応ではなく、設定棚卸しとして進める
管理スクリプト古い PowerShell パラメーターを使っていないか新しいパラメーターへの更新を検討

特に注意したいのは、既定リンク設定が「新しいエクスペリエンス」を使用するライブラリに適用され、Outlook Web App、Outlook 2016、Office 2016 より前の Office クライアントには影響しない点です。(Microsoft Learn)

既定の共有リンクで選べる主なリンク種別

SharePoint 管理者は、サイトの用途に応じて既定リンクを選ぶ必要があります。選択を誤ると、ユーザーの利便性を損なったり、意図しない情報共有につながったりします。

リンク種別特徴向いているサイト注意点
リンクを持つすべてのユーザー認証なしでアクセスできるリンクを作れる外部公開に近い資料、広報用ファイル、一時的な配布資料転送された場合にアクセス範囲を追跡しにくい
組織内のユーザー組織内ユーザーならリンクでアクセスできる社内ポータル、全社共有資料、社内テンプレート機密部門の資料には広すぎる場合がある
既存アクセス権を持つユーザー既にアクセスできる人だけが使える権限変更を伴わずリンクだけ送りたいサイト新しい閲覧者を追加する用途には向かない
特定のユーザー指定した相手だけに共有する人事、法務、経営、外部パートナーとの限定共有毎回相手を指定するため、広範囲共有では手間が増える

「リンクを持つすべてのユーザー」は便利ですが、最も広い共有になりやすい選択肢です。Microsoft Learn では、このリンクは外部共有設定が Anyone の場合に利用でき、転送されたリンクでもアクセスできる一方、誰がアクセス権を持つか、誰がアクセスしたかを追跡しにくいと説明されています。(Microsoft Learn)

サイト単位で既定リンクを変更する手順

サイト単位で既定の共有リンクを変更する場合は、SharePoint 管理センターの「アクティブなサイト」から対象サイトを選びます。公式手順では、対象サイトを選択し、コマンドバーの「共有」を開き、「既定の共有リンクの種類」で「組織レベルの設定と同じ」をオフにして、サイトで使う既定値を保存します。(Microsoft Learn)

管理センターでの基本手順

手順操作
1SharePoint 管理センターを開く
2「アクティブなサイト」で対象サイトを選択する
3コマンドバーまたは設定画面から「共有」を開く
4「既定の共有リンクの種類」で「組織レベルの設定と同じ」をオフにする
5既定のリンク種別を選ぶ
6必要に応じて「既定のリンク アクセス許可」も変更する
7保存する

既定のリンク権限も同じ考え方です。「表示」を既定にするか、「編集」を既定にするかをサイト単位で決められます。外部共有や機密性の高いサイトでは、最初から編集権限を与えない設計が安全です。(Microsoft Learn)

PowerShell で変更が必要になるケース

Teams のプライベート チャネル サイトまたは共有チャネル サイトの既定リンク種別を変更する場合は、SharePoint 管理センターではなく Set-SPOSite PowerShell コマンドレットを使う必要があります。(Microsoft Learn)

たとえば、特定の SharePoint サイトで既定の共有リンクを「特定のユーザー」、既定権限を「表示」に寄せる場合は、次のような形で設定します。

Connect-SPOService -Url https://contoso-admin.sharepoint.com

Set-SPOSite -Identity https://contoso.sharepoint.com/sites/project-a `
  -DefaultShareLinkScope SpecificPeople `
  -DefaultShareLinkRole View

PowerShell の Set-SPOSite では、DefaultShareLinkScope に Anyone、Organization、SpecificPeople、Uninitialized を指定できます。また、DefaultShareLinkRole には Edit、View、RestrictedView、Review、None などを指定できます。(Microsoft Learn)

既存のスクリプトで DefaultSharingLinkType や DefaultLinkPermission を使っている場合は注意が必要です。Microsoft Learn では、DefaultSharingLinkType は DefaultShareLinkScope に、DefaultLinkPermission は DefaultShareLinkRole に置き換えられる位置づけとして説明されています。(Microsoft Learn)

古い指定と新しい指定の対応イメージ

目的旧パラメーターの考え方新パラメーターの考え方
組織既定を尊重DefaultSharingLinkType NoneDefaultShareLinkScope Uninitialized
Anyone リンクを既定AnonymousAccessAnyone
組織内リンクを既定InternalOrganization
特定ユーザーを既定DirectSpecificPeople
表示を既定DefaultLinkPermission ViewDefaultShareLinkRole View
編集を既定DefaultLinkPermission EditDefaultShareLinkRole Edit

スクリプトを更新するときは、本番適用前に検証用サイトで実行し、共有画面の初期値が想定通りになるかを確認してください。特にグローバル企業では、地域・部門・機密区分ごとに共有ルールが異なるため、一括変更前の棚卸しが欠かせません。

組織レベル設定とサイトレベル設定の関係

SharePoint の共有設定は、組織レベルとサイトレベルの両方で管理します。組織レベルの設定は全体の上限として機能し、必要に応じて特定サイトをより制限の厳しい設定にできます。Microsoft Learn でも、サイトごとの共有設定は組織設定と同じか、より制限された設定である必要があると説明されています。(Microsoft Learn)

たとえば、組織全体で Anyone リンクを許可している場合でも、人事部門のサイトだけは既定リンクを「特定のユーザー」にできます。一方、組織全体で外部共有を無効にしている場合、特定サイトだけ外部向けに Anyone リンクを既定にするような運用はできません。

設定設計の基本方針

レベル役割推奨される考え方
組織レベル全社の共有ポリシーの上限を決めるセキュリティ基準として保守的に設定
サイトレベル業務内容に応じて例外を管理する機密度・外部共有の有無で調整
ドキュメントレベル個別ファイルの保護を補強する秘密度ラベルや DLP と組み合わせる
ユーザー操作共有時の最終選択既定値を安全側にし、誤操作を減らす

サイト所有者が自由に変更できる設定ではない点も重要です。サイトの共有設定を変更するには、少なくとも Microsoft 365 の SharePoint 管理者権限が必要で、サイト所有者だけでは変更できないとされています。(Microsoft Learn)

移行期限はあるのか

2026年7月1日前後に確認できる公式情報を見る限り、この既定共有リンク設定について「特定日までに移行しなければならない」といった強制移行期限は明示されていません。したがって、緊急の移行プロジェクトとしてではなく、共有設定の棚卸しと管理スクリプトの見直しとして進めるのが現実的です。

ただし、PowerShell パラメーターについては、DefaultSharingLinkType や DefaultLinkPermission が新しいパラメーターに置き換えられる位置づけで説明されています。自動化スクリプトや運用手順書に古いパラメーターが残っている場合は、次回の保守タイミングで更新候補に入れておくべきです。(Microsoft Learn)

影響範囲を誤解しやすいポイント

既定の共有リンク設定は便利ですが、万能なセキュリティ対策ではありません。管理者が誤解しやすい点を整理します。

誤解正しい理解
既定リンクを変えれば外部共有を完全に防げる外部共有の可否は組織レベル・サイトレベルの外部共有設定も関係する
「表示」を既定にすれば編集共有はできないユーザーが許可された範囲で編集リンクを選べる場合がある
サイト設定を変えれば既存リンクもすべて変わる基本的には新しく共有するときの初期値を制御する設定として考える
Anyone を許可しても既定が Specific people なら安全ユーザーが Anyone を選べる運用なら、教育・監査・期限設定が必要
Teams と SharePoint は別管理でよいTeams に接続された SharePoint サイトも共有設定の影響を受ける

外部共有設定を制限または無効化した場合、ゲストは通常 1 時間以内にアクセスできなくなると説明されています。既定リンク設定だけを変える場合と、外部共有そのものを制限する場合では影響が異なるため、変更前に対象サイトとゲスト利用状況を確認してください。(Microsoft Learn)

秘密度ラベルと組み合わせるべきケース

SharePoint サイトを Microsoft Purview の秘密度ラベルで分類・保護している場合、秘密度ラベルを使ってサイトや個別ドキュメントの既定共有リンクの種類と権限を構成できます。(Microsoft Learn)

特に、同じサイト内に一般資料と高機密資料が混在する場合は、サイト全体の既定リンクだけでは不十分です。Microsoft Learn では、サイトの既定共有リンクとドキュメントの秘密度ラベル設定が異なる場合、より制限の厳しいスコープが適用される例が示されています。(Microsoft Learn)

秘密度ラベルを使うとよい例

状況推奨対応
人事評価、契約書、買収関連資料を扱うドキュメント単位で「特定のユーザー」を既定にする
部門サイト内に一般資料と機密資料が混在するサイト既定に加え、秘密度ラベルで補強する
OneDrive に機密度の異なるファイルが混在するすべてを一律設定せず、重要ファイルにラベルを適用する
外部パートナーと共同編集するサイト単位の外部共有設定とラベル設定を合わせて設計する

サイト単位の設定は「そのサイトの標準」を決めるものです。ドキュメントごとに機密度が大きく違う場合は、秘密度ラベルを併用しないと、共有時の初期値が業務実態に合わなくなります。

実務で使える設定判断の目安

SharePoint の既定共有リンクは、サイトの性質に合わせて決めると失敗しにくくなります。迷った場合は、まず「誰が見るべき情報か」「外部共有が日常的に必要か」「編集権限を初期値にしてよいか」の3点で判断します。

サイトの種類既定リンクの推奨既定権限の推奨理由
経営、人事、法務、監査特定のユーザー表示宛先を限定し、誤共有を防ぎやすい
外部パートナーとの案件サイト特定のユーザー表示または編集相手を指定しながら必要な共同作業を行える
部門内の通常業務サイト組織内のユーザー、または特定のユーザー表示社内共有の利便性と安全性を両立しやすい
全社ポータル、規程、テンプレート組織内のユーザー表示広く見せたいが、編集は限定したい
一時的な外部配布用サイトAnyone を検討表示期限設定や対象ファイルの確認が前提
研究開発、未公開製品情報特定のユーザー表示内部でもアクセス範囲を絞るべき

「編集」を既定にするのは、共同編集が日常的で、共有相手を限定できるサイトに絞るのが安全です。広範囲のリンクで編集を既定にすると、ユーザーは便利に感じますが、誤編集や情報改ざんのリスクが上がります。

管理者が変更前に確認すべきチェックリスト

設定変更前には、単に管理センターで値を変えるのではなく、影響範囲を確認してから進める必要があります。

チェック項目確認内容
組織レベルの外部共有SharePoint と OneDrive の外部共有レベルが想定通りか
サイトごとの例外組織既定を継承していないサイトがどれだけあるか
機密サイト人事、法務、経営、研究開発サイトの既定リンクが広すぎないか
Teams 連携Teams に接続されたサイト、プライベート チャネル、共有チャネルを確認したか
ゲスト利用外部ユーザーが利用中のサイトで急な制限変更をしないか
PowerShell 自動化古いパラメーターを使ったスクリプトが残っていないか
秘密度ラベルサイト単位だけでなく、ドキュメント単位の保護が必要か
ユーザー周知共有画面の初期値が変わることを利用者に伝えるか

Microsoft Entra 外部コラボレーション設定も確認対象です。SharePoint と OneDrive の共有設定では、Microsoft Entra のゲスト招待設定やコラボレーション制限が関係するため、SharePoint 管理センターだけを見て判断しないようにしてください。(Microsoft Learn)

グローバル運用での注意点

グローバル企業では、国や地域によって外部共有の許容範囲が異なることがあります。たとえば、日本本社では外部共有を厳格に制限し、海外拠点ではパートナーとの共同編集が多いといったケースです。

この場合、全社で1つの既定値に固定するよりも、次のように階層化すると運用しやすくなります。

レイヤー設計例
グローバル標準Anyone を既定にしない、編集権限を初期値にしない
地域別ルール法規制や監査要件に応じて外部共有レベルを調整
部門別ルール人事・法務・研究開発はより厳格にする
案件別例外外部パートナーサイトのみ個別に許可する
自動化PowerShell で例外設定を記録・再現できるようにする

21Vianet によって運用される Office 365 中国環境では、Microsoft 365 管理センターから SharePoint 管理センターへ移動する手順が案内されています。グローバル運用では、商用クラウド、各国クラウド、特別な運用環境で手順書を分けることも重要です。(Microsoft Learn)

変更後に見るべき運用指標

既定共有リンクを変更したら、設定して終わりではありません。次のような観点で、運用に問題が出ていないか確認します。

観点見るべき変化
ヘルプデスク問い合わせ「共有できない」「相手が開けない」という問い合わせが増えていないか
外部共有リンクAnyone リンクの作成数が減っているか
編集リンク編集権限付きリンクが必要以上に作られていないか
ゲストアクセス意図しない外部ユーザーが残っていないか
例外サイト個別設定サイトが増えすぎていないか
監査ログ共有リンク作成や外部アクセスの傾向に異常がないか

安全側に寄せすぎると、ユーザーが別の手段でファイルを送る可能性があります。たとえば、SharePoint で共有しにくいからメール添付や個人クラウドを使う、といった行動です。設定変更と同時に「どのリンクを選べばよいか」を短いガイドで周知すると、セキュリティと利便性のバランスを取りやすくなります。

まとめ:既定リンクは「共有を止める設定」ではなく「安全な初期値を作る設定」

SharePoint の既定の共有リンク設定は、共有操作そのものを完全に制御する設定ではありません。ユーザーが共有するときの初期値を安全側に寄せ、過剰共有や誤操作を減らすための設定です。

管理者がまず行うべきことは、組織レベルの共有ポリシーを確認し、次に機密度の高いサイトや外部共有が多いサイトを棚卸しすることです。そのうえで、サイト単位の既定リンクを「特定のユーザー」「組織内のユーザー」「表示のみ」などに調整します。

移行期限が明示された強制対応として捉えるよりも、2026年時点の公式情報を踏まえた共有ガバナンスの見直しとして進めるのが現実的です。特に、Teams のチャネルサイト、PowerShell スクリプト、秘密度ラベル、Microsoft Entra の外部コラボレーション設定は、SharePoint 管理者が必ず確認しておきたいポイントです。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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