Microsoft Teams Call Queuesの自動録音・文字起こし|変更点と設定確認

Microsoft Teamsのコール キューで、着信通話をエージェントの操作なしに自動録音し、同時に文字起こしできる機能「Automatic recording and transcription for Teams Call Queues」が追加されます。

録音はエージェントが応答した時点で始まり、通話終了時に停止します。ただし、すべてのコール キューで自動的に有効になるわけではありません。管理者がキュー単位で録音、文字起こし、告知、閲覧権限、SharePointの保存先を設定する必要があります。

2026年6月15日時点では開発中で、ロールアウト開始予定は2026年7月です。現在の公式設定ガイドではプレビュー参加者向けの機能とされているため、一般提供前のテナントでは設定項目やPowerShellコマンドがまだ利用できない可能性があります。(Microsoft)

目次

2026年6月15日時点の変更点

今回の変更は、Microsoft Teamsのコール キューに入った着信を、キュー単位のルールで自動録音・文字起こしできるようにするものです。

確認項目内容
Roadmap ID565215
状態開発中
ロールアウト開始予定2026年7月
対象コール キュー経由でエージェントが応答した着信通話
録音開始エージェントが通話に応答した時点
録音終了通話終了時
設定単位コール キューごと
保存先SharePoint
閲覧方法Queuesアプリの共有通話履歴
現時点の設定方法PowerShell
Teams管理センター対応今後追加予定
ロードマップ上の対象クラウドWorldwide(Standard Multi-Tenant)

Microsoft 365 Roadmapの日付は提供開始の確定日ではなく、変更される可能性があります。また「2026年7月」はロールアウトの開始予定であり、すべてのテナントで利用可能になる日を示すものではありません。(Microsoft)

従来の録音方法と何が違うのか

従来のTeams通話録音では、ユーザーが通話中に録音を開始する運用が中心でした。この方法では、担当者が録音操作を忘れたり、担当者によって録音の有無が変わったりする問題があります。

新機能では、管理者が対象のコール キューに自動録音テンプレートを割り当てます。設定後は、誰が応答しても同じルールで録音されるため、問い合わせ窓口や社内ヘルプデスクの記録を統一しやすくなります。

比較項目従来の手動録音コール キューの自動録音
録音開始ユーザーが手動で操作エージェントの応答時に自動開始
録音漏れ操作忘れの可能性がある対象キューでは自動的に録音
設定単位主にユーザーや通話ポリシーコール キュー単位
文字起こしユーザー操作やポリシーに依存キューのテンプレートで設定
保存・共有通話ごとに管理指定したSharePointとQueuesアプリで管理
エージェントの操作必要原則不要

自動録音は、キューで待機している時点では始まりません。エージェントが応答して実際の会話が始まった時点から録音されます。(Microsoft Learn)

影響を受けるユーザーと管理者

Teams管理者・IT管理者

最も影響が大きいのは、コール キューを管理するTeams管理者です。次の項目をキューごとに設計する必要があります。

  • 自動録音を有効にするか
  • 文字起こしも有効にするか
  • 発信者に流す録音告知
  • エージェントに録音の閲覧を許可するか
  • 録音を保存するSharePointサイト
  • Queuesアプリから参照するための共有通話履歴
  • 録音データの保持期間とアクセス管理

録音と文字起こしは既定で無効です。機能がロールアウトされても、管理者が設定しない限り既存のコール キューが突然録音を開始するわけではありません。(Microsoft Learn)

コール キューのエージェント

エージェントは録音開始ボタンを押す必要がなくなります。

管理者がエージェントの閲覧権限を有効にした場合、エージェントはQueuesアプリから、そのコール キューの録音と文字起こしを確認できます。公式ガイドでは、エージェントアクセスを有効にすると、そのキューのすべての録音を閲覧できると説明されています。

担当案件だけを個別に公開する運用とは異なるため、閲覧権限は安易に有効化せず、業務上必要な範囲を先に決めておくことが重要です。(Microsoft Learn)

コール キューに電話をかける利用者

録音対象のコール キューでは、発信者に録音されることを知らせるアナウンスが再生されます。

アナウンスには既定メッセージを使用できるほか、音声ファイルまたはテキスト読み上げによる独自メッセージを設定できます。日本語の窓口では、録音目的や問い合わせ先を簡潔に伝える日本語メッセージを用意するとよいでしょう。(Microsoft Learn)

コール キューを利用しない一般ユーザー

通常のTeamsチャット、会議、コール キューを経由しない個人通話には、この設定だけで自動録音が適用されるわけではありません。

対象は、設定済みのコール キューに着信し、エージェントが応答した通話です。

管理者が事前に確認すべき要件

自動録音テンプレートを作成する前に、対象のコール キューが前提条件を満たしているか確認します。

確認項目必要な対応
Conference mode有効にする
エージェントの割り当てMicrosoft 365セキュリティグループを使用する
Shiftsとの連携自動録音ではサポートされない
エージェントの音声設定Enterprise Voiceを有効にする
SharePointサイトテンプレート作成処理を通してプロビジョニングする
共有通話履歴Queuesアプリで録音を見る場合は有効化する
Queuesアプリ閲覧ユーザーに必要なライセンスを割り当てる

特に注意したいのが、エージェントの割り当て方法です。公式の前提条件ではMicrosoft 365セキュリティグループの使用が求められており、Shiftsを使ったエージェント割り当てはサポートされていません。(Microsoft Learn)

SharePointの保存先は手動で作成しない

録音データはSharePointに保存されますが、既存の任意のSharePointサイトを保存先として指定すればよいわけではありません。

公式ガイドでは、保存先サイトは自動録音テンプレートの作成処理を通してプロビジョニングする必要があります。手動で作成したサイトはサポートされず、アクセス権やアップロード時のエラーにつながる可能性があります。

テンプレートでは、主に次の情報を設定します。

  • SharePointのホスト名
  • SharePointサイト名
  • 録音ドキュメントの所有者
  • 録音の有効・無効
  • 文字起こしの有効・無効
  • エージェントの閲覧権限
  • 録音告知

録音ドキュメントの所有者は、SharePointへのアップロードに失敗した場合に録音へアクセスするためのユーザーです。日常的な閲覧権限とは役割が異なります。(Microsoft Learn)

Queuesアプリで閲覧するには共有通話履歴が必要

録音と文字起こしをQueuesアプリから確認するには、対象のコール キューで「Shared call history」、日本語では共有通話履歴に相当する機能を有効にする必要があります。

共有通話履歴では、録音以外にも次の情報を確認できます。

  • 不在着信
  • 共有ボイスメール
  • 対応中・解決済み・未解決などの状態
  • 通話時刻と通話時間
  • 通話参加者
  • キューを代表して行った発信

共有通話履歴のテンプレートは、Teams管理センターの「音声」から作成できます。

  1. Teams管理センターで「音声」から「テンプレートとリソース」を開く
  2. 「テンプレート」を選択する
  3. テンプレートの種類で「Shared call history」を選択する
  4. 不在着信と応答済み・発信通話の閲覧範囲を設定する
  5. テンプレートを保存する
  6. 「音声」から「コール キュー」を開く
  7. 対象キューの「一般情報」でテンプレートを割り当てる
  8. 設定を送信する

共有通話履歴を利用するコール キューでは、Conference modeも有効でなければなりません。(Microsoft Learn)

Queuesアプリに必要なライセンス

Queuesアプリを利用するユーザーには、原則として次のライセンスが必要です。

  • Teams Phone
  • Teams Premium

ライセンスを割り当ててからQueuesアプリがTeamsクライアントに表示されるまで、最大48時間かかる場合があります。

自動録音機能そのものについて、2026年6月15日時点のロードマップと設定ガイドでは専用の追加料金は明記されていません。ただし、録音をQueuesアプリで閲覧するユーザーにはTeams PhoneとTeams Premiumが必要です。また、録音データを保存するため、SharePointの利用可能容量も確認しておく必要があります。

「自動録音は追加料金なし」と決めつけず、実際に録音を閲覧する管理者、スーパーバイザー、エージェントのライセンス状況を確認してください。(Microsoft Learn)

自動録音を設定する手順

2026年6月15日時点の公式設定ガイドでは、自動録音テンプレートの設定はPowerShellのみ対応しています。Teams管理センターからの設定は今後追加される予定です。

ロードマップにはTeams管理センターとPowerShellの両方で設定できる完成形が示されていますが、ロールアウト途中では管理画面に項目が表示されない可能性があります。(Microsoft Learn)

PowerShellコマンドが利用できるか確認する

最初に、接続中の環境で自動録音用コマンドが認識されるか確認します。

Get-Command *CsAutoRecordingTemplate*

コマンドが見つからない場合は、機能がテナントに展開されていないか、利用中のMicrosoft Teams PowerShellモジュールが対応していない可能性があります。

対象のコール キューIDは、次のコマンドで確認できます。

Get-CsCallQueue | Select-Object Identity, Name

コール キューをTeams管理センターで編集し、ブラウザーのURLに表示されるGUIDを確認する方法もあります。

自動録音テンプレートを作成する

次は、録音と文字起こしを有効にする設定例です。

New-CsAutoRecordingTemplate `
  -Name "Customer Service Auto Recording" `
  -Description "問い合わせ窓口の着信を自動録音" `
  -RecordingEnabled $true `
  -TranscriptionEnabled $true `
  -AgentViewPermission All `
  -SharePointHostName "contoso.sharepoint.com" `
  -SharePointSiteName "Customer Service" `
  -RecordingDocumentOwner "<UserGUID>" `
  -AutoRecordingAnnouncementTextToSpeechPrompt "この通話は、応対品質の向上のため録音されます。"

AgentViewPermission Allを設定すると、エージェントが対象キューの録音を閲覧できる構成になります。エージェントによる閲覧が不要な場合は、要件を確認したうえでアクセスを有効にしない構成にします。

テンプレートをコール キューに割り当てる

作成済みのテンプレートとIDを確認します。

Get-CsAutoRecordingTemplate

確認したテンプレートIDを、対象のコール キューに割り当てます。

Set-CsCallQueue `
  -Identity "<CallQueueGUID>" `
  -AutoRecordingTemplateId "<TemplateID>"

公式ガイドでも、New-CsAutoRecordingTemplateでテンプレートを作成し、Set-CsCallQueueのAutoRecordingTemplateIdで割り当てる手順が案内されています。(Microsoft Learn)

設定後に実施するテスト

本番の問い合わせ窓口へ適用する前に、テスト用キューで次の項目を確認します。

テスト項目確認内容
録音告知発信者に適切な言語で告知されるか
録音開始エージェントが応答した時点から録音されるか
録音終了通話終了後に正常に停止するか
文字起こし通話終了後に参照できるか
SharePoint指定した保存先に録音が格納されるか
Queuesアプリ共有通話履歴から録音を開けるか
権限許可したユーザーだけが閲覧できるか
エージェント権限対象キューの全録音が見える設定になっていないか
非対象通話通常の個人通話が誤って録音されないか

転送、保留、相談転送、複数人での通話、コールバックなどは、通常の一対一通話とは動作条件が異なる可能性があります。公開情報だけで全パターンを判断せず、自社で利用している通話フローごとに確認してください。

コンプライアンス録音との違いに注意

今回の自動録音は、Microsoft Teamsが提供するファーストパーティーの自動録音機能です。一方、Microsoft Teamsには、認定された外部録音ソリューションを利用する「Compliance Recording for Call Queues」もあります。

両者は同じものではありません。

項目自動録音・文字起こしコンプライアンス録音
主な目的応対確認、教育、品質改善、記録法令・業界規制に沿った強制録音
提供方式Microsoft Teamsの標準機能認定パートナーの録音アプリ
保存先SharePoint採用する録音製品に依存
録音ボット不要コンプライアンス録音アプリが必要
厳格な録音継続制御公開情報では明記なし必須録音などを構成可能
パートナー費用不要とは断定できないが専用料金の記載なし製品ごとのライセンスが必要

金融、医療、公共機関などで既存のコンプライアンス録音を利用している場合、今回の機能をそのまま代替手段と考えるべきではありません。Microsoftの公式資料でも、自動録音とコンプライアンス録音は別の機能として説明されています。(Microsoft Learn)

料金・更新・移行・期限の確認ポイント

料金

本機能専用の価格は、2026年6月15日時点の公式情報では示されていません。

ただし、Queuesアプリで録音を確認するユーザーにはTeams PhoneとTeams Premiumが必要です。録音件数が多い窓口では、SharePointの保存容量や保管期間もコストに影響します。

TeamsクライアントとPowerShellの更新

必須となるTeamsクライアントの具体的なバージョンは、ロードマップでは指定されていません。

管理者は、次の2点で利用可否を判断すると確実です。

  • Teams管理センターに自動録音設定が表示されるか
  • New-CsAutoRecordingTemplateなどのPowerShellコマンドが利用できるか

Teams管理センターに設定項目がなくても、ロールアウト後しばらくはPowerShellのみ利用できる可能性があります。

既存環境からの移行

既存のコール キューを作り直す必要はありません。自動録音テンプレートを作成し、対象キューに割り当てる形で導入できます。

一方、既存の第三者録音製品やコンプライアンス録音から自動的に移行されるわけではありません。保存期間、検索機能、監査ログ、証拠保全などの要件を比較してから移行を判断してください。

期限

2026年7月はロールアウト開始予定であり、設定期限や移行期限ではありません。

既定では録音が無効であるため、管理者がテンプレートを割り当てなければ録音は始まりません。緊急の強制対応ではありませんが、録音を必要とする窓口では、一般提供前に保存先、権限、ライセンス、告知文を準備しておくとスムーズです。

よくある質問

すべてのTeams通話が自動録音されますか

されません。管理者が自動録音テンプレートを割り当てたコール キューの着信通話が対象です。

通常のTeams通話や、エージェントが個人として行う発信通話は対象外です。

キューで待機している時間も録音されますか

公式説明では、エージェントが応答した時点から録音が始まります。キュー内で待機している段階から録音される機能ではありません。

録音と文字起こしは別々に設定できますか

はい。録音と文字起こしには個別の有効・無効設定があり、いずれも既定では無効です。(Microsoft Learn)

一般ユーザーが自分で自動録音を有効にできますか

できません。コール キュー単位で管理者が設定する機能です。

Teams Premiumは必須ですか

Queuesアプリを利用して録音や共有通話履歴を見るユーザーには、Teams PhoneとTeams Premiumが必要です。

自動録音テンプレートそのものの専用追加料金については、公式情報に明記されていません。

Teams管理センターから設定できますか

2026年6月15日時点の公式設定ガイドではPowerShellのみです。Teams管理センターへの対応は今後追加される予定です。

管理者が今すぐ確認すること

導入を予定している場合は、次の順番で準備します。

  1. 自動録音が必要なコール キューを洗い出す
  2. 録音目的、対象通話、保管期間を決める
  3. 発信者に流す録音告知文を作成する
  4. Conference modeとエージェントの割り当て方法を確認する
  5. Shiftsを使用していないか確認する
  6. SharePointの保存先と容量を設計する
  7. 管理者、スーパーバイザー、エージェントの閲覧範囲を決める
  8. Queuesアプリ利用者のTeams PhoneとTeams Premiumを確認する
  9. 共有通話履歴を設定する
  10. テスト用コール キューで録音、文字起こし、権限を検証する

今回の変更で、コール キューの録音漏れを減らし、問い合わせ対応の確認や教育に活用しやすくなります。一方で、録音を有効にするだけでは安全な運用にはなりません。

まずはRoadmap ID 565215の提供状況を確認し、SharePointの保存設計、録音告知、閲覧権限、Queuesアプリのライセンスを整理したうえで、小規模なキューから段階的に導入するのが現実的です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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