結論から言うと、Windows Fax and ScanはWindows 11から完全に削除されたわけではありません。Windows 11 version 22H2より後ではプリインストールされず、必要なときに追加するFeature on Demandになっています。まずSettingsのOptional featuresから追加し、見つからない、または管理者運用が必要な場合にDISMで状態確認と追加を行います。
スキャンだけが目的なら、Microsoftが案内するWindows Scanアプリの方が簡単です。FAX送受信が目的なら、アプリを入れるだけでは足りません。対応するFAXモデムとアナログ電話回線、または組織のFAXサーバーなど、通信経路が別に必要です。
目的別の選び方
| 目的 | 選ぶ機能 | 事前条件 |
|---|---|---|
| 紙を画像として取り込みたい | Windows Scan | Windowsがスキャナーを認識している |
| 従来のWindows Fax and Scanでスキャンしたい | Print Fax Scan機能を追加 | 対応スキャナーとドライバー |
| PCから電話FAXを送受信したい | Windows Fax and Scan | 対応FAXモデムと回線、またはFAXサーバー |
| PDFへ直接保存したい | メーカー公式アプリなど | Windows Scanの公式保存形式にはPDFがない |
| 会社・学校PCへ導入したい | IT管理者へ依頼 | Feature on Demand配布、WSUS、MDM、保持規則 |
見つからないのは故障ではない
MicrosoftのFeatures on Demand一覧では、Windows Fax and Scanは「Print Fax Scan」という機能として掲載されています。Capability NameはPrint.Fax.Scan~~~~0.0.1.0です。Windows 11 version 22H2より後ではプリインストールされないため、新しいPCやクリーンインストール環境で検索に出ないことがあります。
これは「Windows 11で廃止された」という意味ではありません。必要な端末だけへ追加するオプション機能です。一方、古い企業向けのBusiness ScanningまたはDistributed Scan Managementは別機能です。Windows Fax and ScanのFeature on Demandと、Business Scanningの非推奨・削除を混同しないでください。

検索に出ない場合は、まずCapabilityの状態を確認します。Print.Fax.ScanがNot Presentなら追加対象、Installedなら再追加せず機器認識や起動経路を切り分けます。
インストール前の確認
- Settings、System、AboutでWindows 11のエディションとバージョンを確認します。
- 会社・学校の管理端末か確認します。管理端末では利用者がポリシーを回避しません。
- スキャン目的なら、Settings、Bluetooth & devices、Printers & scannersで機器が見えるか確認します。
- 機器メーカーが現在のWindows 11向けドライバーまたは公式ユーティリティを提供しているか確認します。
- FAX目的なら、対応FAXモデム、アナログ回線または組織のFAXサーバーがあるか確認します。
- 送受信済みFAXやアドレス帳を移行する場合は、機密情報の保存場所と保持規則を確認します。
複合機にFAX機能があっても、Windows Fax and Scanがその複合機のFAX送信経路を自動的に利用できるとは限りません。メーカーのPC-FAXドライバーを使う製品、Web画面から送る製品、クラウドサービスを使う製品があります。Windows標準機能と機器メーカーの方式を分けて確認します。
SettingsからWindows Fax and Scanを追加する
通常はGUIから追加するのが最も分かりやすい方法です。最新のWindows 11では次の順に進みます。更新状態によってOptional featuresがApps側に見える場合があります。
- Startを右クリックし、Settingsを開きます。
- System、Optional featuresへ進みます。
- Add an optional featureの横にあるView featuresを選びます。
- 検索欄へ「Windows Fax and Scan」または「fax」と入力します。
- Windows Fax and Scanだけを選び、Next、Addの順に進みます。
- 追加が終わったらStartでWindows Fax and Scanを検索します。
Optional featuresを直接開くには、WindowsキーとRを押してRunを開き、次を入力できます。
ms-settings:optionalfeatures
オプション機能の追加にはWindows Updateが使われます。組織PCでは、Group PolicyやMDMで画面を隠したり、WSUSや社内ソースからだけ取得するよう制御したりできます。ボタンがない、一覧が空、追加が拒否される場合は、管理設定を変更せずIT担当へ依頼します。

会社・学校PCでOptional featuresが表示されない場合は、WSUSやMDMなどの管理設定が関係することがあります。利用者が更新元やポリシーを変更せず、表示されたエラーをIT担当へ共有してください。
DISMで状態を確認して追加する
GUIで見つからない場合や、管理者が状態を明確に確認したい場合はDISMを使います。いきなり追加コマンドを繰り返さず、最初に現在の状態を確認します。StartでTerminalまたはCommand Promptを検索し、管理者として実行します。
1. 現在の状態を確認する
Dism /Online /Get-CapabilityInfo /CapabilityName:Print.Fax.Scan~~~~0.0.1.0
State : Installedなら再追加しません。後述のwfs.exeで起動確認し、アプリではなくスキャナーやFAX経路を切り分けます。State : Not Presentなら追加へ進みます。Capabilityが見つからない場合は、Windows版、エディション、組織のイメージ構成を管理者が確認します。
2. 機能を追加する
Dism /Online /Add-Capability /CapabilityName:Print.Fax.Scan~~~~0.0.1.0
DISMは、明示したソース、ポリシーで指定されたソース、利用可能ならWindows Updateの順に機能ファイルを探します。成功メッセージを確認し、再起動が必要と表示された場合は作業中の文書を保存して再起動します。失敗したコマンドを連打せず、エラーコードとログ時刻を記録してください。
3. 追加後の状態と起動を確認する
同じGet-CapabilityInfoをもう一度実行し、Installedになったことを確認します。その後、RunまたはTerminalから次を実行します。
wfs.exe
アプリが開けば機能追加は完了です。ただし、アプリが開くこととFAX送受信・スキャナー認識は別です。スキャン画面で機器が出ない場合はドライバーとWindowsのデバイス認識を確認します。FAX画面でアカウントがない場合は、対応モデムまたはFAXサーバーの構成が必要です。
DISMの追加に失敗する場合
| 状況 | 確認する点 | 安全な対応 |
|---|---|---|
| 管理者権限が必要と出る | Terminalの起動方法 | 個人PCなら管理者として1回実行。組織PCはITへ依頼 |
| ソースファイルが見つからない | Windows Update、WSUS、ポリシー、社内FODソース | エラーコードを管理者へ渡し、非公式CABを入れない |
| Capabilityが不明 | 名前の波線4個、Windows版、イメージ | コピーした正式名を使い、Get-CapabilityInfoで再確認 |
| 処理後もNot Present | DISMの終了結果、再起動要求 | 再起動後に状態確認し、失敗ならログを管理者へ渡す |
| Installedだが検索に出ない | Start検索、wfs.exe | wfs.exeで起動し、ショートカット表示と機能状態を分ける |
| 会社PCでView featuresがない | MDM・Group Policy | 利用者がレジストリや更新元を変更しない |
Web上で配布される不明なCABやスクリプトを使わないでください。Feature on DemandはWindows Update、組織が管理する正式なソース、Windowsイメージに合うFeatures on Demandメディアから取得します。異なるWindows版・言語・アーキテクチャのパッケージを強制追加しないことが重要です。
Windows Fax and Scanでスキャンする
- スキャナーを電源オンにし、USBまたはネットワークへ接続します。
- Settings、Bluetooth & devices、Printers & scannersで機器が表示されるか確認します。
- Windows Fax and Scanを開き、画面左下のScanを選びます。
- New Scanを選び、使用するスキャナーを確認します。
- 原稿台またはフィーダー、カラー、解像度、保存形式を目的に合わせて設定します。
- Previewで範囲を確認し、Scanを実行します。
- 保存先、ファイル名、読み取り内容を確認してから原稿を片付けます。
機器によっては、Windows標準ドライバーでは原稿自動送り、両面、長尺、PDF結合などが使えません。メーカー公式のWindows 11対応ドライバーやスキャンアプリがある場合は、その対応機能を確認します。ドライバー取得元は機器メーカーの公式サイトに限定してください。
スキャンだけならWindows Scanを使う
FAXを使わず、紙を画像として取り込みたいだけならWindows Scanが簡単です。Microsoft StoreからWindows Scanを導入し、Windowsが認識したスキャナーを使います。
- スキャナーを接続して電源を入れます。
- Startの検索でWindows Scanを探します。なければMicrosoft Storeの公式Windows Scanをインストールします。
- Scannerで対象機器を選びます。
- SourceでFlatbed、Feeder、Auto-configuredから原稿の置き方に合うものを選びます。
- File typeでJPEG、PNG、TIFF、Bitmapのいずれかを選びます。
- Show moreのSave file toで保存先を指定します。
- Scanを選び、完了後にViewで内容を確認します。
保存先を変えなければ、ユーザーフォルダー内のPictures/Scansへ保存されます。Microsoftの現行手順が示す保存形式にPDFは含まれません。複数ページPDFを直接作りたい場合は、機器メーカーの公式アプリ、Microsoft 365の承認済みワークフロー、組織で許可された変換手段を使います。

Windows Scanの公式保存形式はJPEG、PNG、TIFF、Bitmapです。PDFが必要な場合は、機器メーカーの公式アプリなど、組織で承認された方法を選びます。
Windows Fax and ScanでFAXを使う条件
Windows Fax and ScanはFAXクライアントとFAXサービスを提供しますが、インターネット接続だけで一般のFAX番号へ送れるわけではありません。次のいずれかのサポートされる通信経路が必要です。
- Windows対応のFAXモデムと一般的なアナログ電話回線
- 組織が構成したWindows FAXサーバー
- 機器メーカーが提供する別のPC-FAXドライバーや公式ユーティリティ
IP電話、光回線アダプター、複合機内蔵FAX、クラウドFAXはそれぞれ仕様が異なります。通信可否、番号通知、再送、保存期間、暗号化、個人情報の保管場所を回線事業者・機器メーカー・組織の規則で確認します。

Windows Fax and Scanを追加しても、FAXモデム・回線・FAXサーバーは自動では用意されません。機密情報を送る前に、通信経路と相手側の受信を機密でないテスト原稿で確認します。
FAXアカウントを追加する前に
- FAXモデムまたはFAXサーバーがWindowsで認識されていることを確認します。
- Windows Fax and ScanのFax画面を開きます。
- Tools、Fax Accounts、Addから、実際に用意されたモデムまたはサーバーを選びます。
- 外部送信番号、発信者情報、受信方法、保存先を組織の手順に従って設定します。
- 機密情報を含まないテスト原稿で送受信を確認し、相手側の受信結果とログを照合します。
アカウント追加画面に機器が出ない場合、アプリ再インストールより先にモデム・サーバー・ドライバーを確認します。推測した回線設定で本番FAXを送らないでください。
不要になった場合の削除と切り戻し
Windows Fax and Scanを追加したことで問題が起きた、または不要になった場合は、元に戻せます。削除前に送受信ログ、必要なFAX、アドレス情報の保存場所と組織の保持規則を確認してください。
Settings、System、Optional featuresのInstalled featuresでWindows Fax and Scanを探し、Removeを選ぶ方法が基本です。DISMなら管理者のTerminalで次を実行します。
Dism /Online /Remove-Capability /CapabilityName:Print.Fax.Scan~~~~0.0.1.0
再起動要求が出た場合は作業を保存して再起動し、Get-CapabilityInfoでNot Presentになったことを確認します。削除してもスキャナードライバー、メーカー製アプリ、クラウドFAX契約まで自動で消えるわけではありません。それぞれ別に管理します。
トラブルシューティング
| 症状 | 確認順 | 対処 |
|---|---|---|
| wfs.exeが開かない | Capability状態、再起動、Windows更新 | Installedを確認し、エラーを記録して管理者へ相談 |
| スキャナーが表示されない | 電源、接続、Printers & scanners、ドライバー | メーカー公式のWindows 11対応情報を確認 |
| Windows Scanでは使えるがFax and Scanでは使えない | WIA対応、メーカー機能、ドライバー | メーカー公式アプリを優先し、標準機能を強制しない |
| PDFが選べない | 使用アプリと保存形式 | Windows Scanは画像形式で保存し、承認済み方法でPDF化 |
| FAXアカウントを追加できない | モデム、回線、FAXサーバー | アプリ再追加ではなく通信経路を確認 |
| 送信済みにならない | 回線、ダイヤル規則、モデムログ、相手番号 | 機密でないテストと提供元サポートで確認 |
| 組織PCで追加できない | MDM、Group Policy、WSUS、FODソース | エラーコードをIT担当へ渡す |
よくある質問
Windows 11からFax and Scanは削除されましたか
完全削除ではありません。Windows 11 version 22H2より後ではプリインストールされず、Print.Fax.Scan~~~~0.0.1.0というFeature on Demandとして必要時に追加します。
Windows 11 HomeでもDISMを使えますか
MicrosoftのCapabilities servicing資料はWindows 10・11のHome、Pro、Enterprise、Educationを対象にしています。ただし、機能が実際に利用できるかはWindows版と構成に従います。Get-CapabilityInfoで確認し、非公式パッケージを強制追加しないでください。
Windows ScanでPDFを直接作れますか
Microsoftの現行手順が示す形式はJPEG、PNG、TIFF、Bitmapです。PDFが必要なら、機器メーカーの公式アプリや組織で承認された変換手段を使います。
アプリを入れれば電話回線なしでFAXできますか
できません。Windows Fax and Scanには、対応FAXモデムと回線、またはFAXサーバーなどの通信経路が必要です。インターネットFAXや複合機のPC-FAXは別サービス・別ドライバーです。
追加に失敗したらDISMを繰り返してよいですか
繰り返さず、Get-CapabilityInfoの状態、エラーコード、Windows版、管理端末か、Windows Update・WSUSの取得元を確認します。組織PCではIT担当へ情報を渡してください。
まとめ
Windows Fax and Scanは必要に応じて追加するWindows機能で、送受信には対応FAXモデムと電話回線、またはFAXサーバーが必要です。まず機能の状態とWindows Updateの取得経路を確認し、第三者サイトから実行ファイルを入れず、追加できない場合はエラーコードを記録してください。
公式資料
- Available Features on Demand
- Add, remove, or hide Windows features
- DISM Capabilities Package Servicing Command-Line Options
- Install and use a scanner in Windows
- Install the Windows Fax driver or service to use Internet Fax in Office
Windows Fax and Scanが見つからないときは、Optional features、Capabilityの状態、デバイス認識、FAX通信経路を順に確認します。スキャンだけならWindows Scan、FAXが必要なら対応モデムまたはサーバーを用意し、目的に必要な機能だけを追加してください。

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