Windows 10 から Windows 11 へアップグレードしようとして、再起動後に「以前のバージョンの Windows を復元しています…」と表示されてロールバックしてしまう――そんな状態になると、何度試しても同じ結果になりがちです。本記事では、Windows 11 ISO を使った手動アップグレード手順を中心に、再起動後に失敗する主な原因とログを使った原因特定方法、最終手段としてのクリーンインストールまで、実務目線で詳しく解説します。
アップグレードが再起動後に失敗してロールバックする現象とは
Windows 10(最新の更新プログラム適用済み)から Windows 11 へのアップグレードを実行すると、多くのケースでは次のような流れで失敗します。
- Windows Update やインストール アシスタント、ISO の
setup.exeからアップグレードを開始する - 準備段階は問題なく進み、再起動が要求される
- 再起動後、「更新プログラムを構成しています」「この処理にはしばらく時間がかかります」などの画面が表示される
- 途中で進捗が止まり、「以前のバージョンの Windows を復元しています」画面が表示される
- 再び Windows 10 が起動し、Windows Update の履歴には「インストールに失敗しました」とだけ記録される
このとき、多くの環境で 0xC1900101 などのエラーコードが内部ログに記録されます。0xC1900101 は「ドライバー/サービスの問題などによりアップグレードがロールバックされた」ことを示す汎用的なコードで、特定の原因をピンポイントで示してくれるわけではありません。
そのため、DISM や SFC でシステムファイルの整合性をチェックしても、「問題なし」と判定されながらアップグレードだけ失敗し続ける、という状況に陥りやすくなります。とはいえ、ほとんどのケースでは、原因を切り分けつつ正しい手順で再実行することでアップグレードを成功させることが可能です。
成功率が高いのは「Windows 11 ISO からのオフライン手動アップグレード」
Windows 11 へのアップグレード方法はいくつかありますが、安定性・再現性の観点からもっとも成功率が高いのは、Microsoft 公式サイトからダウンロードした Windows 11 ISO を使ったオフラインの手動アップグレードです。
Windows 11 ISO を使うメリット
- セットアップに必要なファイルが ISO 内で完結するため、途中で Windows Update から追加の更新プログラムを取りに行かずに済み、エラー要因が減る
- インターネットから切り離した状態でアップグレードできるので、ドライバーやアプリの自動更新が途中で走りにくい
- Windows 10 上で 「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」インプレースアップグレードができるため、環境をほぼそのまま Windows 11 に持ち越しやすい
- 同じ ISO を使って クリーンインストール用 USB メディアも作成できるので、最終手段にも流用できる
特に、再起動後の段階でロールバックが発生するケースでは、ドライバーやセキュリティソフトなど「OS の根幹に近い部分」が影響していることが多いため、できるだけシンプルな構成にしてセットアップを実行することが重要です。
事前に確認しておきたい要件
ISO を使った手動アップグレードを行う前に、次の条件を満たしているか確認しておきましょう。
| 項目 | 最低条件の目安 | 推奨 |
|---|---|---|
| CPU | Windows 11 対応 CPU(対応一覧に含まれる 64bit CPU) | 第 8 世代以降の Intel / Zen 2 以降の AMD など、余力のある CPU |
| メモリ | 4 GB 以上 | 8 GB 以上(複数アプリを常用するなら 16 GB 以上) |
| ストレージ空き容量 | C ドライブに 40 GB 以上の空き | 50~60 GB 以上の空きを確保するとより安全 |
| ファームウェア | UEFI、Secure Boot 対応 | UEFI モードでインストール済み、Secure Boot を有効化済み |
| TPM | TPM 2.0 が有効 | メーカー推奨設定で TPM 2.0 / fTPM を有効化 |
| OS ビルド | Windows 10 の最新更新プログラムを適用済み | 直近の累積更新プログラムまで反映 |
| 電源 | AC アダプタ接続(ノート PC) | UPS 利用など、途中で電源が落ちない環境 |
また、ダウンロードする ISO は現在の Windows 10 の表示言語と同じものを選ぶことが重要です。OS の表示言語が日本語であれば、日本語の Windows 11 ISO を選択します。言語が異なると、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」選択肢がグレーアウトすることがあります。
Windows 11 ISO を使った手動アップグレード手順
ここからは、ISO を使ってアップグレードする具体的な手順を詳しく解説します。作業時間は環境にもよりますが、ダウンロード時間を除けば 1~2 時間程度を見込んでおくとよいでしょう。
事前準備:バックアップとディスクの整理
- 重要なデータのバックアップ
外付け HDD やクラウドストレージなどに、少なくとも次のデータは退避しておきます。- ドキュメント、デスクトップ、ピクチャなどユーザーフォルダー内の重要ファイル
- 業務アプリケーションの設定ファイルやテンプレート
- ブラウザのお気に入り、メールデータ(必要な場合)
- C ドライブの空き容量を 40 GB 以上確保
設定 > システム > 記憶域から不要な一時ファイルをクリーンアップ- 長期間使用していない大容量アプリをアンインストール
- 動画ファイルなどは別のドライブや外付けディスクに移動
Windows 11 ISO のダウンロード
- Microsoft の公式ダウンロードページから 「Windows 11 ディスク イメージ (ISO)」 を選択します。
- エディションは通常 「Windows 11」 を選択します(Home / Pro はプロダクトキーで判別されます)。
- 使用している Windows 10 の表示言語と同じ言語を選択します(日本語環境であれば「日本語」)。
- 64 ビット版のみ提供されているため、そのままダウンロードします。
- ダウンロードが完了したら、必要に応じてファイルサイズを確認し、途中で中断されていないことをチェックします。
ISO ファイルは C ドライブ直下や、十分な空き容量のある別ドライブに保存しておくと良いでしょう。
アップグレード前の環境調整(成功率を上げるコツ)
- インターネット接続を切断
ISO のダウンロードが終わったら、LAN ケーブルを抜くか、Wi-Fi をオフにしてインターネット接続を切ります。
これにより、アップグレード中に Windows Update が追加の更新プログラムやドライバーを勝手に取得することを防ぎ、トラブル要因を減らせます。 - マウスとキーボード以外の外付けデバイスを取り外す
次のような周辺機器は、アップグレード実行前に取り外してください。- 外付け HDD / SSD、USB メモリ
- プリンター、スキャナー
- ゲームコントローラー、ペンタブレット
- キャプチャーボード、オーディオインターフェイス
- サードパーティ製ウイルス対策ソフトのリアルタイム保護を一時停止
常駐型のセキュリティソフトが、セットアップ中のファイル展開やシステムファイル書き換えをブロックしてしまうことがあります。
ベンダーの手順に従って、リアルタイム保護を一時的に停止しておきましょう。
アンインストールまで行うと再設定が大変になるため、まずは一時停止から試すのがおすすめです。
ISO をマウントしてセットアップを開始
- エクスプローラーでダウンロードした ISO ファイルを右クリックし、「マウント」を選択するか、ダブルクリックします。
- 仮想 DVD ドライブとしてマウントされるので、そのドライブを開き、
setup.exeを実行します。 - ユーザーアカウント制御(UAC)が表示されたら「はい」を選択します。
- 「Windows 11 のインストールへようこそ」画面で言語・エディションが正しいことを確認します。
- 「次へ」をクリックし、「今は実行しない(更新プログラムをダウンロードせずに続行)」を選択します。
すでに最新ビルドの ISO を使用しているため、アップグレード時に追加の更新プログラムを取得する必要はありません。
「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を必ず選択
- ライセンス条項に同意すると、「引き継ぐものを選んでください」画面が表示されます。
- ここで 「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」 を選択します。
- このオプションを選ぶことで、既存のアプリや設定、ユーザーデータを残したまま Windows 11 へアップグレードできます。
- 別のオプション(ファイルのみ、何も引き継がない)を選ぶと、事実上クリーンインストールに近い状態になり、復元が難しくなります。
- もしこの選択肢がグレーアウトしている場合は、次の可能性があります。
- Windows 10 と ISO の言語が一致していない
- エディション(Home / Pro)が一致していない
- ディスクレイアウトや暗号化の構成が特殊(企業環境など)
- 最終確認画面で「インストール」をクリックすると、アップグレード処理が開始され、数回再起動を繰り返します。
この手順で多くの環境では問題なく Windows 11 へのアップグレードが完了します。それでも再起動後にロールバックしてしまう場合は、次に紹介する原因ごとの対策を検討します。
再起動後にロールバックされる主な原因と追加対策
再起動後にロールバックする原因は様々ですが、実際の問い合わせやログ解析事例から、特に頻度の高いものを表にまとめると次のようになります。
| 主な原因 | よくある症状 | 確認ポイント | 主な対処 |
|---|---|---|---|
| ディスク容量不足 | 進捗 20~70% 付近で止まりロールバック | C ドライブ空き容量が 20 GB 台しかない | 40 GB 以上の空きを確保し、再試行 |
| ISO 言語・エディション不一致 | 「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」が選べない | 表示言語・エディション・アーキテクチャが一致しているか | 現在の Windows と同じ言語・エディションの ISO を取得し直す |
| 外部デバイス / ドライバーの競合 | 0xC1900101 系のエラー、再起動後に失敗 | USB 機器や古いドライバーが多数接続されていないか | 不要な周辺機器をすべて外し、主要ドライバーを最新化 |
| セキュリティソフトの干渉 | 進捗 30~40% 付近で止まる、ブルースクリーン | サードパーティ製 AV / EDR が常駐していないか | リアルタイム保護を一時停止し、必要ならクリーンブートで実行 |
| 不整合なシステムファイル | DISM / SFC は一部エラー、Windows Update も不安定 | イベントログや setuperr.log にエラーが記録 | DISM・SFC に加え、Windows Update トラブルシューティングも実行 |
| TPM / Secure Boot 無効 | 「この PC は現在 Windows 11 のシステム要件を満たしていません」など | TPM 管理ツールや UEFI 設定画面で状態を確認 | BIOS/UEFI で TPM 2.0 / Secure Boot を有効化 |
ディスク容量不足への対処
Windows 11 へのアップグレードでは、一時ファイルと旧バージョンのバックアップ(Windows.old)を確保するために、想像以上にディスク容量を消費します。空きが 20 GB 程度しかない場合、途中で容量不足となりロールバックされるケースが少なくありません。
次のポイントを確認しましょう。
設定 > システム > 記憶域で「一時ファイル」を削除する- ダウンロードフォルダーに古いインストーラーやアーカイブファイルが大量に残っていないか確認する
- 使っていないゲームや大容量アプリケーションをアンインストールする
- 動画・写真・ISO などの大容量ファイルを別ドライブや外付けストレージへ移動する
空き容量がギリギリの場合は、アップグレード後しばらくしてから Windows.old を削除する前提で、より多めに空きを確保しておくと安心です。
ISO 言語ミスマッチ・エディション不一致
Windows 10 の表示言語と ISO の言語、または Home / Pro などのエディションが一致していないと、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」オプションが選択できず、結果的にクリーンインストールに近い動作となってしまう場合があります。
設定 > 時刻と言語 > 言語と地域から「Windows の表示言語」を確認- ISO ダウンロード時に選択する言語が、それと一致していることを確認
- 現在のエディション(Home / Pro)は
設定 > システム > バージョン情報から確認
もし誤った言語やエディションの ISO を使用していた場合は、正しい ISO を取り直してからアップグレードをやり直してみてください。
外部デバイス・ドライバーの競合
0xC1900101 系のエラーは、ほとんどの場合で「ドライバー」に起因します。古いストレージドライバーやチップセットドライバー、USB デバイスのドライバーなどが原因で、再起動後のセットアップフェーズでクラッシュし、ロールバックが発生します。
対策としては次のようなものがあります。
- マウスとキーボード、ディスプレイ以外の USB 機器はすべて抜く
- PC/マザーボードメーカーのサイトから、チップセット・ストレージ・LAN・グラフィックドライバーの最新バージョンを適用しておく
- 仮想ドライブソフトや特殊な USB デバイスドライバー(古いカードリーダーやドングルなど)がある場合は、一時的にアンインストールを検討する
企業環境では、独自の VPN クライアントやセキュリティソフトがドライバーをインストールしている場合も多く、これらが原因になることもあります。その場合は、情報システム部門に相談し、クリーンブートや一時的なアンインストールを検討してください。
セキュリティソフトによる干渉
サードパーティ製のウイルス対策ソフトやエンドポイントセキュリティ製品は、カーネルレベルで動作するドライバーやフィルタリング機能を持っていることが多く、アップグレード中のシステムファイル書き換えをブロックしてしまう場合があります。
まずは次のような対処を行います。
- 製品の設定画面から リアルタイム保護を一時的に停止する
- 常駐アイコン(タスクトレイ)から終了できる場合は終了する
- 可能であれば Windows を クリーンブート(非 Microsoft サービスをすべて無効化)してからアップグレードを試す
それでもうまくいかない場合は、一時的にセキュリティソフトをアンインストールし、アップグレード完了後に再インストールする方法もあります。ただし、企業管理下の PC ではポリシー違反になる可能性があるため、必ず管理者に確認してください。
不整合なシステムファイルと Windows Update の問題
DISM(dism /online /cleanup-image /restorehealth)や SFC(sfc /scannow)を実行しても問題が見つからない場合でも、Windows Update コンポーネント側に不整合が残っていることがあります。その場合、次のような順番で対処すると改善することがあります。
- DISM と SFC を管理者権限のコマンドプロンプトで実行し、エラーがないか確認
設定 > システム > トラブルシューティング > その他のトラブルシューティングツールから Windows Update トラブルシューティング ツール を実行- PC を再起動してから、改めて ISO からオフラインアップグレードを実行
Windows Update 絡みの不整合が原因の場合、この手順で改善し、再起動後のロールバックが発生しなくなるケースが多く見られます。
それでも失敗するときのチェックリスト
ここまでの対策を実施してもアップグレードが失敗する場合、次の項目を重点的にチェックします。
- TPM 2.0 / Secure Boot が有効になっているか
Windows + Rキーで「tpm.msc」を起動し、TPM の状態を確認- BIOS/UEFI 設定画面で「TPM」「Intel PTT」「AMD fTPM」などの項目が有効になっているか確認
- Secure Boot が「Enabled」になっているか確認
- ストレージ構成が特殊になっていないか
- RAID 構成や古い Intel RST ドライバーを使用していないか
- システム予約パーティションが極端に小さくなっていないか
- 暗号化やセキュリティ製品が BitLocker などと競合していないか
- BitLocker を使用している場合は、事前に保護を一時停止してからアップグレードする
- 他社製のディスク暗号化ソフトが導入されている場合は、アップグレード前にベンダーの手順を確認する
- クリーンブートで実行しても再現するか
msconfigで非 Microsoft サービスをすべて無効化し、スタートアップも最小限にしてから再試行
セットアップログと SetupDiag で原因を絞り込む
アップグレードが失敗した場合、Windows は詳細なログを C:\$WINDOWS.~BT\Sources\Panther などに保存しています。ここにある setuperr.log と setupact.log を確認することで、失敗したフェーズや関連するエラーコードを特定できます。
主なログファイルと保存場所
| ログファイル | パス | 役割 |
|---|---|---|
| setuperr.log | C:\$WINDOWS.~BT\Sources\Panther\setuperr.log | セットアップ中に発生したエラー情報を記録 |
| setupact.log | C:\$WINDOWS.~BT\Sources\Panther\setupact.log | セットアップ全体の詳細な進行状況を記録 |
| Rollback ログ | C:\$WINDOWS.~BT\Sources\Rollback 以下 | ロールバック発生時の情報や原因となったイベントを記録 |
| SetupDiagResults | C:\Windows\Logs\SetupDiag\SetupDiagResults.xml など | SetupDiag による自動解析結果 |
これらのログファイルは通常隠しフォルダー内にあるため、エクスプローラーの表示オプションで「隠しファイル」「保護されたオペレーティングシステムファイル」を表示する設定に変更してからアクセスします。
代表的なエラーコードと概要
ログに記録されやすい代表的なエラーコードと概要は次の通りです。
| エラーコード | 概要 | 主な原因の例 |
|---|---|---|
| 0xC1900101 | 汎用的なロールバックコード | デバイスドライバーの不整合、古いドライバー、周辺機器の問題など |
| 0xC1900101 – 0x20017 / 0x30018 / 0x40017 | 特定フェーズでの 0xC1900101 エラー | SAFE_OS / FIRST_BOOT / SECOND_BOOT フェーズのドライバーまたはサービスの問題 |
| 0x8007001F | デバイス I/O などの一般的なエラー | オーディオドライバーやストレージドライバーの不具合、システムファイル破損 |
| 0x800F0922 | パーティションや更新プログラム適用時の失敗 | システム予約パーティションの空き不足、ネットワーク関連の問題 |
| 0xC1900208 | 互換性のないアプリケーションが存在 | 古いセキュリティソフトやドライバー関連ソフトがインストールされたまま |
特に 0xC1900101 系のエラーは「ドライバー起因」であることが多いため、周辺機器の取り外し、ドライバー更新、クリーンブートなどの対策が有効です。
SetupDiag を使って自動解析する
Microsoft が提供している SetupDiag は、Windows セットアップログを解析して失敗原因を自動的に特定してくれるツールです。最近の Windows 10 / 11 では、アップグレード時に自動で SetupDiag が実行されるようになっており、結果はログとして保存されています。
手動で SetupDiag を利用する場合の概略は次の通りです。
- アップグレードが失敗した PC 上で、
C:\$WINDOWS.~BT\SourcesフォルダーにSetupDiag.exeが存在するか確認します。 - 存在しない場合は、Microsoft の公式ページから最新の SetupDiag をダウンロードし、任意のフォルダーに保存します。
- 管理者権限のコマンドプロンプトまたは PowerShell を開き、SetupDiag を保存したフォルダーに移動して
SetupDiag.exeを実行します。 - 解析が完了すると、
C:\Windows\Logs\SetupDiag配下に結果が保存されます。 SetupDiagResults.logまたはSetupDiagResults.xmlをメモ帳などで開き、「Result:」や「Error:」を検索します。
たとえば、「Result: SetupDiag reports rollback failure found. Last error: 0xC1900101 - 0x30018」のようなメッセージがあれば、「SAFE_OS フェーズでドライバー関連の問題が発生し、ロールバックした」といったように原因を絞り込むことができます。
どうしてもアップグレードできない場合はクリーンインストールも検討
ここまでの対策を行い、ログや SetupDiag で原因を追い込んでもアップグレードがどうしても成功しない場合、最終手段として クリーンインストール を検討することになります。クリーンインストールは、システムパーティションを初期化して Windows 11 を新規インストールする方法で、古いドライバーや不整合な設定を一掃できる反面、アプリケーションの再インストールが必要になるという大きな負担があります。
クリーンインストールを検討すべきケース
- インプレースアップグレードを 2~3 回試しても、同じエラーでロールバックする
- Windows 10 自体の動作も不安定で、頻繁にブルースクリーンやフリーズが発生している
- 過去のアップグレード履歴やログが複雑で、残骸が多く、トラブルシューティングにかける時間より再構築のほうが合理的な場合
インストールメディアの作成とクリーンインストールの流れ
- インストール USB メディアの作成
Microsoft 公式サイトからメディア作成ツールをダウンロードし、8 GB 以上の USB メモリに Windows 11 のインストールメディアを作成します(ISO を既に持っている場合は、それを使って Rufus などで作成することも可能です)。 - フルバックアップの取得
ユーザーデータだけでなく、可能であればシステム全体のイメージバックアップを取得しておきます。万一のトラブル時に元の環境へ戻せる保険になります。 - BIOS/UEFI のブート順を変更して USB から起動
PC を再起動し、起動時に F2 / Del / F12 などのキーで BIOS/UEFI 画面を開き、USB デバイスから起動するように設定します。 - インストール先ドライブの選択
既存の C ドライブを含むパーティション構成を確認し、必要に応じてシステムパーティションを削除・再作成してクリーンな状態にしてから Windows 11 をインストールします。 - インストール後のドライバー・アプリ再構築
Windows 11 の初期セットアップが完了したら、PC/マザーボードメーカーのサイトからドライバーを入れ、業務アプリやツールを再インストールしていきます。
クリーンインストールは手間がかかりますが、長年の運用で蓄積された問題を一掃し、より安定した Windows 11 環境を構築できるメリットもあります。
企業・組織環境での注意点
ドメイン参加している PC や、Intune / Configuration Manager(SCCM)などで管理されている PC では、個人 PC とは事情が大きく異なります。次の点には特に注意してください。
- 勝手な手動アップグレードはポリシー違反になる可能性
組織によっては、OS バージョンや更新タイミングが厳格に管理されています。ISO を用いた手動アップグレードは、許可された手順に含まれていない場合があります。 - セキュリティ製品・VPN クライアント・管理エージェントが原因になることも
組織独自のセキュリティ対策ソフトや VPN クライアントがドライバーやフィルターをインストールしており、それがアップグレードの妨げになるケースもあります。この場合、情報システム部門で検証済みのバージョンへの更新や、一時的なアンインストールが必要になることがあります。 - BitLocker / デバイス暗号化の扱い
BitLocker が有効な場合、回復キーの管理を誤ると復旧できなくなるリスクがあります。必ず組織のルールに従い、必要な手順を確認したうえで作業してください。
企業 PC で同様のエラーに悩んでいる場合は、本記事で紹介した「ISO を使ったオフラインアップグレード」や「SetupDiag でのログ解析」といった観点を踏まえつつ、必ず情報システム部門に相談し、公式な手順として組み込んでもらうことをおすすめします。
まとめ:ISO からのオフラインアップグレードで失敗率を下げよう
Windows 10 から Windows 11 へのアップグレードが再起動後に失敗し、ロールバックを繰り返す場合でも、多くのケースは次のポイントを押さえることで解消できます。
- Windows 11 ISO を使った オフラインのインプレースアップグレードを試す
- C ドライブの空き容量を 40 GB 以上に増やし、不要なファイルやアプリを整理する
- OS の表示言語と同じ言語の ISO を使用し、「個人用ファイルとアプリを引き継ぐ」を選択する
- 外付けデバイスを外し、ドライバーを最新化し、セキュリティソフトのリアルタイム保護を一時停止してから実行する
- TPM 2.0 / Secure Boot の有効化や Windows Update のトラブルシューティングも併せて行う
- 失敗時は
setuperr.logや SetupDiag の結果からエラーコードを確認し、原因を絞り込む
それでも解決しない場合は、クリーンインストールという選択肢も視野に入れつつ、バックアップと準備をしっかり行ったうえで次の一歩を踏み出してください。適切な手順と事前準備さえしておけば、かなりの確率で Windows 11 への移行を完了させることができます。

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