Microsoft Teamsの会議録画が秘密度ラベルを自動継承|変更点と設定方法

Microsoft Teamsの「Sensitivity label inheritance for meeting recordings」は、秘密度ラベル付きの会議で作成した録画ファイルに、会議と同じ秘密度ラベルを自動適用する変更です。管理者がラベルポリシーで継承を有効にし、SharePointとOneDriveでMP4ファイルのラベル対応を有効化していることが前提になります。

これにより、利用者が録画後に毎回ラベルを付け直す負担を減らし、会議から録画、トランスクリプト、Copilotやエージェントによる情報利用まで、一貫したデータ保護を行いやすくなります。一般ユーザーは会議作成時のラベル選択、管理者はライセンス、MP4対応、ダウンロード制御、既存録画の扱いを確認してください。(Microsoft)

目次

Microsoft Teamsの会議録画で何が変わるのか

今回の変更では、秘密度ラベルが設定されたTeams会議を録画すると、その会議のラベルが録画のMP4ファイルにも自動継承されます。

たとえば「社外秘」というラベルが付いた会議を録画した場合、録画ファイルにも「社外秘」が適用されます。ラベルに暗号化やアクセス権限が設定されていれば、録画にもその制御が反映されます。

観点従来の運用上の課題今回の変更後
会議と録画の分類会議と録画ファイルのラベルを別々に確認する必要があった会議のラベルを録画が自動継承
ラベル適用のタイミング録画後の手動対応が必要になる場合があったOneDriveまたはSharePointへの保存時に適用
アクセス制御録画側の設定漏れが発生する可能性があったラベルの権限や暗号化を録画にも反映
Copilot・エージェント会議とトランスクリプトの秘密度が一致しない可能性があった会議の秘密度を踏まえた処理を一貫させやすい

これは録画内容を解析して適切なラベルを判断する機能ではありません。会議に付いているラベルを、そのまま録画へ引き継ぐ機能です。ラベルが設定されていない会議には継承元がないため、自動適用されません。(Microsoft Learn)

公開時期と対象環境

Microsoft 365 Roadmapの機能IDは「557178」です。2026年6月16日時点のロードマップ情報では、ステータスは「Launched」、リリースフェーズは「General Availability」、リリース時期は2026年6月とされています。

項目内容
Roadmap ID557178
機能名Sensitivity label inheritance for meeting recordings
最終更新日2026年6月16日
リリース時期2026年6月
対象クラウドWorldwide Standard Multi-Tenant
対象プラットフォームDesktop、Mac、Android、iOS

一方、Microsoft Purviewのドキュメントでは、関連する「Apply meeting label to artifacts」設定とMP4ラベル対応がプレビューとして案内されています。ロードマップ上の提供状況と、Purview側のドキュメント表記に差があるため、実運用へ展開する前に自社テナントで設定項目が表示されるか、実際に録画へラベルが付くかを確認するのが安全です。(Microsoft)

誰にどのような影響があるのか

会議の主催者

会議作成時に適切な秘密度ラベルを設定すれば、録画後にMP4ファイルを探してラベルを付け直す作業を減らせます。

ただし、誤ったラベルを会議に付けると、そのラベルが録画にも継承されます。「一般」「社内限定」「機密」など、どの会議でどのラベルを選ぶかを組織内で明確にしておく必要があります。

録画を閲覧・共有するユーザー

録画に暗号化を伴うラベルが付くと、権限を持つユーザーはTeams、SharePoint、Webブラウザー、Clipchampなどで再生できますが、ファイルをダウンロードできません。

暗号化を伴わないラベルであればダウンロードできます。ただし、Microsoftの説明では、ダウンロードしたMP4ファイルにラベル情報は保持されません。社外持ち出し後も保護を維持したい場合は、暗号化を伴うラベルや別のダウンロード制御を検討してください。(Microsoft Learn)

Microsoft 365管理者・コンプライアンス担当者

管理者には、次の確認が必要です。

  • 対象ユーザーに必要なTeams PremiumとMicrosoft Purviewのライセンスがあるか
  • 会議用の秘密度ラベルが正しく作成・公開されているか
  • ラベルポリシーで録画への継承が有効か
  • SharePointとOneDriveでMP4のラベル対応が有効か
  • 暗号化された録画の閲覧、共有、ダウンロード動作が業務要件に合っているか
  • 過去の録画を手動でラベル付けする必要があるか

管理者が行う設定手順

必要なライセンスを確認する

Teamsオンライン会議への秘密度ラベル適用は、対象となるMicrosoft Purview Information ProtectionのライセンスとTeams Premiumを組み合わせて利用する機能として案内されています。

Teams Premiumの機能は会議主催者を基準に判定されるものがあるため、少なくとも秘密度ラベル付き会議を開催する主催者へのライセンス割り当てを確認してください。具体的な対象SKUは契約形態によって異なるため、Microsoft 365管理センターや契約先のライセンス表で確認する必要があります。(Microsoft Learn)

会議用の秘密度ラベルを作成する

Microsoft Purviewポータルで秘密度ラベルを作成または編集し、スコープとして次の3項目を選択します。

  • Files & other data assets
  • Emails
  • Meetings

会議のスコープだけを単独で選ぶことはできません。会議は予定表、招待メール、添付ファイル、Teams会議、チャットなど複数の要素で構成されるため、3つのスコープが必要です。

続いて「Protect Teams meetings and chat」を有効にし、必要に応じて暗号化、録画可能なユーザー、自動録画、ロビー、コピーや転送の制限などを設定します。(Microsoft Learn)

ラベルを対象ユーザーへ公開する

作成したラベルを、会議の主催者と参加者が対象となる秘密度ラベルポリシーで公開します。

ラベルだけを作成しても、ユーザーへ公開されていなければTeamsの会議作成画面には表示されません。対象ユーザー、グループ、ラベルの優先順位も合わせて確認してください。

録画へのラベル継承を有効にする

秘密度ラベルの公開ポリシーで、Apply meeting label to artifactsを有効にします。

この設定により、会議の秘密度ラベルが次の生成物へ適用されます。

  • 会議録画と関連するトランスクリプト
  • Loop形式の会議メモ

ラベルは、生成物がSharePointまたはOneDriveへ保存されるタイミングで適用されます。(Microsoft Learn)

SharePointとOneDriveでMP4ラベル対応を有効にする

ポリシーを有効にしただけでは、MP4ファイルにラベルが付かない場合があります。SharePoint Online Management Shellを使用し、SharePointとOneDriveの秘密度ラベル対応、およびMP4動画のラベル対応を有効にします。

Set-SPOTenant -EnableAIPIntegration $true
Set-SPOTenant -EnableSensitivityLabelForVideoFiles $true

Microsoft 365 Multi-Geoを利用している場合は、各地域へ接続してMP4対応のコマンドを実行する必要があります。

暗号化を伴うMP4用ラベルでは、ユーザーが適用時に権限を指定する方式ではなく、管理者があらかじめ権限を設定する「Assign permissions now」を使用します。(Microsoft Learn)

テスト会議で動作を確認する

本番展開前に、少人数のテストユーザーで次の流れを確認します。

  1. 対象ラベルを付けた新しいTeams会議を作成する
  2. 会議を録画して終了する
  3. 録画が保存されるまで待つ
  4. OneDriveまたはSharePointで録画ファイルを開く
  5. 詳細ウィンドウで秘密度ラベルを確認する
  6. 権限を持つユーザーと持たないユーザーで再生を試す
  7. ダウンロード、共有、外部ユーザーのアクセスを確認する
  8. Copilotや会議の振り返り機能を利用している場合は、その動作も確認する

通常の会議録画は主催者のOneDrive、チャネル会議の録画はチャネルに対応するSharePointサイトへ保存されます。(Microsoft Learn)

導入前に確認したい注意点

会議のラベルを後から変更しても録画には連動しない

録画へラベルが継承された後に会議側のラベルを変更しても、すでに保存された録画のラベルは自動更新されません。

録画のラベルを変更する必要がある場合は、OneDriveまたはSharePointの詳細ウィンドウから手動で変更します。暗号化を伴うラベルを変更するには、対象ファイルに対する適切な権限が必要です。(Microsoft Learn)

既存の録画には自動で遡及適用されない

公式説明では、ラベルは録画がSharePointまたはOneDriveへ保存される時点で適用されます。そのため、機能を有効にする前に作成された既存録画が一括で自動ラベル付けされるとは考えない方が安全です。

既存録画にも保護が必要な場合は、対象ファイルを検索し、手動でラベルを適用する運用を検討してください。

暗号化ラベルではダウンロードできない

暗号化された録画をオフラインで視聴する業務や、動画編集ソフトへ取り込む業務がある場合、ダウンロード不可になると既存フローへ影響します。

「機密会議はダウンロード禁止」「研修録画はダウンロード可能」など、用途ごとにラベルを分けると運用しやすくなります。

秘密度ラベルと保持期限は別の設定

今回の変更は、録画の分類、暗号化、アクセス権限に関するものです。録画の保存期間や自動削除期限を変更する機能ではありません。

Teamsの録画有効期限、Microsoft Purviewの保持ポリシー、法的保持などは別途確認してください。録画ファイルを別の場所へ移動した場合、Teams側の有効期限設定が適用されなくなるケースもあります。(Microsoft Learn)

更新・移行・料金・期限の確認ポイント

確認項目判断のポイント
クライアント更新ロードマップに専用アプリへの強制更新は記載されていない。Teamsアプリと管理用PowerShellモジュールはサポート中の最新版を使用する
設定変更ラベルポリシーとSharePoint/OneDriveのMP4対応を有効にする
既存録画の移行自動的な一括移行や遡及適用は案内されていない。必要に応じて手動でラベルを付ける
追加料金この継承機能単体の追加料金は案内されていない。ただしTeams Premiumと対象Purviewライセンスの要件を確認する
対応期限管理者向けの強制対応期限は示されていない。2026年6月の段階的な提供状況をテナントごとに確認する
本番展開プレビュー表記が残る関連機能があるため、少人数で検証してから対象を広げる

管理者が今すぐ行うべきこと

最初に、秘密度ラベル付き会議を開催するユーザーのライセンスを確認します。次に、Microsoft Purviewで「Apply meeting label to artifacts」が利用できるかを確認し、SharePointとOneDriveのMP4ラベル対応を有効にしてください。

その後、新規のテスト会議を録画し、ラベル、再生権限、ダウンロード、外部共有が想定どおりに動くかを検証します。既存録画については、自動処理を期待せず、保護が必要なファイルを手動で再分類する計画を立てることが重要です。

一般ユーザーには、「録画後にラベルを選ぶ」のではなく、会議を作成する段階で正しい秘密度ラベルを選ぶよう周知してください。会議の入口で分類を正しく行うことが、録画やトランスクリプトを含めた一貫した情報保護につながります。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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