Microsoft TeamsのIntelligent meeting recap変更点|文字起こし保存なしでAI要約

Microsoft Teamsの「Intelligent meeting recap available without saving transcript」は、録音や文字起こしを保存しなくても、会議後にAI要約を確認できるようにする機能です。

2026年6月10日の更新では、提供時期が延期されました。対象指定リリースは2026年8月中旬から下旬、一般提供は8月下旬から9月下旬の予定です。利用には有料のMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要と案内されています。(Microsoft 365 Message Center Archive)

最も重要な注意点は、「トランスクリプトを保存しない」ことと「何も保存しない」ことは同じではない点です。録音と文字起こしは残りませんが、生成されたAI要約のドキュメントは主催者のOneDriveに保存されます。機密会議で利用する組織は、ライセンスだけでなく、保存期間や削除方法まで確認する必要があります。

目次

Intelligent meeting recapの変更点

今回の変更内容を整理すると、次のとおりです。

確認項目変更内容
新しくできること録音・文字起こしを保存せず、会議後のAI要約を生成できる
対象ユーザーMicrosoft 365 Copilotの有料ライセンスを持つ主催者や参加者
対象環境Teamsデスクトップ、Web、Mac、iOS、Android
保存されるデータAI要約のドキュメント
保存場所会議主催者のOneDrive
既定の保存期間120日。管理側で変更可能と案内
管理方法テナントのAI設定、Teams会議ポリシー、会議オプション
Roadmap ID558286
Message CenterMC1275312

AI要約は会議中のコンテキストを利用して生成されます。録音ファイルや会話全文のトランスクリプトは保存されませんが、要約自体は会議後も参照できる情報として残ります。Recap画面から要約を削除するとOneDrive上のドキュメントも削除され、OneDrive側で削除した場合もRecapから利用できなくなる予定です。(Microsoft 365 Message Center Archive)

従来の「会議中のみのCopilot」と何が違うのか

Teamsには以前から、文字起こしを保存せずにCopilotを会議中だけ利用する「Only during the meeting」があります。

この設定では、一時的な音声テキスト変換データを使ってCopilotが回答します。ただし、会議終了後に一時データとCopilotの履歴が利用できなくなるため、後からAI要約を見返すことはできませんでした。(Microsoft Learn)

今回の機能は、この制約を次のように変えます。

利用方法会議中のCopilot会議後のAI要約トランスクリプト保存
従来の「会議中のみ」利用可能利用不可なし
新しい「保存なしRecap」利用可能利用可能なし
通常の文字起こし付きRecap利用可能利用可能あり

つまり、全文は残したくないが、決定事項やアクション項目は残したいという会議で利用しやすくなります。

ただし、保存なしRecapで得られるのは主にAI Summaryです。通常のIntelligent recapに含まれる発言者情報、チャプター、トピック、メンション、Audio recapなどは、利用できない場合があります。録画を行わない会議では、通常のIntelligent recapでも発言者、トピック、チャプターなど一部の機能が制限されます。(Microsoft)

2026年6月10日の更新で提供時期が延期

Microsoft 365 Message CenterのMC1275312は、2026年6月10日にスケジュールが更新されました。

リリース変更前2026年6月10日更新後
対象指定リリース7月上旬~7月中旬8月中旬~8月下旬
一般提供7月下旬~8月中旬8月下旬~9月下旬

この日付は利用申請の締め切りではなく、各テナントへの展開予定期間です。Microsoft 365 Roadmapの提供日は見込みであり、開発状況によって再変更される可能性があります。(Microsoft 365 Message Center Archive)

Meeting AIトグルの提供時期と混同しない

Roadmap ID 558286には、会議中にMeeting AIをオン・オフするトグルに関するMC1319216も関連付けられています。このトグルは2026年6月の展開予定ですが、通知上では、文字起こしを使わずにAIを停止した場合はRecapが生成されない動作も説明されています。(Microsoft 365 Message Center Archive)

そのため、6月にAIトグルが表示されても、文字起こし保存なしの会議後Recapまで利用可能になったとは限りません。今回の機能については、MC1275312の8月から9月のスケジュールを基準に確認するのが安全です。

誰に影響するのか

会議の主催者

Microsoft 365 Copilotの対象ライセンスを持つ主催者は、会議前の会議オプションから「Recap without saving transcript」を有効または無効にできる予定です。

会議中にもMeeting AIのトグルから切り替えられ、参加者にはAIが有効かどうかが表示されます。機密情報の議論を始める前にAIを停止するといった運用が可能になります。(Microsoft 365 Message Center Archive)

会議の参加者

Microsoftの通知では、Microsoft 365 Copilotライセンスを持つ会議参加者が、会議後のAI要約を閲覧できると説明されています。

ただし、ライセンスがあっても、主催者が設定したAI recapのアクセス範囲から除外されている場合は閲覧できない可能性があります。Teamsでは主催者が、録音、トランスクリプト、AI recapへのアクセスを「全員」「主催者と共同主催者」「特定のユーザー」などから選択できます。(マイクロソフトサポート)

Microsoft 365管理者

管理者は次の対応が必要です。

  • 対象ユーザーへのMicrosoft 365 Copilotライセンス割り当て
  • テナントレベルのAI設定の確認
  • Teams会議ポリシーの確認
  • AI要約の保存期間と削除ルールの確認
  • 機密会議に関する社内ルールの更新
  • ヘルプデスク向け手順の作成

テナント側でAI機能を無効にすると、この保存なしRecapも利用できません。(Microsoft 365 Message Center Archive)

管理者が確認すべき設定

Microsoft 365 Copilotライセンスを確認する

通常のIntelligent recapは、Teams PremiumまたはMicrosoft 365 Copilotライセンスで利用できる機能があります。(Microsoft Learn)

一方、今回の「文字起こし保存なしRecap」は、機能固有の通知でMicrosoft 365 Copilot(Premium)ユーザー向けと案内されています。そのため、次のライセンスだけで利用できるとは考えない方が安全です。

  • Microsoft 365 Copilot Chatのみ
  • Teams Premiumのみ
  • Microsoft 365の基本ライセンスのみ

主催者だけでなく、会議後に要約を閲覧するユーザーにもMicrosoft 365 Copilotライセンスが必要になる点を、導入費用の試算に含めてください。

今回の告知では、機能単体の追加料金や価格変更は示されていません。既存のMicrosoft 365 Copilotライセンスを持っていないユーザーへ新たに割り当てる場合は、そのライセンス費用が発生します。(Microsoft 365 Message Center Archive)

Teams会議ポリシーを確認する

現在のCopilot会議ポリシーは、Teams管理センターの次の場所で確認できます。

  1. Teams管理センターを開く
  2. 「会議」を選択する
  3. 「会議ポリシー」を開く
  4. 対象ポリシーを選択する
  5. 「記録と文字起こし」のCopilot設定を確認する

主な設定値には「On」「On with saved transcript required」「On with transcript saved by default」「Off」があります。(Microsoft Learn)

特に「On with saved transcript required」を強制している組織では、保存されたトランスクリプトを必須とする既存方針と、今回の保存なしRecapが矛盾します。実際のロールアウト後に、対象ポリシーで選択肢が表示されるかを検証してください。

PowerShellでは、既存ポリシーのCopilotと文字起こし設定を一覧で確認できます。

Get-CsTeamsMeetingPolicy |
    Select-Object Identity, Copilot, AllowTranscription

設定を変更する前に、どのユーザーやグループへ各ポリシーが割り当てられているかも確認します。

新しいAI設定を確認する

MC1275312では、管理者がテナント単位でAI機能をオプトインまたはオプトアウトできると説明されています。

この設定を無効にすると、CopilotやIntelligent recapを含む保存なしRecapは利用できません。具体的な設定名や画面位置はロールアウト時に変更される可能性があるため、Message Centerの更新とTeams管理センターの表示を併せて確認してください。

OneDriveの保存期間を確認する

保存なしRecapを有効にすると、AI要約のドキュメントが会議主催者のOneDriveに保存されます。既定の保存期間は120日で、管理側で長くしたり短くしたりできると案内されています。(Microsoft 365 Message Center Archive)

確認すべき項目は次のとおりです。

  • 120日という保存期間が社内規程に合っているか
  • Microsoft Purviewの保持ポリシーと競合しないか
  • 退職者や共有アカウントが主催した場合の管理方法
  • Recap画面とOneDriveの両方で削除結果が一致するか
  • eDiscoveryや監査の対象として扱う必要があるか

「録音や文字起こしを残していないから保持対象外」と判断せず、AI要約を独立した業務データとして分類することが重要です。

ロールアウト後の利用手順

実際の表示名は変更される可能性がありますが、想定される流れは次のとおりです。

会議前に設定する

  1. Teamsカレンダーから対象の会議を開く
  2. 「会議オプション」を選択する
  3. CopilotまたはAI関連の設定を開く
  4. 「Recap without saving transcript」を有効にする
  5. AI recapへのアクセス範囲を確認する

会議中に確認する

  1. 画面上部のMeeting AIトグルを確認する
  2. AIがオンであることを参加者へ周知する
  3. 保存対象にしたくない議題ではAIをオフにする
  4. 通常の録音や文字起こしを誤って開始しない

誰かが通常の文字起こしを開始すると、トランスクリプトが保存される可能性があります。「録音・文字起こしを残さない会議」では、開始できるユーザーや会議ロールも事前に制限しておくと安全です。

なお、MC1275312内では会議中の切り替え権限について、「主催者」と「Copilotライセンスを持つ参加者」の両方の表現が使われています。主催者、共同主催者、発表者、一般参加者ごとの操作可否は、対象指定リリースで実機確認してください。(Microsoft 365 Message Center Archive)

会議後に確認する

  1. Teamsの会議チャットまたはカレンダーを開く
  2. 「Recap」を選択する
  3. AI Summaryが生成されているか確認する
  4. 録音やトランスクリプトが作成されていないか確認する
  5. 主催者のOneDriveに保存された要約を確認する
  6. 不要な場合はRecap画面から削除する

利用に向いている会議と向いていない会議

利用に向いているケース

  • 会話全文は残せないが、決定事項は共有したい会議
  • 録画を禁止している顧客との打ち合わせ
  • 人事・採用面談後の要点整理
  • 法務や契約に関する会議のアクション確認
  • ストレージ容量を抑えながら会議結果を残したい場合

利用を避けるべきケース

  • 会議内容を一切保存してはいけない場合
  • AIによる音声処理自体が禁止されている場合
  • 正確な逐語記録が必要な監査・証跡用途
  • AI要約だけでは判断根拠が不足する会議
  • エンドツーエンド暗号化が必須の会議

Microsoft 365 Copilotは、エンドツーエンド暗号化されたTeams会議では利用できません。(Microsoft Learn)

AI要約には省略や誤認識が含まれる可能性もあります。正式な議事録や契約上の証拠として使う場合は、必ず参加者が内容を確認してください。

更新・移行・料金・期限の確認ポイント

項目対応
設定Teams会議ポリシー、テナントのAI設定、会議オプションを確認
更新Teamsクライアントを最新状態にして対象指定リリースで検証
移行既存データの移行や過去会議の一括変換は案内されていない
料金機能単体の追加料金は未案内。Microsoft 365 Copilotライセンス費用を確認
期限強制移行期限は未案内。一般提供前の2026年8月までに運用を整理
保存OneDriveへの要約保存と既定120日の保持期間を確認

まず管理者は、Microsoft 365管理センターでMC1275312を確認し、対象ユーザーのライセンスとTeams会議ポリシーを棚卸ししてください。そのうえで、対象指定リリース環境で「主催者」「共同主催者」「発表者」「一般参加者」の4パターンをテストします。

文字起こしを残さずAI要約だけを活用できる点は便利ですが、要約データはOneDriveに残ります。一般提供前に、保存期間、アクセス権、削除方法、機密会議での利用可否を社内ルールへ明記することが、最も重要な準備です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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