Windows 11のClassic Audio HFP通話問題を改善|Build 28000.2605の対象と注意点

Bluetoothヘッドセットで通話すると、音声が途切れる、マイクが突然使えなくなる、接続しているのに相手へ声が届かない。このような問題に対し、Microsoftは2026年7月20日公開のWindows 11 version 26H1 Release Preview、OS Build 28000.2605で、Classic Audio機器をHands-Free Profile(HFP)で使用した音声通話の信頼性を改善したと案内しています。

ただし、これはRelease Preview向けの段階展開情報です。2026年7月23日時点では、通常版のWindows 11へ広く一般提供された改善とは断定できません。また、対象は通話時の「信頼性」であり、HFP特有のモノラル音声や音質低下を解消する更新ではありません。(Microsoft Learn)

目次

Classic Audio HFP音声通話の信頼性をBuild 28000.2605で改善

Microsoftのリリースノートには、Windows 11 version 26H1のRelease Preview Build 28000.2605について、Classic Audio機器をHFPで使用した音声通話のBluetooth信頼性を改善すると記載されています。

今回の情報を整理すると、次のようになります。

項目内容
公開日2026年7月20日
対象OSWindows 11 version 26H1
配信チャネルWindows Insider ProgramのRelease Preview
OSビルド28000.2605
対象機能Bluetooth Classic AudioのHFP音声通話
改善内容音声通話時のBluetooth信頼性向上
配信方式段階的なロールアウト
一般提供状況通常版へ広く提供済みとは断定できない

リリースノートで使われている表現は「信頼性を改善する」というものです。具体的な不具合の原因、対象となるBluetoothチップ、ヘッドセットの機種、発生条件までは公表されていません。

したがって、「すべてのBluetooth通話問題が完全に修正された」と解釈するのではなく、HFP接続を利用する通話の安定性を高める変更が入ったと捉えるのが適切です。(Microsoft Learn)

Classic AudioとHFPとは何か

Bluetooth Classic Audioでは、主にA2DPとHFPという2種類のプロファイルが使われます。

プロファイル主な用途再生マイク
A2DP音楽や動画の再生ステレオ使用不可
HFPWeb会議や音声通話モノラル使用可能

A2DPは高音質なステレオ再生に向いていますが、Bluetoothヘッドセットのマイクを同時に利用できません。

一方、HFPはヘッドセットのマイクとスピーカーを同時に利用できます。そのため、Teams、Zoom、Web会議、ボイスチャットなどでBluetoothヘッドセットのマイクを選択すると、Windowsは原則としてHFPへ切り替えます。

Windows 11ではA2DPとHFPの入出力が統合されており、アプリがBluetoothヘッドセットのマイクを開くと、自動的にHFPが選択されます。HFPではマイク入力と音声出力がともにモノラルとなり、8kHzまたは16kHzの通話向け音声が使われます。(Microsoft Learn)

通話中に音質が下がるのは今回の改善対象とは限らない

Bluetoothヘッドセットで音楽を聴いている途中にWeb会議へ参加すると、音が急にこもったように聞こえることがあります。

これは、A2DPのステレオ再生から、マイクを使用できるHFPのモノラル再生へ切り替わるためです。HFPの仕様による変化であり、必ずしもWindowsの不具合ではありません。

Build 28000.2605で案内されているのは、次のような違いです。

現象今回の改善との関係
通話中に音声が途切れる改善対象となる可能性がある
マイクが途中で使えなくなる改善対象となる可能性がある
通話開始時に音声接続が安定しない改善対象となる可能性がある
Bluetooth接続が不安定になるHFP通話中であれば関連する可能性がある
通話中の音声がモノラルになるHFPの仕様であり、今回の改善だけでは変わらない
マイク使用中に音楽の音質が下がるHFPへの切り替えによる通常動作
ノイズキャンセリング性能が低いヘッドセット側の仕様や設定も関係する
特定アプリだけマイクを認識しないアプリのデバイス設定も確認が必要

Microsoftは具体的な症状を列挙していないため、「改善対象となる可能性がある」現象についても、すべて解消されるとは限りません。

一般提供済みとは断定できない理由

Build 28000.2605のHFP改善については、次の3点を区別する必要があります。

Release Preview向けの情報である

Microsoftの公式ブログでは、Build 28000.2605を「Release Preview 26H1」として案内しています。

Release Previewは正式提供に比較的近い変更を事前検証するチャネルですが、通常の製品版と同じ扱いではありません。一般利用者のWindows Updateに同じ改善が配信済みであることを示す情報ではありません。(Windows Blog)

段階的に展開される改善である

HFP通話の信頼性改善は、Build 28000.2605のリリースノート内で「Gradual rollout」に分類されています。

段階展開では、同じビルドを使用していても、機能や改善の利用可能時期が端末によって異なる場合があります。そのため、Build 28000.2605をインストールした直後に、すべての対象端末で同じ変化が現れるとは限りません。(Microsoft Learn)

Windows 11 version 26H1は対象端末が限定されている

Microsoftによると、Windows 11 version 26H1は、2026年に登場する一部の新しいシリコンを搭載した新規デバイス向けです。

Windows 11 version 24H2や25H2を使用している既存PCには、Windows Updateを通じた26H1へのアップグレードは提供されず、既存OSからのインプレースアップグレードもできないと案内されています。(Microsoft サポート)

つまり、次の2点は分けて考える必要があります。

  • Windows 11 version 26H1そのものは、一部の対応新規端末で提供されている
  • Build 28000.2605のHFP改善は、26H1のRelease Preview向け情報である

24H2や25H2を利用しているPCに、Build 28000.2605を探して手動適用するものではありません。

自分のPCが対象か確認する方法

WindowsのバージョンとOSビルドを確認する

最も簡単なのは、winverコマンドを使う方法です。

  1. WindowsキーとRキーを同時に押します。
  2. 「ファイル名を指定して実行」にwinverと入力します。
  3. 「OK」を選択します。
  4. 表示されたバージョンとOSビルドを確認します。

今回の直接的な対象は、次の環境です。

バージョン:26H1
OSビルド:28000.2605
チャネル:Release Preview

Windowsのバージョンは、次の画面からも確認できます。

設定
→ システム
→ バージョン情報
→ Windowsの仕様

Microsoftも、Windowsのバージョン確認方法として「設定」のバージョン情報画面とwinverを案内しています。(Microsoft サポート)

Windows Insiderのチャネルを確認する

Release Previewを使用しているかは、次の画面で確認します。

設定
→ Windows Update
→ Windows Insider Program

「Insiderの設定を選択する」などの項目にRelease Previewと表示されていれば、対象チャネルに参加しています。(Microsoft サポート)

環境別の判断基準

現在の環境判断と対応
26H1 Release Preview、Build 28000.2605改善を検証できる対象環境
26H1 Release Preview、28000.2605未満Windows Updateを確認する
26H1の通常提供ビルドRelease Previewの改善が適用済みとは断定しない
24H2または25H2今回の発表の直接対象外
会社の業務用PC改善目的だけでInsiderへ参加しない
LE Audio対応機器をLE Audioで使用Classic Audio HFPの改善とは分けて判断する

HFP通話の改善を確認するテスト手順

アップデートの効果を確認するときは、「なんとなく良くなった」ではなく、更新前後で同じ条件を再現することが重要です。

更新前の状態を記録する

最低限、次の情報を記録します。

  • WindowsのバージョンとOSビルド
  • Bluetoothヘッドセットの製品名
  • Bluetoothアダプターの製造元とドライバーバージョン
  • ヘッドセットのファームウェアバージョン
  • 問題が発生する通話アプリ
  • 発生する症状
  • 発生までのおおよその時間
  • スリープ復帰後だけ発生するか
  • スマートフォンとのマルチポイント接続を使用しているか

たとえば、「Teamsで15分ほど通話すると、相手側だけこちらの音声が聞こえなくなる」のように記録します。

Windowsのマイクテストを実行する

Windows 11には、マイク音声を録音して再生するテスト機能があります。

設定
→ システム
→ サウンド
→ 入力
→ Bluetoothヘッドセットのマイク
→ テストの開始

30秒程度話した後にテストを停止し、録音サンプルを再生します。音声の欠落、極端な音量変化、途中で無音になる現象がないか確認してください。(Microsoft サポート)

実際の通話アプリで再現テストする

Windowsのマイクテストだけでは、HFPによる双方向通信を十分に確認できません。実際に使用している通話アプリでもテストします。

実務上は、次の項目を確認すると判断しやすくなります。

確認項目テスト方法確認ポイント
通話開始テスト通話を3回繰り返す毎回すぐに送受話できるか
マイクの継続性10~20分程度通話する途中で無音にならないか
ミュート操作ミュートと解除を数回繰り返す解除後に音声が戻るか
再接続ヘッドセットの電源を切って再接続する入出力が自動復帰するか
スリープ復帰PCをスリープさせて復帰後に通話するHFP接続が確立するか
アプリ再起動通話アプリを終了して起動し直す正しいマイクが選ばれるか
長時間通話可能なら30分以上通話する切断や音切れが増えないか

Wi-Fi環境、PCの設置場所、ヘッドセットとの距離を変えると比較できなくなるため、更新前後はできるだけ同じ条件でテストします。

Build 28000.2605でも改善しない場合の確認項目

HFPの信頼性改善が適用されても、Bluetooth通話の問題がすべてWindows本体に起因するとは限りません。

Windowsと通話アプリで同じマイクを選択する

Windows側でBluetoothヘッドセットを選択していても、TeamsやZoomなどのアプリ内では別のマイクが選ばれていることがあります。

次の両方を確認してください。

Windows:
設定 → システム → サウンド → 入力
通話アプリ:
設定 → オーディオまたはデバイス → マイク

PC内蔵マイクとBluetoothヘッドセットのマイクを取り違えると、相手に声が届かない、距離によって音量が変わるといった症状が発生します。

マイクのアクセス許可を確認する

次の画面を開きます。

設定
→ プライバシーとセキュリティ
→ マイク

「マイクへのアクセス」と、必要なアプリまたはデスクトップアプリのアクセスが有効になっているか確認します。

Bluetooth機器を再登録する

設定やペアリング情報が不整合を起こしている場合は、次の順番で再登録します。

  1. 通話アプリを終了します。
  2. 「設定」からBluetoothヘッドセットを削除します。
  3. PCを再起動します。
  4. ヘッドセットをペアリングモードにします。
  5. Windowsから再度追加します。
  6. Windowsのマイクテストを実行します。
  7. 通話アプリで入出力デバイスを選び直します。

Bluetoothドライバーとファームウェアを更新する

Windows Updateだけでなく、PCメーカーが提供するBluetoothドライバーも確認します。

特にノートPCでは、Intel、Qualcomm、MediaTekなどの汎用ドライバーを直接入れるより、PCメーカーが検証したドライバーを優先した方が安全な場合があります。

ヘッドセットについても、メーカーアプリからファームウェアを確認してください。Windows側の改善とヘッドセット側の修正が組み合わさって、問題が解消することがあります。

マルチポイント接続を一時的に解除する

BluetoothヘッドセットをPCとスマートフォンへ同時接続している場合は、スマートフォン側のBluetoothを一時的にオフにしてテストします。

他の端末から着信や通知が入ったときだけ問題が起きる場合、WindowsのHFPだけでなく、ヘッドセット側のマルチポイント切り替えが関係している可能性があります。

トラブルシューティングを実行する

Windows 11では、「問い合わせ」アプリなどからBluetoothや録音オーディオのトラブルシューティングを実行できます。

また、次の画面から入力デバイスの問題を確認できます。

設定
→ システム
→ サウンド
→ 詳細設定
→ 一般的なサウンドの問題のトラブルシューティング

Microsoftも、マイクが正常に動作しない場合の対処として、入力デバイスの選択、マイクテスト、録音オーディオのトラブルシューティング、ドライバーの再インストールや更新を案内しています。(Microsoft サポート)

Hands-Free Telephonyを無効にする対処には注意する

Bluetooth音質の改善策として、「Hands-Free Telephonyを無効にする」という方法が紹介されることがあります。

この設定を無効にすると、HFPを使わずA2DPのステレオ再生を維持できる場合があります。しかし、HFPはBluetoothヘッドセットのマイクを使うために必要なプロファイルです。

そのため、Hands-Free Telephonyを無効にすると、次の状態になる可能性があります。

  • 音楽の再生品質は改善する
  • Bluetoothヘッドセットのマイクが利用できなくなる
  • Web会議ではPC内蔵マイクなどを別途選ぶ必要がある
  • ヘッドセット単体での音声通話が成立しなくなる

通話の信頼性を改善したい場合、HFPそのものを無効化する方法は根本解決になりません。音楽再生を優先し、マイクにはPC内蔵マイクやUSBマイクを使う構成に変更するときの選択肢と考えてください。(Microsoft Learn)

企業や組織ではRelease Previewを本番展開しない

業務用PCでBluetooth通話問題が発生していても、Build 28000.2605を使うためだけに、多数の本番端末をWindows Insider Programへ参加させることは推奨できません。

Windows Insiderビルドは、通常の製品ビルドより不安定になる可能性があります。Microsoftも、Insiderビルドは製品版より安定性が低く、通常の製品ビルドとは異なると案内しています。(Microsoft サポート)

組織で検証する場合は、次のように進めます。

  1. 対応するWindows 11 version 26H1端末を1~3台選定します。
  2. 本番利用者とは分けた検証端末でRelease Previewを適用します。
  3. 問題が起きるヘッドセットと通話アプリを固定します。
  4. 更新前後で同じテストを実施します。
  5. Bluetoothドライバーのバージョンも記録します。
  6. 改善と新たな不具合の両方を確認します。
  7. 通常チャネルのリリースノートが公開されるまで全社展開を待ちます。

24H2や25H2の端末については、同じ修正が将来提供されると決めつけず、それぞれのバージョンの更新履歴を確認する必要があります。

現時点で取るべき対応

Microsoftは、Windows 11 version 26H1 Release Preview Build 28000.2605で、Classic Audio HFPを使った音声通話の信頼性を改善したと案内しています。

ただし、押さえておくべき点は次のとおりです。

  • 対象はWindows 11 version 26H1のRelease Preview
  • 改善は段階的に展開される
  • 一般提供版へ広く配信済みとは断定できない
  • HFP通話の信頼性改善であり、モノラル音声や音質低下を解消するものではない
  • Windows 11 version 24H2や25H2は今回の発表の直接対象ではない
  • 本番PCを改善目的だけでInsiderへ参加させるべきではない

26H1 Release Previewを使用している場合は、winverでBuild 28000.2605を確認し、更新前と同じ条件で通話テストを行います。それ以外の環境では、Bluetoothドライバー、ヘッドセットのファームウェア、マイク設定を確認しながら、通常チャネル向けの正式な更新情報を待つのが安全です。

この記事を書いた人

実務の現場で詰まりがちなポイントを地図にするITブログ「IT trip」を運営。Windows/Office(Teams・Excel)からSQL、サーバ運用、ガジェットまで、再現性のある手順と“なぜそうなるか”を丁寧に解説します。読んだらすぐ試せること、そして迷った人の次の一歩が見えることを大切にしています。

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